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33、豊臣光秀の父親

「ただいまー!帰ってきたぞ、光秀ッッッ!」

「…………おう」

「テンション低ッ!?」


これはいつ頃の記憶だったか。

確か前世で死ぬちょっと前くらいだったと思う。


「悪いな、こんな夜中に」

「まだ20時前だよ」


謝りながら、申し訳なさそうにした父さんが部屋に入ってきた。


「なんだよー?父さん帰ったのに塩対応じゃないか?『家に帰ったのに息子が反抗期です!』みたいなラノベの主人公気取りかお前?」

「そのタイトル、俺じゃなくて父さんが主人公目線でしょ。ヒゲ親父が主人公で俺がメインキャラみたいはラノベなんか需要ねーんだよ」


ゲームのコントローラーを操作しながら、セーブ画面に飛ぶ。

しっかりセーブがされたのを確認して、ゲーム機の電源を切った。


「あちゃあ。マルオブラザーズしてたか……」

「ゲームが全部マルオだと思ってるのオッサンっぽいから止めた方が良いよ?ゲームをピコピコって呼ぶ方がまだ許せるわ」

「『悲しみの連鎖を断ち切り』……?エ□ゲーみたいなタイトルだな……」

「何故エ□ゲーのタイトルみたいという感想を出せるのにマルオだと思うのかが理解出来ねぇよ」

「ほら、最近父さんは文明から離れてたからさ……。3ヶ月ぶりに豊臣家に帰ってきたんだよ」

「冒険家なんかしてるから帰って来ないんだろ……。次、いつ冒険出るの?23時頃?」

「なんですぐに追い出そうとするの……?息子が冷たい……。可愛かった光秀が今や現代っ子に成り果てて父さんは悲しい……」


冒険家ねぇ……。

家族をほったらかしにして、よくわからん土地に行く父さんを前世は理解出来なかったっけ……。

別にこの辺で普通に働いたら良いのにと100回以上は考えたことがあった。


「父さんが冒険家辞めて普通に働いたら可愛かった光秀に戻るんでない?」

「魅力的な話だ……。だが、無理だな」

「あっそ」

「世界中でまだまだわからないことだらけなのに知らないままの人生なんてつまらないじゃないか。俺はよ、好奇心が思うがまま風のようにふらっとどこかに行きたいんだよ」

「ほーん。そんで好奇心が思うがまま、風俗で女抱くってか」

「しないよ!?高校生は下ネタ好きとはいえ、父さんにどんなイメージあるの!?俺はめっちゃ母さんに一途だよ!?光秀が一途に女の子を想う性格は両親譲りだよ!?」

「きめぇこと言うなよ」


一途に女の子を想う性格とかいう言葉をよく真顔で言えるもんだ。

引くところもあるが、すっと言えるのが尊敬する。

引くところもあるが……。


「大体なにが一途だよ。俺は母さんから、あんたが一時何人かと同時に付き合ってたの知ってるからな?」

「全員に本気だったんですぅ!それはもう一途だろ?国の法律に負けただけなんだよ。俺はな同時に5人の女と結婚を前提に付き合ったが優劣とかキープとか考えてなかったからな!全員に本気だったから!」

「一途かそれ?」


自分の父親はそんなにイケメンなわけでもないのに、女に囲まれていたという事実になんか複雑な心境を抱く。


「俺が光秀くらいの時は全然モテなかったよ。でもよぉ、ウチの家系は代々30代からモテ始めるんだってよ」

「そんな年取ってからモテてもなぁ……。あともう10年以上モテないのかよ俺……」

「今死んで、その精神年齢のまま高校生まで育てばちょうど30代でモテ気突入するな」

「無理だよぉ!」

「あ!でもお前は母さん似だからオタクに優しいギャル的な需要あるな……。女子より男子にすっげぇモテそう」

「まったく嬉しくないよ……」


顔は凄く母さん似で、性格は両方に似ているとよく親戚に言われがちである。


「今回はどこ行ってきたよ?」

「紛争地域に半年ほど。大変だったぁ……。あ、お土産の昆虫缶詰」

「要らね。フリマアプリで売っといて」

「なんでそんな冷めてるの!?お土産話聞かせてとかもっとあるだろ!?」

「オハナシキカセテー」

「なんで光秀がこんな性格に育ったのか……!父さんの育て方が間違えたのかなぁ!?」

「いや、あんた俺が幼い時からずっと世界飛び回っていて育ててないじゃないか……」


父さんとの記憶の半分は無人島連れて行かれた時と言える程度にはそんなに家にいた記憶がない。


「とある国の大統領と友達になってきたよ」

「ふーん」

「だったんだけど、知り合って2日後にその大統領暗殺されちった……」

「大丈夫なんかそれ!?」

「そして、紛争地域の冒険も終わり寒い地域に行きたくて冬の国に行って来たよ」

「おい!?大統領の話終わりかい!?そっちを詳しく話せよ!?気になるよ!?」


突然話が打ち切られて違う話題に飛んで驚愕する。

父さんは結構、そういうところがある。


「そこは猛吹雪のペンションでな、酒がうまかった」

「そうかい」

「ペンションで疲れを癒していたら『今夜12時なんか死ぬ』みたいな脅迫状来て殺人事件に巻き込まれてさ!傘の先端で刺されそうになったり、犯人が死んだ振りしてたりでやばかったよ」

「すげぇ気になるじゃん!犯人どうなったん?」

「その後に美術館に行ったらトマト投げてる奴いたよ」

「どんな冒険してんだよ!?全部気になるじゃねぇかよ!」

「そういう経験が刺激になるんだよ。俺は冒険家なんだから、お前は世界を歩く旅人になれよ」

「いや、平和が良いよ」

「つまんねぇ!父が冒険家、息子が旅人とかになったら豊臣家すげぇってなるぞ!」

「やべぇってなるよ」


俺が今更になって、父親みたいになりたいなんて考えてしまうのも年を取ったからなのかね?






──────





「秀頼さんが居なくなるなんて寂しいですよ!」

「え、エイエンちゃん……」


永遠ちゃん、咲夜、五月雨とこの場の3人はまったく理解を示していないという事態になっていた。

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