スク水登場
そ………………そ、そ、そ、そ、そんなバカなっ!
な、なんでよりにもよって私が1人の時にラスボスのスク水が現れるのよ!
……まあ厳密にはスク水が既にいて私が後から来たから私の方が現れたって言うべきなんだけどそんな細かい事は置いといて……。
――というワケで私はいつものファミレスに1人でやって来ていた。
今は平日の夜なんだけど、仕事が終わって晩ご飯どうしよっかな~って考えてて、お料理する気力もないし、何か買って帰るのも味気ないのでお店で食べて帰ろう! って結論に至ったからいつものファミレスに来たんだけど……なんでラスボスが居るの!
私は思わず入口付近の壁に身を隠しスク水を覗き見る。
ふんどしにネクタイ、両手と頭に包帯を巻いたおじさん。グレーちゃんの話通りの特徴だしラスボスのスク水で間違いないよね? なんでこんな変態が普通にファミレスで大人しくお客さんしてるのよ? ど、どうしよう? 私1人でどうにかなる相手じゃないよね?
…………あ。
でもそうか! よく考えたら向こうは私の正体を知らないはず。今のところスク水は暴れてるワケでもないから普通のお客さんのフリしてれば大丈夫かな? となれば逆にここでコソコソしてて見付かる方がかえってマズイ! 急いでみんなに連絡してお客さんのフリをしよう。
というワケで私は急いでいるのもあり、全員ではなく人選して連絡を入れる。
まず我らがリーダーにして戦闘力要員のレッド。
次に確認のため実物のスク水を見た事がるグレーちゃん。
そしてパンストセイントちゃんからはリーダーのアイリアちゃん。
最後にスク水の中身のメンズ・ブルマを知っている果麺ライダーさん。
私はこの4人だけを迅速に呼び出し、急いでお客さんのフリをしようと……まあ一応本当にお客さんではあるんだけど、とりあえず席を一望してみた。
幸いな事にスク水の隣の席が空いている……。ちょ、ちょっと大胆な気もするけど様子を窺うには近い方がいいハズ。普通のお客さんのフリをしていれば今のところは安全だし、逆に他のお客さんに何かあった時は即対応出来る……よし! ここは勇気を出して隣の席に座ってみよう!
……と。私はご飯を食べるのは一旦やめておいて待ち合わせの客を装う方向でスク水の隣の席を陣取る。とりあえず店員さんには後から4人来る事だけを告げてコーヒーを1つ注文。後はスマホをいじってるフリして……私は様子見を開始した。
――んだけど。
う~ん……なんだろう? 実を言えばスク水は大人しいというか、私が発見した時からずっっっっとメニューと睨めっこしてるんだよなぁ……? なんでだろう?
――と。
「何故だ……何故小学生以下しか注文出来ないお子様ランチはあるのに、18歳未満は注文出来ないアダルトランチはないのだ?」
あ、やっぱり見た目通りの変態だったみたいね。まあ、それは置いておくとして普通に食事するつもりで悩んでた?
「お子様ランチと言えばおもちゃがついてくる事もある。つまりアダルトランチならば大人のおもちゃが付いてきてもおかしくはないはずだ……」
こいつ――この格好、この発想力でよく今まで逮捕されなかったな? いや、まあ警察が捕まえられるほど簡単な相手だったら果麺ライダーさんもそこまで苦労しないか……。
「まあ、ないものは仕方がない。別の物を注文するか……」
う~ん。どうやら本当に食事しに来ただけみたいね? でもそれならこちらとしては好都合。このまま大人しくご飯食べててくれればその間にみんなが来てくれるはず。
――で。
「ん? なんだこのBLTサンドというのは? BLT……何かの頭文字か?」
いまだにメニューと睨めっこを続けるスク水だけど――BLT知らないのかな? てゆーか独り言多いな……。
「サンドはサンドウィッチの略とすると……Bは恐らくベーコンだな? そしてLは――レタス、そうレタスだ! となると最後のTは豆乳か?」
BLTッ! ビッチャビチャッ! そのサンドウィッチは間違いなくビッチャビチャッ!
「いや、しかしこれだと豆乳まみれのビチャビチャサンドになるな? となると違う……そうかっ! BLTのTは立ち食いソバかっ!」
閃いたっ! みたいな顔すんなっ! それもうベーコンもレタスもなしで商品として成立してるでしょ!
――しかしスク水は何故かすぐに訝し気な表情に戻り。
「……いや待てよ? 立ったまま食うから立ち食い。踊りながら食うから踊り食い。となると大便しながらだと大食いになるのか?」
お前は大食いタレントさんに土下座して謝れ。飲食店でなんつー話してんだこのラスボス……てゆーか踊りながら食うから踊り食いじゃないし。
とりあえずこの短時間でこいつがレッドやブルー並みの思考の持ち主だという事が良くわかった。このまま1人でこいつを監視し続けたら気がおかしくなりそう……。お願い! とにかく誰でもいいから早く来て私の精神衛生を救って!




