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番外編、幸せの実感

絵美が待ち合わせ場所を公言する場所へと歩いて向かうと、そこには既に数人の人影が集まっているようだった。

愛しい彼女たちの姿がたくさん見えて、既に新年からテンション爆上がりである。

その中で、1人が俺と絵美を発見したようで目が合った。


「ひでよりさまぁぁぁ!絵美!明けましておめでとうございます!」

「明けましておめでとう。今年もよろしくね」

「明けましておめでとう美鈴」

「秀頼様と絵美にそう言ってもらえると嬉しいですわ!」


やたらピカピカなコートに身を包み、寒さ対策をしている美鈴と挨拶を済ませる。

深夜に真っ先にあけおめラインを送ってきたり、今日の一早い俺と絵美の察知能力と美鈴の一途さは本当に報いたくなる。

自分がもっと美鈴に釣り合う男になりたいものだ。


「お姉様!秀頼様と絵美が到着しましたわ!」

「おはよう、あけおめ、ことよろの三拍子だ」

「何言ってるの美月?急にフランクな口調になって、わたしビックリ」

「友達と彼氏に使ってみたかった三拍子だ。ふふふ……」

「へ、へぇ……」

「お姉様は、美鈴と同じであまり友達いないから……」

「そ、そういうことを言うな!」


紋章に苛まれた美鈴と、実は他人を寄せ付けないようなオーラを発していた深森姉妹は実はそんなに友達がいないのは、原作でも語られていたなぁ。

友達に飢えている姉妹に、俺がもっと応えられるように出来るだろうか?

新年の目標が次々と頭に浮かんでくるようだ。


「今日は全員、来れないのが残念ですわ……」

「正月だからな。急だったし、時間を開けられない人が多いのも仕方ないな」

「確かになぁ。星子も今日は無理だろう……」


昨夜、リーフチャイルドと生配信をしていたスターチャイルド。

スターチャイルド本人の星子が色々用事が立て込んでいて3日までスケジュールがパンパンであることを昨日のあけおめラインの際に嘆いていた。

でも、兄ちゃんはそんな姿で毎日の活力をもらっているので是非、星子にはのびのびとアイドル活動を頑張ってもらいたい。


「あ!お待たせしました!明けましておめでとうございます!」

「三島!今年もよろしくな!」

「はい!よろしくです明智さん!」


4人が揃っていたところに三島遥香が合流。


「美月や秀頼さんたちが先に来ていたみたいですね。おはよう、あけおめ、ことよろの3拍子です!」

「おはよー、あけおめ、ことよろ!」

「ちょっと待て絵美!?わたくしの時と態度が違うぞ!?そんなに爽やかじゃなかったじゃないか!?」


最後に珍しく髪を絵美のようにツインテールにした宮村永遠が合流した。

今回は残念ながら6人しか集まらなかったようだ。


「6人と数にするとそこそこ多いのに、実際集まると欠席者が多いですね……」

「みんなはどんな感じで欠席なの?」

「十文字君と理沙ちゃんが両親が来ていて一緒に正月を過ごすとか。楓さんは実家に帰るんだって。津軽姉妹に咲夜も家族と用事があって、星子ちゃんは仕事」

「ゆりかとヨルちゃんは正月から寮の大掃除があるってげんなりしてましたね……」

「あー……。それは大変だ……」


特にヨルは掃除とか苦手なイメージがある。

冬休み中、時間があればバイト先に顔を見せようかな……。


「そもそもこの初詣の呼び掛けをしたのが昨日だからな。流石に急過ぎたか……」

「もうちょっと早く企画しないと……。俺なんか今朝、聞いたばかりだぞ……」


正月は積みゲー解消に務めるしか予定がなかったし、みんなの顔を見たいこともあって初詣を選んだのであった。


「流石秀頼様です!美鈴たちを優先してくれました!」

「おう!優先するぜ!」

「わたくしたちを優先する優しさが嬉しいな」

「明智さんの優しいところ好きです!」

「秀頼さんに会えただけで、今日は満足です!」

「せめて初詣してから満足しようよ!?」


永遠ちゃんの軽いジャブのボケに突っ込みを入れる。

可愛い天然発言である。


「あと、ずっと絵美が秀頼さんと手を繋いでいてズルいです!」

「流石永遠……。気付いてしまいましたか。だが、わたしは離さない」

「秀頼様!開いてる右手繋ぎますよ!」

「あぁ!?ズルい美鈴さん!?」

「私が……、漁夫の利をくらうとは……」

永遠(とわ)だけにか?」

「は?」

「毎回毎回、わたくしだけみんなの当たりが強すぎないだろうか……」


左手に絵美、右手に美鈴に手を繋がれる。

端から見た俺はどんな風に映るのかとか、考えないようにする。


「近くに縁結びの神社があるんです!僕が案内しますね!」

「縁結び……。テンションの上がる響きです!」

「おはよう、あけおめ、ことよろの次は縁結びか!なんて四拍子の日なんだ!」

「お姉様のそれは流行っているんですか……?」

「秀頼君!秀頼君!おみくじしよっ!おみくじ!」

「私はお守りが欲しいです!」

「順番に行こう!順番に!」


まだ神社にすらたどり着いていないのに、このはしゃぎような彼女らの高いテンションのストッパー役に自然となっていた。


「秀頼きゅぅぅん!」

「秀頼様ぁぁぁ!」

「よしよし。絵美も美鈴も可愛いなぁ」

「僕も明智さんと手を繋ぎたい……」

「順番ですからね!?絵美も美鈴もわかってますか!?帰りには変わってもらいますよ!?」

「……あれ?帰りに交代だと1人手を繋げない者が現れるが……。わたくしをハブにするなよ!?」

「じゅ、順番にね……!順番!俺がアシュラマンでないばかりにこんなことになってすまない……」


腕が6本あれば、この場の5人全員と手を繋ぎながら1本余る計算なのに……!

2本しかない腕に不甲斐なくなる。


「別に秀頼君にアシュラマンなんか望んでませんから……」

「そう言ってくれるとありがたい」


絵美の些細な言葉に救われた。

「次の角を曲がりますよー」という三島の声が聞こえる。

こんなみんなから必要とされることが、こんなに嬉しいと思わないことがない。

本当に今の自分は幸せである。


今頃、円は、和は、理沙は、ヨルは、ゆりかは、咲夜は、星子は、楓さんは何をしているだろうか……?

この場にいないみんなとも、一緒に初詣に行きたかったなと考えてしまっていたのであった。

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