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25、3人目

3人目の自宅に向かう。

今日1日、凄い濃い日を送ったと思うがこれで最後である。

えりなさん、エニアと強烈な個性に当てられていて既に疲労している状態だった。


「あら、おかえり秀頼」

「ただいま……」

「まったく!いきなり泊まるなんて連絡して!そういうのはもっと早く連絡しなさいよ」

「は、はい……」


悠久先生から軽く叱られつつ、頭を下げる。

セレナのことで聞きたいことが出来たとはいえ、あまりにも急であったが暇らしくすぐに来訪にOKを出してくれたのだった。


うーん……、見事にこの3人とは恋愛関係に発展しそうのない年上組である。

しかし、絵美や星子たちとの恋人との時間を削る以上はきちんとしたセレナに関する情報が欲しいところだ。


「あ、着替え持ってきてねーや」

「大丈夫よ。何枚か秀頼用の服を買ってあるから。7枚はあるから1週間滞在しても毎日違う服が着れるわよ」

「でも、8日目から違う服じゃん」

「そもそもあんた、そんなに服にバリエーションないでしょ」


「秋用冬用もその内揃えておくわ」と悠久先生からありがたいお言葉をいただき頭を下げる。

なんかいつの間にか悠久が第2の保護者になりつつある。


「下着はトランクス派よね?」

「はい。トランクス以外履かないです」

「秀頼は顔がトランクスだもんね」

「え?なんでいきなりド●ゴンボールの話したの?」

「してないわよ?」


「そうじゃなくてトランクス履いていそうな顔してる」と訂正される。

一瞬、自分は青髪イケメンだっけ?と困惑してしまっていた。


「やっと秀頼が来てくれた!1人だとこの家は広くて広くて……!」

「家というか屋敷みたいなもんですからね……」


使用人とかいても全然不思議じゃない大きさをしている近城家である。

城と名字にあるからなんか偉そうな名字だし、お金持ちみたいだし家ガチャは残酷だと思い知らされる。


「妹の絵鈴さんを連れ戻したら良いんじゃないですか?たまに達裄さんの家で見かけますよ?」

「いやー……。ないかなー……?」

「どんだけ妹さんと仲悪いんですか……?」

「そ、そこは複雑な事情があるのよ」

「母親が違うとかなんとか聞いたけど……」

「お互いそういうところに敏感になるの!嫌いじゃないけど嫌いみたいに振る舞っちゃうの!お互いにっっっ!」


知りたくもないが近城家の父親が色々とヤンチャして拗れているのは知っている。

確かに仲良くはないが、悠久先生と絵鈴さんも喧嘩友達みたいな関係だったのを思い出す。

なんかそういうところも典型的な貴族様だなぁ……。


「大体、秀頼だって星子ちゃんと一緒に住んでないじゃん!」

「そこよりも俺が呼び捨てで、星子がちゃん付けなのが気になるんだけど……」

「誤魔化さないで。兄妹別居している人に姉妹別居していることに指摘される謂われはないわ!だってわたくしは」

「壮大なんでしょ?」

「決めゼリフを取らないで!」


指摘されれば状況が違うとはいえ、俺も妹の星子とは別居してたんだった。

なんだ、悠久先生と変わらないじゃないか。


彼女は「ふーっ」と息を吐き、黒髪が靡いた。

そういう仕草だけ見ると絵になる大人の女性である。


「とりあえず家の掃除をしましょう」

「は?」

「これから真夏が来るわけじゃない!エアコンのフィルター、サーキュレーターの羽根を洗う手間があるのよ。秀頼、どっちが良い?」

「え?さ、サーキュレーターの羽根?」


別にどっちの掃除でも良かったのだが、語呂の良さを取ってサーキュレーターを選択してしまっていた。


「じゃあそっちよろしく!全部でサーキュレーター5台あるから頼むわよ!」

「1人暮らしでサーキュレーター5台は多くない!?」

「わたくしはこれからエアコン3台ぶんのフィルター掃除するから!よろしく!」

「えぇっ!?」

「あ、ついでに扇風機も3台あるからそっちの羽根掃除よろしく!」

「エアコンにしとけば良かった!」

「暑がりなのよ、わたくしー」


「水着でギフトアカデミーに通いたいくらい!」といって部屋に消えていく。

なんだ、ウチの学園はあんなメンタル露出狂に支配されていたのかと彼女の何気ない呟きに色んな意味で怖い感情が沸き上がった。


俺はとりあえずギフト所持者に関しては1番詳しいであろう悠久先生の話をするためにこの掃除を終わらせる必要がありそうだ。

とりあえず部屋を巡りサーキュレーター・扇風機探しからはじまる。

見付けたモノから廊下に出し1箇所に集めたのだが、サーキュレーター4台と扇風機2台しか見付けられなかった。

どっちも1台ずつ足りなくて部屋を2往復目を始めたらまさかの押し入れの奥深くから出てきて集めるだけで1時間弱かかった。


「せめて出しとけやコラ!聞こえてんだろ悠久!」

『いや、水着着て学園通う勇気はわたくしにはちょっと……』

「そういうことじゃねぇんだよ!なんで1時間も前の出来事の会話してんだよ!」

『わたくし、あと1台ぶんのフィルターで掃除終わるけど秀頼はどれくらい掛かりそう?』

「今から着手ですが!?サーキュレーターの羽根でベ●ブレードやりたい!」

『羽根が壊れるじゃない!?』

「ゴー・シュート!」

『やめて!』


ベ●ブレードをやめる変わりにエアコンのフィルター掃除が終わったらこっちの掃除も手伝う約束をして薄くまとわり付いたハウスダストを落とす仕事に取り掛かる。

俺は教師の家でなにやってんだろう……。


「教師の家にあがったことあるのは悠久先生だけだし、その上先生の家の掃除もすることになるなんて……」

「わたくしも生徒で家に来たの秀頼だけだし、掃除させたのも秀頼が初よ。需要と供給が成り立ってるわね」

「どこが需要?どこが供給なの?」


こうして軽口の文句を言いながら2人で夏に向けた大掃除を繰り広げたのであった。


──そんなこんなで時間は夕方になっていた。

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