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70、十文字理沙は連れて行く

全クラスのバスから生徒が降り、予定通り午後から2時間程度班活動で地層を掘ることになるようだった。

普段なら学年主任が仕切るのに、今回は何故か悠久先生が仕切っていて説明もすべて彼女がこなしていた。


「午後の昼食は事前にお伝えした通りに自由に済ませてください!13時30分に1度こちらに集まってください!それでは解散です!」


1時間ほどの自由時間という名の昼食である。


「よし、行くかタケル」

「あぁ!みんな集まってる」


タケルと一緒に山本のところに行くと、既に山本の周りにたくさん人が集まっている。

「来たな2人共!」という山本の周りには、同じクラスの白田とターザンが側に控えていた。


「全員来たでござるな。よし、これでは我々男子勢は近くで美味しいと評判であるラーメン屋に向かうでござる」

「本当にこんな辺鄙なところにあるのか?」

「ネットにも掲載されていない幻の佐野ラーメンが食べられるでござるよ」

「そもそもここ、佐野でもねーし栃木ですらねーからな」


白田リサーチに山本がガンガン突っ込んでいる。

とりあえずこの5人でラーメン屋に行こうということが秘密裏に話が進んでいたのである。


「ターザン、ラーメン楽しみ。ターザンはグルメだからな」

「なんででござる!ターザン氏は食にこだわりない顔でござる!肉とかサプリとかプロテインとか好きでしょ!?」

「そんなことない。そもそもプロテインとか飲まん」

「ジム通ってる顔なのに!?」

「たまに市民プールで水泳して鍛えている」

「なんでや!ダンベルとかで鍛えてる顔やろ!」

「しないしない」


白田とターザンでやたら盛り上がっている。

タケル同様、彼らもいつも以上にテンションが高いようだ。


「ターザンはスマブラとかする」

「ヤクザが戦うゲームする顔でござる!そもそも誰使うの?」

「ホムヒカ」

「なんで!?ガノンおじさんとか格ゲーのキャラとかむさいおっさんしか使わん顔やろ」

「ターザン、萌えキャラしか使わない」


「えーっ!?」とタケルもターザンの意外な持ちキャラに驚いている。

確かにギャップあるけど……!

ガノンとかCFとか使ってそうだけど!


「明智氏の持ちキャラは誰でござる?」

「ロイ」

「美男美女の剣使いしか操作しない顔でござるもんな」

「そ、そんなことないよ……?」


……よくよく考えたらハイラルの剣士とかも使うし、あながち間違いないかもしれない。

白田の指摘になんか負けた気分になっていると山本から「んなことどうでも良いから歩きながら会話しようぜ」と指摘される。

「そうだな」とタケルが頷いて、白田の案内で幻の佐野ラーメンが食べられるお店に向かおうとした時だった。


「兄さん!明智君!君たちはこっち!」

「あれ?理沙?え?お前、違うクラスなんじゃ……?」

「え?なにが?俺、なにも聞いてない……」

「とりあえず!兄さんも明智君はこっち!この2人もらっていきますね山本君!」

「え?あ、あぁ……。なら3人で行くよ」


山本が頷くと、理沙は「ありがとうございます」と感謝しながら俺とタケルの手を掴むとズルズルと引きずられていく。

あれれ?

なにがどうなっているんだ?

よくわからない道をすたすた歩かされることになり、山本たちから離されてしまう。


本気で何もわからないだけに、「俺らなんかしたん?」とタケルに尋ねるも、「俺も知らね」と彼もなにもわからない状況に巻き込まれているようだ。

その反応に理沙が「はぁぁぁぁ」と大きいため息を吐き、じろっとタケルをにらみつける。


「兄さんは察し能力が低いですね」

「え?なにが?」

「タケルは鈍感主人公顔してるもんな」

「なんで事情知らないのに秀頼も俺弄りに混ざってんだよ!お前に言われたくねーよ」

「俺は主人公顔してねーだろ……。どう見ても三下のチンピラ顔だろ」

「はいはい。どうでも良いですよ。着きましたよ」


理沙がそう言って足を止めると、俺とタケルも同時に足を止める。

するとそこには見覚えのある顔がたくさん混ざっていた。


「あ!おはようございます、明智さん!」

「おはよう島咲さん。それにみんなも……」


そこには俺と付き合っている2年生の彼女全員にプラスして何故か落ち込んでいる悠久先生が集まっていた。

そこに俺と理沙とタケルが合流するという形になる。


「理沙、これなんの集まり?」

「何故兄さんはこんなに女性が集まっているのに察することが出来ないの……?明智君ならわかるよね?」

「あぁ。わかるわかる」

「ほら!兄さんがおかしい」

「いや、絶対こいつわかってないぞ」


「そんな強がり言って……」と理沙はタケルに呆れるが、実際彼の言うとおりなんの集まりかはわかっていない。

ただ一言だけ言うことがあるとすれば……。


「まるでピクニックだな」

「そういうこと。わかった兄さん?」

「「え?」」


俺とタケルの声がハモりを見せる。

一緒タケルと目が合って、「当てずっぽうじゃねーか」と文句を吐かれてしまう。

やっぱり彼にはなんでもかんでも見透かされてしまうらしい。


「兄さんと明智君のお弁当も準備しているの。ほら、来てください」

「秀頼君!こっちこっち!」

「絵美のところに来たら私から遠いじゃないですか。秀頼さん、こっちですよ!」

「でも永遠のところに秀頼様が行っちゃったら美鈴から遠くなります!」

「あ、ならボクのところに来てください」


彼女らはレジャーシートを数枚広げていて、どの辺りに座れば良いのかと本気で悩む。

『こっちこっち!』と言われるものの、どこに行っても批判がありそうだ。


「むしろ俺が気まずいよ……。俺も山本たちに付いて行った方が良かっただろこれ……」

「兄さんのぶんのお弁当も作っちゃいました。そもそも!私が今朝お弁当作ってたの知ってて本気でお弁当食べようとしていたの気付かない鈍感さはなんなんですか!?」

「あ、いや……。佐々木や秀頼たちと一緒に食べるんだろうなーって……」

「じゃあ明智君を他所に連れだそうとする兄さんはなんなんですか!?」

「はっ!?確かに!」

「バカなんですか!?」


なんか十文字兄妹のプチ口論が始まっていたが、案の定タケルが劣性である。

口喧嘩が弱いところは原作からの変化はないようだ。


「お弁当あるなら言ってくれたら良かったのに……」


普通におばさんに対して『昼飯は外食にするからお弁当は不要』なことを伝えていたので、そもそもお弁当の用意はしていなかった。

ガチで今までこのことは知らなかったので、野郎共と幻のラーメンを食べに行く流れになっていた。


「明智君にサプライズよ、サプライズ」

「サプライズ?」

「そういうこと。秘密には意味があるってこと」


円からの言葉に胸からジーンとくるものがある。

サプライズなんて言われて嬉しい言葉に決まっているからだ。


「秀頼にサプライズって……。俺、関係ないんだけど……」

「わたくしだって同じ立場よ、十文字君!」

「あ、学園長先生……」


何故かずっと悲しいのか悔しいのかわからない空気をまとって黙っていた悠久先生がタケルに同調するように声を荒げていた。


…………あれ?

何故原作と違ってタケルをタケルじゃなくて、十文字君と呼んでいるのか?

原作との相違点が気になった。

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