表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

795/889

12、セレナ登場!

「んでんで!どこいるのジューモンジの彼女!」

「付き合ってねーから!佐木はなんでさっきからそんなテンション高いんだよ!?佐々木からもなんか言ってくれよ!」

「今日は朝から詠美ちゃんのテンションが高いですね」

「そんなの見ればわかってんだよ!」


詠美と絵美の従姉妹ペアに振り回されるタケル。

男ってのは女に口では勝てない生き物である。

こういう時はそういうモノだと思って生活するのが正しい処世術である。


「どこ行っても賑やかな奴らだ……。秀頼を見てみろ」

「…………」

「なんでそんな悟りを開いたような表情してるの!?」

「早くしよ」

「わかってるよ!」


タケルが全員の前に飛び出し、木がたくさん植えられているエリアに向かいだす。

アニメでも見たことのあるタケルとセレナが密会するベンチの場所だと気付いた時だった。


「ま、待ってジューモンジ!?」

「あん!?なに!?」


詠美からちょっと慌てたような声を上げられて足が止まるタケル。

そこにいきなりテンションに水を差されたような表情の詠美である。


「そ、そこはあまり近寄らない方が良いよ……。ゆ、幽霊とか出るって話だし……」

「幽霊?」

「この世ならざる者の姿が現れるって有名なんだから!」

「はぁ!?出ない出ない、安心しろよ。それともまさかぁ、佐木さんはこの世ならざる者が怖いのかなぁ!?」

「こ、怖いわけあるかぁ!」


タケルが復讐とばかりに詠美をさん付けにして煽りだす。

急に反撃出来る材料を見付けてイキイキしてやがる。


「詠美ちゃん、怖いの苦手なんですよ」

「あー……」

「ぼ、ボクも苦手です」

「お姉様のイタズラのトラウマが遥香にまで……。遥香かわいそう」

「わたくしも色々と酷い目にあっているんだが!?」

「タケル先輩たちとお兄ちゃんたちでまったく別の話するのやめませんか?お互いの話が全然入ってこないので」


1番冷静なのは唯一の後輩である星子であった。


「ゆ、幽霊なんているわけないじゃん!ねぇ、ミスズ!?」

「え?幽霊、いますよ。ガッツリ存在します」

「…………え?」

「詠美ちゃん……。わたしたち、肝だめし行って実際幽霊と出会ったりしちゃってます……」

「う、ウソだぁ!なぁ、ハルカ!?」

「ボクなんか実体の無い甲冑に追いかけまわされて、挙げ句その甲冑がボクに取り憑いてますからね。あと、この世にコモドドラゴンも存在します」

「コモドドラゴンはもしかしなくても普通に実在するが……」

「俺なんか幽霊共の長であるゴーストキングに会ってるからな!」

「あ、それはジューモンジのウソだ」

「ウソじゃねーよ!?」

「…………」


なんやかんや詠美以外、この世ならざる者とエンカウントしたことあるメンバーしかいないようである。

8分の7が幽霊?の被害者らしい。


「ひぃ君……!」

「いないよ、大丈夫。みんな意地悪だね」


詠美が震えながら抱き付いてくるので、大丈夫だよという意味を込めて頭を撫でる。

絵美と髪質も似ていて、触りごこちは気持ち良い。


「なんでお前はそっち側なんだよ!?お前もバリバリ幽霊被害に遭っただろうが!」

「優しい嘘ってやつだ」

「やっぱりウソかぁぁぁぁい!ひぃ君の女垂らしぃぃぃ!」


抱き付いていた詠美が離れていく。

その彼女に絵美が近付きにまにま笑っていた。


「あれれ?詠美ちゃん?ひぃ君と1番付き合いが古いを自称している割りにそんなことも知らないんですか?ねえねえ、秀頼君が女垂らしなの今知ったんですか?」

「ぐぅぅ……!」

「ここぞとばかりに絵美先輩が詠美先輩を弄りだしましたね……」

「よっぽど詠美さんに虐められていたんですね……」

「誰も秀頼のフォローをする人いねーな……」

「彼氏とはいえ、毎回扱いはおざなりなだけか……」


誰も詠美の女垂らし発言をフォローする人は現れなかった……。

「とりあえず行くぞ」とタケルが前方へ歩き、木々の間を踏み込んでいく。

そのまま俺たちも次々にタケルに続いて行った。


「よっ、セレナ」

「あ!タケルだ!おはよう!」


元気で明るい声が響く。

綾瀬翔子が『事務所でゴリ押ししたい新人声優にメイン級の役割を与えたいとかいう死の呪文!』などセレナについてぼやいていたが、その聞き馴染みのある声優の声なのを確認し、彼女が本当にセレナだと確信する。


「今日は友達がいないセレナのために、何人か友達を連れて来たんだ……」

「た、タケルちゃんに友達いたんだ……」

「タケルちゃん呼ぶな!」

「友達少ないことは認めているのかお前?」


セレナからもタケルちゃん呼ばわりされていた。

なんか親密感……。

自己紹介よりもタケルの反応につい口を挟んでしまっていた。

ようやくセレナと対面である。

オレンジの髪色でワンサイドアップの髪型にして、ワンピースに身を包んだ少女がそこに立っていたのだ。


「タケルの友達!?よろしくお願いします!」

「可愛いー!」

「よろしくお願いしますね!」

「ジューモンジ友達少ないってバレてんじゃん!」

「…………」

「どうしたセレナ?」


セレナが絵美、星子、詠美から言葉を掛けられ黙り込みながらじーっとタケルに目線を向けた。


「…………めっちゃ浮気してる!」

「いや、してねーわ!誰とも付き合ってねーよ!」


タケル、今日何度目かわからない激しい突っ込みが冴え渡る。

バンバン彼が突っ込んでくれるので、わりと今日の俺はモブ役に徹していたのである。


「セレナというのか。よろし……!?」

「ん?どうした美月?」

「あ、いや……。なんでも……ないのか?」

「ん?」


美月が歯切れ悪くたじたじになる。

セレナを目にした瞬間、美月がソワソワし始める。


「秀頼様……」

「美鈴?」

「あ、明智さん……。ちょっと……」

「お前たちもか……。秀頼、ちょっと来い」

「あーれー」


美月にズルズル引きずられ、そこに美鈴と三島が付いて行くようだ。

詠美から「どうしたの?」と尋ねられると、美鈴が「ちょっと飲み物買ってきますわ。何人か借りますわね」と微笑んでいた。

そのまま4人で、彼女たちと合流したラインまでズルズル戻されて行く……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