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動力神と斬りすぎる者  作者: 白石 流
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第七話

 森中の街道、緩やかな上り坂。曇天の下を馬車が疾走していた。二頭立ての幌つき四輪は土を巻きあげ、音を置き去り、ともすれば自壊しそうなボロさに構いもせず進んでいく。 もうじき日没だろうか。村を出たときに比べればだいぶ日が低くなってきた。


「おい、少しは落ち着いて走れ!」


「ダインさん、聞こえてませんよ」


 とにかく揺れる。小刻みに、かと思えば大波のように揺れまくり、痛む尻を座席から浮かせれば体勢を崩して転びかねない有様である。二人して腰を押さえ、吐き気をこらえながら御者を怒鳴りつけても一向に聞く耳をもたない困りものだ。


 御者台の女、エイルーシャは小柄な背中を丸めこみ、ぶつくさと何か呟いては肩を怪しく上下させている。たっぷりとフードのついた厚手の外套を羽織っていても、非常に華奢なのが分かる。


 乗客などいないかの如く、


「スニル! ヨースト! いいぞ、どっちも速い。いいぞ、お前達、速いぞ! どうしたスニル! ちょっと回転が落ちたんじゃないか、いいぞ! 持ち直した! 負けるな!」


 寝癖だらけの黒いショートヘアを振り乱し、耳まで赤くして馬の尻ばかり凝視している。


 白毛のヨースト、栗毛のスニルもろくに前を見ずに互いの顔を睨みつけているので恐ろしくて仕方がない。明らかに人間的な表情があり、通常の馬とは雰囲気が違う。今にも喋りだしそうだ。


 客席の二人は、為す術なく屈託するのみである。


「もっと、まともな御者はいなかったのか」


「速さだけで選んだのが間違いでした……。急ぐべきとはいえ、これは酷すぎます」


「よその神官とか言ってたが、どういった知り合いだ」


 投石事件の村を出て、いくらも歩かない内にこの馬車が追いついてきたのだ。フーリンが手配したというので乗り込んだが最後、体力を削られる一方である。


「ノルン様と親交がある神様の神官なので、院でよく顔を合わせるうちに仲良くなりまして……それ以来、他の馬車を呼んだと知られると面倒なんですよ」


「なんだよそれ。怒るのか?」


「えぇ。どうして私の馬車を避けるんだ、と」


「はっきり言ってやれ!」


「いやぁ、数少ない友人でして」


 暴走馬車はいくつもの街道村を通り過ぎ、とうにミュイノス王国を抜け、大海に面したヘイランモノラス公国を順調に北上していた。


「こいつら海は渡れるのか」


「勿論です。天界の馬車はそこが凄い」


会話で気を紛らわせているが、二人とも憔悴しかかっている。もはや何度目かは分からなくなってしまったが、猛烈な眠気がどうしようもない。しかしこの環境では一睡も許されず、限界が近い。


「もう耐えらない。ちょっと俺から言ってくる」


 幌に手をつき、バランスを崩さぬよう御者台まで進んでいく。外に顔を出すと、いかに速いかが改めてわかる。近くの景色がまともに視認できずに流れていく。振り落とされれば粉々になりそうだ。


「ヨースト! どうした、お前の走りはそんなものか!」


 相変わらず馬の臀部を凝視している。鼻血でも出して倒れないかと心配になるほど、顔が上気していた。筋肉の動きがたまらないのだろうか。


「なぁ、エイルーシャ」


「なんだい!」


 初めてまともに見た容貌は、意外なほど幼かった。人間でいえば十歳そこそこの見てくれである。だらしない髪型と、活き活きとした褐色の肌が子供らしさを際立たせる。お楽しみを邪魔するなとばかりに口を尖らせ、不愉快さを滲ませていた。


 激しい揺れに耐えるためか、自分だけ分厚いクッションに座っているのが癪だ。


「悪いんだが、少し休憩させてくれないか」


「え、休めばいいじゃん」


「いや、こんなに揺れてちゃあ……」


「あげていけヨーストォ! 聞いてるのかぁ!」


「お前が聞け!」


 このガキどうしてくれようかと気色ばんだとき、ふと左右の森が途切れた。緩やかな坂を登り終え、高台からの景色が広がったのである。


 街だ。どれも同じような形をした石造りの白い建物が整然と並び、薄もやのかかったピリミ大海と壮大なグラデーションを描いていた。ヘイランモノラス公国の北端、南大陸の玄関口である港湾都市、ジュレヴィスだ。


 平坦な陸地が、大海に向けて楕円形に迫り出している。楕円の左右は浅瀬になり、海水の色が淡い。近くに遠くに行き交う帆船。鼻腔から肺を満たしては、細胞を生き返らせてくれるような潮風。うごめく人々の気配。


