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9、知り合った順番マウント合戦

「でも詠美」

「どうしたんミツキ?」


今回は詠美が主役のようで、色々な人から話を振られていた。

一応は馴染んでいるということだろうか。


「さっき、わたくしと遥香より前に秀頼と知り合っていたと言っていたが、いつ知り合ったんだ?第5ギフトアカデミーに入学してすぐのことなのか?」

「ちがうよぉー。私とひぃ君が知り合ったのはもっともっと前。小学生になる前だよ」

「えっ!?」


その時、各自から疑問の声が上がる。

その中でも1番声が大きかったのは、俺と1番付き合いの長い佐々木絵美であった。


「なんでミツキじゃなくてエミが強い反応示してんの?」

「え?え?詠美ちゃんと秀頼君ってそんなに古くから面識あるんですか……?」

「付き合い長いもなにも、昔絵美の家に私の家族住んでたでしょ。その時から私とひぃ君は友達だよ?」

「ええぇぇぇ!?」


絵美と俺が知り合ったのは、近所の公園で引っ越ししたばかりの彼女が1人遊んでいた時だったな……。

それよりも前によく詠美と知り合っていたもんだと驚かされる。


「ねぇひぃくーん?昔はもう私にデレデレだったもんねーっ。あれれ?もしかして1番古いひぃ君を知るの私?」

「…………」

「師匠が否定もせずに白目に……。無言の肯定ということだろうか!?」

「ふふん。でも残念ですね詠美先輩!」

「え?えっと……。誰でしたっけ?」

「1年5組の細川星子です。名前を英語にしてスターチャイルドって呼んで良いですよ」

「いや、スターチャイルドって呼ばんし……」


そこに敵対心を見せながら意見をする星子。

普段は自分からスターチャイルドを明かさない星子が遠回しにスタチャ牽制をするくらいには、かなり意識をしてるなぁと不安になる。


「残念ですが、詠美先輩。私とお兄ちゃんは赤ちゃん時代には顔を合わせていますよ」

「赤ちゃん時代!?というかお兄ちゃん!?」

「名字は違いますが私たち姉妹ですからね。髪色同じなんですよ」

「なんで妹と付き合ってんの……?」

「そういう話題はタブーですよ」


いきなりはじめる俺の初対面がいつかどうかのマウント合戦がはじまり、白熱していく。

い、一体なにが彼女らを燃え上がらせているのだろうか……?

しかも、俺は星子の赤ちゃん時代とか覚えてないし……。

数年前まで妹の存在すら知らなかったし……。


「あー……。うん。確かに秀頼君と星子ちゃんは赤ちゃん時代に会ってるよね。そりゃあ。朝伊先輩から2人連れて店に来た時あったなー」


マスターもそんな俺が赤ちゃんだった記憶があるのか急に混ざってきた。

赤ちゃん時代の俺をマスターに知られていることが、なんか弱点や黒歴史を知られてしまったみたいで嫌である。


「朝伊先輩?」

「私とお兄ちゃんの母親ですよ。千姫先輩と漢字は違うけど名前の呼び方は同姓同名みたいですね」


浅井千姫と俺の母親が名前の呼び方は同姓同名?

なんか今サラッと星子が口にした言葉が胸に刺さる。

なんだこの違和感……?

なんでいきなり可愛い狂の千姫のことに意識が持っていかれるんだ?


「いや、千姫先輩とか知らんしぃー」


面識ない詠美はズバッと切り捨てた。


「星子ちゃん?朝伊先輩と同姓同名のんて人いるのかい?」

「亡くなったお母さんがまだ結婚する前の旧姓の方と同じ人ですけどね。『アサイチヒロ』って名前の人がいますよ」

「ややこしいことに細川、朝伊、明智と名字変えまくってたからねあの人……」

「みたいですねー」


いつの間にか、星子とマスターで俺の実母トークをはじめていた。

「秀頼君が全然母親のことわかって無さそうですが……」と絵美に突っ込まれるが、本当にそうであった……。


「因みに咲夜も赤ちゃん時代に秀頼君と会ってたからね」

「棚からぼた餅!ウチ、秀頼彼女たちで知り合った順位だと2位になるのか!」

「妹の私が1位です!」

「わたし、4位……?4位でも秀頼君と1番付き合いが長いのはわたしなんだからね!」

「じゃあ5位は兄さんと同率の私ですね!意外と高い順位なんですね私!」

「わ、わかったから!恥ずかしいからやめてくれっ!」


いつの俺と知り合ったのかみたいな盛り上がりかたの的にされるのがこんなに恥ずかしいとは思わなかった。

というか、このマウント合戦になんの意味があるのだろうか……?


「ふっ。甘いわねみんな。私は前世から明智君と知り合いよ。言うならば0位が私ね」

「見苦しいですよ姉者。わけわからない電波なことは言わないでください。恥ずかしい」

「電波ちゃうわ!」


生まれてくる赤ちゃんより以前の知り合いがいるのもなんか変な話である。

確かに津軽円の前世の来栖由美が1番最初に知り合ったし、かといって1位とは表現しにくい。

0位という表現がドンピシャだなと唸らされた。


「わ、私も実は結構高い気がするんですが何位でしょうか……?」

「島咲さんも確かに高いね」

「わーい!やりました!」


円を含めると7位、円を含めないと6位。

小学生時代から島咲姉妹とは面識あったんだったな。

実は永遠ちゃんより早く知り合いになっていた島咲さんである。


「……え?実は私がビリだったりする?」

「楓さんは学校が違いますし、仕方ないですよ。しゃーないですね」


なんという不毛な争いなのか。

事の発端になった詠美は飄々としていて、「意外と低かったなー」と呟いていた。

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