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23、綾瀬翔子のギャグセンス

「えー?なんだろう美鈴が急に会いたいなんて……」


突然来たラインに疑問を口にして、考え込んでしまった。

なにかトラブルがあったんじゃないかとか、ギフト狩りが関わっているんじゃないかとか、そういう心配が襲ってきてしまい、そわそわしてしまう。


「おいおい、明智氏よ」

「どうしたアヤ氏?」


一緒に俺の部屋でスマブラで遊んでいた同じ転生仲間の元男のメガネ女子アヤ氏が俺を弄る気満々のノリノリな高い声を出してくる。

ねっちょりした声にちょっとだけイラっと来る。


「女子がいきなり会いたいなんて言い出したら……。きゃっ!はじゅかしい!」

「クネクネすんな!なにが『はじゅかしい!』だよ!お前が1番恥ずかしいわ」


ぶりっ子みたいな素振りでテレるうぜぇ仕草をしてきて、結構素で突っ込む。

豊臣光秀時代のちょっと尖った時代の地が出てしまうくらいにはムカついた仕草だった。


「そ、そりゃあ今から夕方になるし……。セからはじまりクスで終わる行為のお誘いだよ。ほら、男はホテルリードだ」

「無駄に経験者って顔がムカつく……」

「あぁ!オレっち、これまで5人と付き合ってたことあるからね。経験値は高いよ」

「え……?」


なんかアヤ氏に負けた気分で複雑だ……。


「え?やだ、明智氏前世も童貞?」

「み、未成年で亡くなってるから仕方ないだろ!?」

「童貞が許されるのは小学生までだよねー」

「…………」


ここぞとばかりにマウントを取ってくるアヤ氏には完敗である。

ぐぬぬぬと歯を食い縛るほどに悔しいが、さっきまで剣士のロ●でアヤ氏のマ●オをボッコボコにしていた恨み晴らしだと言い聞かせて怒りを制御する。

美鈴のラインを返信して、彼女と会えることを喜びテンションを上げることにする。


「大体そんなこと言ったらアヤ氏だって今日いきなり遊びたいから会いたいって連絡したじゃないか」

「あ、確かに。じゃあ、明智氏ヤル?」

「お前とでは絶対童貞卒業したくないわ……」

「ムッカー!このメガネの完璧美少女の誘い断るとか脳にウジ虫沸いてんじゃないの!」

「アヤ氏なんか完璧美少女の宮村永遠の前では霞むっての」

「最強論破ァァァァ!?ヒロインはずりぃぃぃ!」


「でもオレっちは完璧美少女といえばアリア派ぁぁぁ!」と倒れながらも自分の主張は曲げないアヤ氏であった。

この子、アリア大好きね。


「でもアリアはさぁー……。露骨にスタッフから寵愛受けまくりで」

「ギクッ!?……そ、そ、そ、そんなことないよぉ!そんなシナリオライター含めたスタッフらが1人のヒロインを贔屓しまくるとかあり得ないっしょ」

「露骨な贔屓しまくりじゃねぇかよ。本来のヨルが来た1周目のルートはタケルとアリアが結ばれた世界だったとかこれまでの俺のゲームのプレイを全否定された気分だったし」


そこはぼかせって思ったよ。

それにアリアの名前が初登場時点でロクに出番ないのにそりゃあねーよと思ったよ……。


「そ、そ、そ、そういう話やめようぜぇ明智氏ぃ?深森美鈴氏と遊ぶんでしょ?準備しないと準備!」

「おっと。そうだったな準備しないとな」


別にポケットにスマホ入れたり、上着羽織るくらいしか準備なんか必要ないけど。


「アヤ氏もそろそろ帰るんでしょ?」

「おうよ!夜ミャックに行くからな!」


『ミャクドナルドの夜限定メニュー買いたいからその時間潰しとして夕方まで遊んでくれ』という動機で昼から遊びに来たアヤ氏と、今日は数時間雑談しながら一緒にゲームを楽しんでいた。

タケルほどに気安い仲ではないが、前世持ち仲間ということもありお互い先輩後輩以上に遠慮のないやり取りの出来る仲になっていた。

アヤ氏が元男ということもあり、感性も共通していることが多々あって意気投合することも多い。

喧嘩に近い軽口も多く、簡単に毒を吐ける仲でもある。

結構オンリーワンであり、謎な人間関係だ。


「はぁぁぁ……。てかさぁー、深森美鈴氏ってあんなに可愛いのマジでオレっち衝撃あるんだけど……。佐々木絵美もだけどさぁ……。原作ってどっちも地雷女だったじゃん?」

「い、いや?どっちも可愛かったよ?」

「マジかよ!?明智氏ふところひろっ!」


原作の美鈴と絵美についての言及はあまりしたくないなぁ。

付き合っている彼女のもしもの姿とはいえ、地雷女とは言いたくないけど、アヤ氏の言いたいこともわからなくもないのが困る……。


「でもさ、悪いのは彼女らじゃないじゃん」

「ひょ?というと?」

「それもこれも桜祭がそういう設定にしたからだろ。1度、そいつ本人に会って顔面ぶん殴ってやりたい」

「ぶ、ぶ、ぶ、ぶ、物騒なことはやめろよー、明智氏ぃー!」

「え?なんだよ急に?いきなり馴れ馴れしいな……」

「平和に行こうよ、平和に。英語でHEIWAだろ?」

「peaceだよ。確かそれ、原作の日常シーンで美月が真顔で言って滑ってたギャグじゃねぇか」


タケルと美月とヨルの3人の会話で、物騒なヨルの発言に美月がそのギャグで和ませ、タケルが無言で絶句することになった迷シーンである。

本気かギャグがわからないと総突っ込みシーンだ。


「そ、そうだっけか?あはは、忘れちゃってたよ……」

「え?これ、アヤ氏の純粋なボケ?美月とギャグセンス同じじゃん」

「ぐ、ぐうぜーん!そろそろ夜ミャック行くわ!」


逃げ出すようにして荷物をかき集めて部屋から出ていくアヤ氏。

なんなんだいきなり……?

隠したいことがあると言わんばかりに見えたのは気のせいなのか……。


「あ、車で迎えに来てくれるの?」


美鈴の指示に一驚を喫したのである。

車で迎えってタクシーかなんかで?

美月も美鈴も車を運転するのはありえないので、誰が運転手になってこちらへ向かっているのか。

突然怖さが膨らんでいったのであった。

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