 天気が悪いとはいえ、長らく小屋に籠もっていたダインにとっては、目から入った情報を処理しきれないほどの絶景だった。いつの間にか隣にいたフーリンも、見なくては勿体ないとばかりに身を乗り出している。


 馬も気分が高じたか、よりいっそう加速して急な坂を駆けくだっていく。あまりの速度と向かい風が、空を飛んでいるような錯覚を覚えさせた。


「いやぁ、爽快ですねぇ、ダインさん」


「……そうだな」


 大して表情を変えなくても、はしゃぎ気味なことが分かる。ばさばさと暴れる髪がダインの頬を叩く。散ってはすぐに纏まり、またバラけていく鏡髪の中で、複数の自分の顔がこちらを見ていた。


 いつの間にか、青白くて線の細い横顔が、過去の相棒を思い出させるようになっていた。似た部分など何もないが、同じように人生に影響を与えてくれた、もう一人の女の姿がそこに重なるのだ。


「ん、なに見てるんです?」


 目が合う。重なる面影との共通点は髪の長さくらいか、いや、他にも何かと……などと考えていたら、返事もせず顔に見入ってしまった。フーリンは首を傾げている。


「……顔に当たって痛いんだよ。お前の髪が」


「やだ、汚い皮脂が毛先に」


「なんだとコラ」


 髪束を一つ握って額にごしごし擦りつけた。


「うわっ、ちょっと! やめてください! 謝りますから!」


 もみ合っていると馬車の速度が落ちた。


「お二人さん、仲良しなところ悪いけど街に入るよ。続きは宿でやってちょうだい」


「うるせぇよ」





 ジュレヴィスの街は大通りが多く、十台以上の馬車がすれ違えるほどだった。建物以外にも、左右にどこまでも並ぶ屋台の支柱や屋根、石畳までもが白を基調とし、海を連想させる青のアクセントを加えたデザインが、街全体に統一された景観を作りだしている。


 大勢の人々でごった返す通りの果てに、絵のように切り取られた水平線。吹き抜ける潮風が、海産物の磯の香りを広がらせる。 


 市場沿いの宿の厩舎に馬を預け、近くを歩いてみることにした。本当はすぐにでも眠るべきだったが、ここに足を踏み入れた時から覚えた違和感、爽やかな街に満ちる不気味さを確かめずにいられなかったのだ。


 否、確かめるべくもない。改めて大通りに立つ。通行人で溢れるその場所は明らかに異常だった。


 人の声が聞こえないのだ。老若男女を問わず何百、何千人が示し合わせたように誰も喋らず、ただ前を向いて無表情で歩いている。靴が石畳を鳴らす音、布すれの音までがはっきりと耳に届く。四囲の白さもあいまって、街中にありながら雪山に迷い込んだような、耳が痛くなりかねない、この静寂。


「フーリン、これは」


「間違いありません。我々が移動している間に、動力停滞が急激に進んだ結果でしょう。心の移ろいが滞ったまま、身体だけは習慣に突き動かされているといったところです。子供や若者にまで、もうここまでの被害が出るとは……」


「ラルタルに近づいたからってことか?」


「恐らく距離は無関係ですね。動力は場所によって流れ方やルートが異なるので、それによって停滞時の影響に差が出るものと思われます」


「ひょっとしたら、あいつらも……」


 そぞろにハルトの村が心配になったとき、今まで黙っていたエイルーシャが口を開いた。


「ねぇ、あの人は様子が違うみたいだよ」


 指さす方を見ると、幽鬼のように流れる人々のなかに、うろたえた様子で左右をきょろきょろと見回す青年があった。背ばかり高くて痩せ細った彼は、首を動かすたびに飛び散るような大量の汗をかいている。哀れなほどやつれ、若白髪が多い。怯えきった目には精神の変調が露わになっていた。


 エイルーシャが話しかけようとした時、青年が通行人の女とぶつかり、互いに転倒してしまった。


「も、申し訳ない」すぐさま立ち上がった青年が手を差し伸べるが、女はただ中空を見つめ、しばらくすると何事もなかったように立ち去ろうとした。


「待ってくれよ」青年が女の肩を掴んだ。「なんで俺を無視するんだよ!」


 女は振り向かず、振りほどかず、離されるのを無言で待っている。そんな態度がついに青年を逆上させたようだ。


「ふざけんなよ、どいつもこいつも……まるで、俺なんか存在しないみたいに」


 女の髪を鷲掴みにし、拳を振り上げたところでダインが割って入った。青年の腕をねじり上げて制圧する。


「いてぇ、いだだ、やめてくれ!」


「落ち着け。正気なのはお前だけじゃない」腕を解放すると、青年は這いつくばって息も絶え絶えだった。「この街はいつからこうなった? 色々と聞きたいことがあるんだ」


「そうか……アンタらは俺を無視しないんだな。俺が分かるんだな……。良かった。俺はもう、世界に一人取り残されたように思って……」


 言いながら立とうとするが、なかなか足に力が入らないようだ。立ち上がりかけては地に膝をつき、掌をついている。

「安心しろ」ダインが手を差し伸べた。「俺達は――」


 頑張っていた青年が、ダインの手を無視しておもむろに直立した。その動作。心の動揺や、身体を竦ませていた恐怖がふと全く消えてしまったとしか思えない、明らかに不自然なものだった。


