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31、スターチャイルドは信用しない

美月と美鈴が暮らしていた深森家に招かれて1晩が経つ。

手応えがあったような、無かったようなよくわからない深森家の挨拶で色々な反省が羞恥心のように頭でリプレイされていく。


「…………」


深森家全員にギフト使用(上松さん含め)という中々に後ろめたいことをやったのは、個人的に封印したい出来事である。

ただ手品のギフトとして絵美や美月や美鈴たちにごり押している以上、これからも手品のギフト所持者として生きていかなければならない。

ベッドの上で誓いを立てて、軽い欠伸が溢れてしまう。


「緊張や興奮から寝付けが悪かったからな……。何時だよ今……?」


スターチャイルドが妖艶に微笑むロック画面のスマホを開くと、デカデカと10時10分と表示していた。

起きていきなり10時過ぎというもったいない休日の朝に後悔が訪れる。

朝を寝過ごしたという思いに、ハッとしてベッドから立ち上がる。

部屋の掃除とか、予習復習とか、筋トレなどの身になるなんかをしなければと急かされていた時だった。



──コンコン。



部屋を遠慮がちにノックする音が響く。

俺の部屋に訪れるランキングツートップであるおばさんと絵美はそもそもそんなにノックをしないので、その2人以外の誰かが来たのではないかと予想を立てる。

でも、誰とも約束していないし、タケルか山本辺りが遊びに来たのかと軽い気持ちで「はーい」と返事を出すとガチャとドアが開けられた。



『ハァロー☆スタチャスマイル☆』

「……え?え?」



スマホのロック画面に写っている子の声がしてハッとする。

いやいや、まさか……?

こんなの幻聴でしょ?と改めて来訪者が誰なのかドアのところに視線を向けた時だった。


「こんにちは、秀頼お兄ちゃん」

「す、す、す、す、スタチャ!?な、なんで……!?」

「もう……、ドキドキし過ぎだよ明智さん。サプライズ大成功☆」


スタチャスマイルで微笑みながらスターチャイルドは俺のところへ近付いて来た。

星子が訪ねることは嬉しいが、それがスターチャイルドになるとより緊張感のバクバクが増す。

金髪に夜空を思わせる黒髪のメッシュは本当にスタチャにしか似合わないヘアスタイルに色々な意味で心臓に悪い。

たまに星子はこういうサプライズを定期的にしてきて我が妹ながらたまにサディストなのだ。


「こんな時間まで明智さんは眠ってたの?お寝坊さん」

「ッッッ……!?」


ツンと俺の鼻をくいっと押してくる。

かぁぁぁとスタチャからのからかいに顔の温度が急上昇する。

ベッドの中に隠された下半身では無意識にテントが張ってしまい、ベッドに身体が縫われたように出て行けなくなってしまう。


「ど、どうしたのいきなり……?」

「聞きましたよ明智さん……」

「な、なにが……?なんで今日のスタチャさんはそんなにお怒りさんなの……?」


ジッとスタチャが目を細くして機嫌が悪いのを隠さない。

あれ?

不機嫌になるようなことがあったのかな?とちょっと怖くなる。

大好きな妹であり、めちゃくちゃ推しているアイドルに睨まれるようなことがあったのかと思うと生きた心地がしない。


「昨日の話です……」

「昨日……」


昨日といえば上松さんに連れられて深森家に行ったことを嫌でも思い浮かべる。

まさか深森家に挨拶に行ったのに、細川家に挨拶をしないことに怒ったのだろうか……?

なんてビクビクしていると、彼女の口から嫉妬の理由が語られる。


「私は収録が終わり、星子としてミャクドナルドで軽く夕飯を済ませようと並んでいた時でした」

「ミャクドナルド……?」


なんか昨日、偶然にミャクドナルドの単語を聞いた気がすることを朧気ながら記憶の片隅に残っているのに気が付く。


「その時、私の後ろに偶然翔子ちゃんが並んだのですよ」

「え……?アヤ氏が……?」

「彼女が『今日はちょうど星子氏の兄貴である明智氏の家からの帰りだぜ!』と楽しそうに語っていましたよ」

「確かにアヤ氏と遊んでたな……」


その後の出来事のインパクトが強すぎてアヤ氏と遊んでいた記憶が薄くなっていた。


「明智さん、まさか翔子ちゃんまで家に招いていたなんて……。まさか、新しい彼女として翔子ちゃんを紹介する気ですか!?」

「しない、しない。それはあり得ないから……」


アヤ氏は見た目はオタクなメガネ少女だが、中身はおっさん(?)である。

俺とアヤ氏が彼氏彼女として付き合ったら、精神的BLになるのではないだろうか……?

頼子とアヤ氏なら同じ境遇女子仲間になりそうではある。


「でも明智さん、最近彼女が増えるペース異常ですから。油断は出来ませんが信頼はしてあげます」

「信用はしてないんだね……」

「明智さんの女性関係だけは信用してないので」

「悲しいなぁ……」


アイドルにキッパリ信用しないと断言されるのはガチのショックである。

もっときちんとだらしない姿は見せない努力を心がけていきたいものである。


「とりあえずただの後輩である翔子ちゃんと遊んだなら、彼女の私も遊びたいわけですよ。ね?明智さん」

「……………………」

「明智さん?」

「す、スタチャが俺の彼女!?」

「今さらですか!?一緒にスタヴァとかも行ったじゃないですか!?」


吐血しそうになるくらいにインパクトの強すぎるパワーワードに腰を抜かしそうになっていた……。

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