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引き継ぎ

 ――ハズだった。


「いや、なんであんた達全員揃ってるのよ……」

 私は片手で頭を押さえていた。


 うん。まあついクセで土曜日にこのファミレス来ちゃった私も私だけどさ……だからって私以外全員既に揃ってる――。ついでに言えばキリンちゃんまでしっかり連れてきているこの状況。先週までと何も変わらない……。


 と考えつつもなんとなしに、仕方なしにいつもの皆の座っている席に腰を下ろした。――途端。

「なんで揃っているって――。何を言っているんだお前は?」

 私が腰を下ろすと同時に口を開いたのはご存知レッド。に対して私は。

「それはこっちのセリフでしょ? もう私達の役目は終わったんだからこのファミレスに集合してミーティングをする必要はないワケで、なんとなくで1人2人が来ちゃうのはわかるけどなんでこう上手く全員揃っちゃうワケよ?」

 まあ、つい来ちゃった私も私だし――そんな私が言うのもなんだけど……。としていると。

「だからお前は何を言っているのだ? なんとなくやこう上手くではなく今日はミーティングの日だろうが?」

「はっ?」

 思わず頭の天辺から声がスッポ抜ける。

「確かに俺達の役目は終わった。だがしかし俺達の出番がなくなった訳ではない……」

 と言いますと?

「例えばだ。まず次のヒーローへの引き継ぎがあれば、何周年何十周年記念に歴代ヒーロー大集合で呼ばれたり、人気によっては映画もあるだろう……」

 あ、そういえば……。

「差し当たっては直近の引き継ぎ。これはもう明日だからこうやって今日ミーティングをするために集まった……という事だろう?」

「あ、そうなんだ」

 その割に私には誰からもなんの連絡もなかったんだけど――私なら勝手に来ると思われてたのかな? まあいいや。


「それでどうなの? 私何も知らないんだけど次の人達ってどんな感じ? ってか何戦隊なの?」

 と質問すれば答えるのは相変わらずのレッド。

「ああ、次の戦隊は『ごはん戦隊おかずファイブ』だ」

 何そのご飯に対しておかず5品みたいな贅沢な戦隊。いやそれより……

「ちょっと待って。おかず戦隊ごはんですよの次がごはん戦隊おかずファイブなの? 2シーズン連続で食べ物がモチーフの戦隊ヒーローって大丈夫なの? ちびっ子ガッカリじゃない?」

「その点は問題ないだろう。そもそも俺達もおかずファイブもターゲット層はちびっ子ではないからな」

 いや大問題でしょ?

「ターゲット層は主に35歳独身男性。役職持ちの会社員だ」

「なんでそんな具体的なのっ!」

「当たり前だろう! 戦隊ヒーローも客商売だからな!」

「いや答えになってないし!!」

 でもその層がグッズとかで1番お金落としてくれるって事? ってか戦隊ヒーローが客商売って金にがめついみたいでヒーローとしてどうなのよ?


「まぁいいや。でも後進に道を譲るとして、私達がラスボス倒してまだ2週間くらいしか経ってないじゃない? 地球は平和だし戦うべき敵とかって居たりするもんなの?」

「その辺は心配ない。何故なら新シーズンである『ごはん戦隊おかずファイブ』は戦隊ヒーロー5組。計25名によるバトルロイヤルだからだ」

「バ、バトルロイヤル!」

 いや仮面ライダーとかではあったけどスーパー戦隊ヒーローでバトルロイヤル!?

「そーゆー事。つまり勝ち残った上位5人が次の『ごはん戦隊おかずファイブ』になるって事。因みにMCは僕ね」

 っと、空中でフヨフヨ浮きながら自慢気に胸を張っているのはキリンちゃんだった。

 あ〜確かにバトルロイヤルとかデスゲームとかって謎の生物とかが司会してたりするイメージちょっとあるわ。……と考えているとキリンちゃんは続ける。

「おかず戦隊ごはんですよは前シーズン……というかまだごはん戦隊おかずファイブが決まってないから現況の戦隊ヒーローとして出場は決定。つまりは強制出場って事だね」

 うん。まあ明日の引き継ぎって面から考えてもそうなると思ってた。それはいいとして……

「でもそうなると、もし勝ち残った5人が全員女子だった場合。戦隊ヒーロー初のメンバー全員女子とかあり得るんだ?」

 と私がフトした疑問を口にすればキリンちゃんがすぐに答える。

「もちろんそうだね。でも逆に全員食堂のおばちゃんとかもあり得る」

「それ『逆に』の使い方間違ってないっ!? てゆーか食堂のおばちゃん最低でも5人は参加してるって事?」

「そりゃするよ。サイコパス戦隊シリアルキラーは全員食堂のおばちゃんだからね」


 サ、サイコパス戦隊シリアルキラー!!


「もう名前が物騒過ぎて正義のヒーローじゃないのよ。食堂のおばちゃんが5人もサイコパスでシリアルキラーってホラー映画でもやり過ぎ設定だって」

 と、とりあえずこの人達には勝たせちゃいけない気がする。……と私が後ろ頭に汗を垂らしていると。

「そういえばその辺りの事を詳しく訊いていなかったな? 一番搾りよ、他にはどんな奴等が参加しているのか教えてもらおうか?」

「オッケー! 任せて!」

 と、再び話に入ってきたのはレッドだった。


 あ、そうか忘れてた。キリンちゃんてキリン一番搾りって名前だった。

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