 表情もおだやかで、もう汗がひいている。そして、記憶すら消えてしまったかのようにどこかへ立ち去ろうとするのだ。


「おい、どうした」


 肩に手を置いて引きとめると、先の女と同じだった。空に漂う綿のように、捕らえられれば抵抗もせず、放たれるのを力なく待っているだけだ。


 フーリンとエイルーシャが首を横に振る。ダインも変化を察し、青年を行かせてやった。ふらつく背中はすぐに他と一緒くたになった。


 沈黙が流れる。疲れさえなければ早くこの街を出たいのが皆の共通認識に違いない。


「軽く何か食って、宿で休まないか」


 重苦しい空気の中で場違いに思える提案だったが、空腹に誘われた足が屋台に向かった。気分転換もかねて魚介類の串焼き、網焼き、フライの屋台などを一通りまわる。店主の対応は意外にも普通であった。


 ただ、調理にしろ接客態度にしろ、ずっと続けてきたルーティーンが機械のように回り続け、心が抜け落ち、外殻だけが反射的に対応をしているような有様に、言語に絶する不気味さを感じた。『命が薄く引き延ばされている』というフーリンの表現がぴったりだと思い知らされる様相だ。


 道すがらに正気を保っている者を探そうとしたが、やめた。エイリーを倒す以外に、できることなど何もない。 


 宿の主人にも同じような対応をされ、エイルーシャは本人の希望により厩舎で馬とともに。ダインとフーリンは二階の客室に入る。部屋は一つしか空いていなかったがベッドは二つ。


 独り寝が染みついていたダインはいつも落ち着かなかったが、フーリンは遠慮の欠片もなく革鎧や衣類を脱ぎ散らし、すぐに鼾をかいてしまった。


 豪胆なことだと呆れながら、かえって気楽になって目を閉じた。深い眠りに沈んでいく傍から、はっきり夢だと分かる光景がまぶたの裏に広がる。たかだか七年前だが、もう前世の記憶のように感じた。声が、清らかな歌が聞こえる。





 七年前。東大陸某所。


 人を乗せるには出来が悪すぎる古びた馬車が、長い列をなして街道をのろのろと走っていた。二個連隊の傭兵部隊である。左右の畑には黄金の稲穂と、稲間に負けじと群生する白いイヌカミツレが広大な絨毯をざわめかせている。


 美しい風景とは対照的に、馬車の荷台では破壊神アルス討伐を主目的として各地から徴収された傭兵達が、豚よりも静かに外を眺め、牛小屋よりも酷い体臭を発しながら膝を抱えている。汚らしいのは共通でも、目の死んでいる者と、やけに自信ありげな者とで差が大きいように見えた。


 そんな掃きだめに、極めて似つかわしくない女がいた。少し年上だろうか。長い銀髪を風になびかせ、ピクニックのつもりなのか鼻歌を口ずさんでいる。麦畑を映す蒼い瞳は、なにか愛おしいものでも見るような輝きを帯びていた。


 農民がそのまま出てきたような白いチェニック姿が異様だ。背には年期の入った背嚢。言われなければ誰がこんな者を傭兵だと思うだろうか。


 同じ荷台には五、六人がうなだれており、時折顔を上げて奇怪な女をすがめ見ては、声をかけるでもなく再び膝に額をうずめていた。


 どいつもこいつも、とダインが外へ向けて唾を吐いた。近づく者は誰であろうと斬り捨てそうな雰囲気をまとっている。幼い頃、街頭のつまらない喧嘩で死んだ父親から譲り受けた長剣で肩を叩きながら、同行者達を睥睨する。


 無意識に舌打ちが出てきた。女日照りの死にかけ共が、どうせ死ぬからと面白そうな女に無関心を装っている。


 彼らと違い、ダインには余裕があった。実は招集時、傭兵隊長のベルナルドが連隊長や中隊長を集めて話しているのを聞いてしまったのだ。曰く、この傭兵団は破壊神アルスの目撃情報等を追わず、他部隊と裏で連携しながら安全なルートを適当に回って帰るというのだ。


