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お約束

 これは私と小豆ちゃんのバトルスーツのパワーアップが終わり、更に主題歌が変わった次の週のミーティングでの話。


「お前達『エイリアンVSプレデター』という映画は知っているか?」

 と唐突に話題を振ってきたのは我らがリーダーレッド。

「今度この映画に倣い『自宅警備員VSプロの家事手伝い』という企画を俺のユーチューブチャンネルでやろうと思っているのだがどう思う?」

「どう思うもないでしょう? そんなの誰が観たいのよ……」

 大体あんたユーチューブチャンネル持ってないじゃん偽Vチューバーがっ!

 とツッコミを入れながら考えていると。

「バカなっ! お前は見たくないのか? 自宅警備員とプロの家事手伝い……どちらがクリーチャーとして上なのかを……?」

「いやそれクリーチャーじゃなくてニートなのよ……」

 だから同じ職種の対決見てなんの意味があるのやら……いやニートを職業扱いするのも変な話だけど。

 ――と。

「レッド殿。その次の企画としては『自宅警備員とパンツをシェアしてみた』というのは如何か?」

 そこ食い付く必要あるブルー?

「ほぅ? 良い企画だな? 一つのパンツにお互い片足を1本ずつ通しシェアするという訳だな?」

「如何にも」

 如何にもってそーゆーシェアの仕方なのっ? 一つのパンツを日替わりで交替で履くとかじゃなくてっ!?


 ――というような、いつもの必要のない件を消化して一段落。


 レッド。

「ところで話は変わるが俺達は既に敵幹部も半分以上倒し、更にはピンクと博士のパワーアップも終え、主題歌も無事変更する事が出来た。……なのでそろそろスーパー戦隊ヒーローとして『お約束』を果たす時がきたのでは……と俺は思っている」

 何時になく不真面目な存在のレッドが真面目に語っているので一応答えておいてやる。

「スーパー戦隊ヒーローのお約束? そんなのあったっけ?」

 この時の私は本当に思い当たる節がなかったからこの台詞を口にしたんだけど――

「おいおい大丈夫かピンク? 戦隊ヒーローといえばお約束の塊、お約束の申し子、お約束のおっぱいマイスターだろう? 例えばリーダーはレッドであるとか……」

 あ、そっか。

「他にも出だしはともかく必ず変身して戦うとか……」

 お前は変身しないけどな。

「あとは戦闘の〆は巨大ロボで戦うなど……どれもこれも定型。つまりはお約束だ」

 うん。私達は途中まで巨大ロボなかったんだけどね……。でもまあレッドの言う通りか。よくよく考えれば戦隊ヒーローってお約束だらけ……私達はことごとくがその型にハマってなかっただけか。イエローとグリーンが人間じゃなくてカレーだったとか……。

 と、それは置いといて。

「んで? あんたの言うその『戦隊ヒーローのお約束』ってのは具体的になんなのよ?」

「うむ。それは2体目の巨大ロボ――つまり巨大ロボの追加という事だ」

「あ〜確かに戦隊ヒーローって中盤以降くらいに追加の巨大ロボ出てくるわね? んで最初のロボと合体してパワーアップする感じよね?」

 要は私と小豆ちゃんがパワーアップしてオープニングも変わったタイミングでロボも一緒にパワーアップさせようって事ね。

「ああ、その通りだ」

 って言うレッドだけど。

「でもさぁ、小豆ちゃんの負担が大きくない? ちょっと前に巨大ロボ造って、ついこの間私と小豆ちゃんのスーツパワーアップさせたと思ったら、もう次の巨大ロボってかなりのハードワークだと思うんだけど?」

 という私の心配をよそに。

「それならば問題ない」

 と、これを言ってきたのは小豆ちゃん本人だった。

「実はこうなるだろうと予測はついていたのでな……。巨大ロボは初めから2体造っておいたのだ」

 うっそ。さすが天才エンジニア……仕事が出来るなー。

 と私が感心していると。

「丁度いいので簡単に説明しておこう。まず我々が今乗っているロボの機体名は知っての通り『草食系男子』だ」

 私以外のみんなが無言で頷く。

 え? うそでしょ? し、知らなかったの私だけ? えと……じゃあ新しい機体は『肉食系男子』?

 と私が予想していると。

「で、新しい機体は『光合成男子』という名だ」

 くっ、まさかの消費者側からから生産者側に変わるとは……。

「そして先程つみれが言ったように草食系男子と光合成男子が合体して『ラテン系女子』という機体にパワーアップする」

「いやなんで急に女子になっちゃうかな……」

 と私がボソリとツッコミを入れていると。

「なんだ不満か? なら『日系ブラジル人』にするか?」

「いやそれもうロボじゃなくてただの人間になっちゃってるから」

 あ、それ言ったら草食系男子から既に人間か……。

「いや待て博士。ならばおかず戦隊ごはんですよ(仮)らしく食べ物にするのはどうだ? 例えば『意識高い系うまい棒』とか」

 意識は高いけど値段は安いな……と内心でレッドにツッコミを入れていると続いてブルー。

「それならば『暴露系うまい棒』というのは如何でしょう?」

 え? うまい棒はマストなの?

「私は『サラミ系うまい棒』なんかいいと思います!」

 って目を輝かせて言ってるけど、それうまい棒サラミ味でいいじゃんグレーちゃん!

「良しわかった。では皆の意見を取り入れて『うまい系の棒』という名にしよう」

 うまい系の棒。それ美味しいだけのただの棒じゃ……まあ略すとうまい棒だけども。だけどもそれでいいの小豆ちゃん?


 という私の疑問は当たり前だけどシカトされ。

「そして話を戻すが、光合成男子はキリンに言えばキリンが呼び出す事が出来る……」

「えっへん。光合成男子の力を使いたかったら僕に言ってね!」

 と胸を張る謎の小動物(ロボ)。

 あ~この間キリンちゃんが隠してる力があるって言ってたけどコレの事だったのか……。

「そして更に光合成男子を合体させてうまい系の棒にしたい場合もキリンに言えばキリンが自動的にやってくれる。ま、新機体に関しての説明はこんなところだ」

 なるほど。キリンちゃんが戦隊ヒーローのマスコットらしい仕事してる! とりあえず新しい機体は明日にでも発進させられるって事ね。


 ――という事で翌日私達はさっそく新機体「光合成男子」の発進と「うまい系の棒」を発動させてみるのでした。

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