 意図は不明だが、それで高い給金をくれるのだから悪くない。


 そうとも知らずに落ち込みやがって、と笑いを堪えつつ、女への第一声を考えた。歳のわりに異性への興味は薄い方だったが、このときは他の者への一種の対抗意識で怒鳴りつけていた。


「おい銀髪女、気の抜けるような歌をやめろ。たたき落とされたいか」 


 歌が止み、女がダインを見た。唐突な怒鳴り声もまるで意に介した様子がない。僅かな揺れもない瞳で、ダインの荒々しい眼光を受け止めてみせた。


「私、ハーノイルの街から来たメアリっていうの。銀髪は嫌い?」  


 正面から見ると、蒼い瞳は本当に大きかった。水面の前に立たされたかの如く、紺碧の球に閉じ込められた自分の姿がありありと見える。背後に流れゆく麦畑はうねる大海に変わり、隙間にさんざめくイヌカミツレは波浪に生じる気泡と化す。そんな世界に見入っている自分は、さながら矮小に漂流する小枝かと思わされた――


「俺は……ダインだ」


 気付けば名乗っていた。少しからかってやろう、軽く困らせてやろう。生意気を言えば本当に馬車から落としてやってもいい。そんな獰猛さは、幼き頃から戦いで培ってきた凶暴さは、潮風の幻視に乗って消えた。もっと話がしてみたい。それだけになっていた。


 退屈な長旅は二人を饒舌にさせた。メアリは意外と話し好きなようだったが、言葉よりも剣での会話を優先させてきた放浪の傭兵であるダインは、上手く言葉が出ないこともしばしばだった。


 今おもい返せば、初めての会話は、ダインの言葉がまとまるのをメアリが待っている時間がほとんどだったのかも知れない。じっと目を見て傾聴するので、余計にしどろもどろになってしまう。ひょっとすると、あれはダインの暴言に対するメアリなりのささやかな仕返しも含まれていたのだろうか。


 それでも、余りある時間が互いを知り合わせる。メアリは貧しい職人の娘であり、優れた〝手〟を持つがために傭兵団に出稼ぎに出された身の上であった。これから向かうのが初めての戦場だが殺生するつもりは一切なく、傷ついた人々を助ける役に徹するとのこと。兎にも角にも、暴力が嫌いなのだと言う。


「あなたは私と違うみたい。そうでしょ」


「違いない。多分だが、ここにいる誰よりも人を殺してきた。軽蔑するか?」


「しないよ。でも一つ教えて。殺したくて殺してるの? それとも、生きるために仕方なく殺してるの?」


「それは……」


 腰の鞘をぐっと握る。答えあぐねていると、いつの間にかメアリが眼前にきていた。前髪と前髪が触れそうな距離でもなお、見事なまでに瑕疵のない美貌が迫っていた。驚きのあまり後退しかけたが逃げ場がない。


「ダイン」


 鞘を握る手を、両掌で包み込んできた。


「な、なんだよ!」


「聞いといて悪いけど、どっちでも良いや」


「はぁ?」


「私、なんだか、ダインが人や異族を殺すのを見たくなくなっちゃった。だから、そうしないで済むように守ってあげる」

「なんだ、そりゃ……。俺は武功をあげて――」


「あげて、偉くなりたいの?」


 心を見透かすように顔を覗き込まれた。こんな傭兵団を選んでおいて武功などと口走ったことに赤面してしまう。


 そして、言われてみれば何のためか。騎士にでも叙勲されて軍の要職に就きたいのかと問われれば、そんな窮屈そうなものは御免だった。富や名声をそこまで欲したこともない。


 剣しか取り柄のない命知らずが、野心もなく自分のできる労働に従じているだけのことだ。自由の名の下で、難しいことを考えずに済む生活に甘んじているだけだった。


「それは、ともかくだ。戦場はお前が考えてるほど甘くない。訳の分からないことを言ってると死んじまうぞ」


「大丈夫。争いは大嫌いだけど、こう見えて私は弱くないの。なにせ〝両利き〟なんだから」


 両利きとは、左右に〝手〟を持つ者の俗称である。


「いや、それは確かに珍しいが」


「それじゃあさ」如何にも冴えた案を思いついたような顔をして、自分とダインを交互に指さしながら言う。「ダインが相手を殺さないように私が助ける。そして私が危ないときは、ダインが助けてくれる。これで良いんじゃない?」


「滅茶苦茶なことを言うな。仲間を守るのは構わないが、襲ってくる敵を殺さないでどうするんだ」


「私には分かるの。ダインはそこらの戦闘狂とは違う。きっと、剣より大切なものを見つけて幸せになれる筈なの」


「聞けよ。大体なぁ――」


「ダイン。これから宜しくね」


 純な笑みを向けられ、もうお手上げだ。


「せいぜい刃圏には入るなよ」


 冷たく言いながら、鞘を握る手は汗まみれだった。

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