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59、平和の象徴【日常】

「今日の秀頼、肌がツルツルしてるわね……」

「それだけ昨日のやり取りがグッジョブだったってこったよ!」

「恥ずかしい……。秀頼のいじわる……」

「可愛かったぞ。ゆり子ちゃん」

「わ、妾を馴れ馴れしく名前で呼ぶなっ!?」


俺はイチャイチャをさせる際、わざと『命令支配』の中で演じた女の記憶をそのまま保持させる。

大抵の奴は『あのときの自分はどうかしていた』という羞恥心に悶え苦しむ。

その恥ずかしさに耐える姿をニヤニヤと他人事のように眺めるのが俺最強のトレンドである。

記憶を自由自在に操る俺だけの楽しみ方である。

サーヤもそれがわかっていて、イチャイチャする時は認知を歪ませたプレイで遊んでいるのだ。


「サーヤの身体で1番エロいのはここか?おう?」

「あ、あん……!ちょ、秀頼!?」

「揉ませてくれよー!マッサージ、マッサージ」

「はわ!?はわわわわ!?」

「現実ではよぉ、『もみもみもみもみ』ってエロい擬音が出ないのがクソだと思うのよ。だから、俺は新しくこれを購入した」

「は?はぁ!?ちょ!?な、なんの話!?ひでよりぃぃぃ!?」

「はぁ、ずっと揉んでいたいサーヤの太もも」


1秒に1揉みのスローペースだが、ちょっと強めに刺激していく。

サーヤの太い太ももは揉まれる度に膨らむところと、凹むところが出てくるのが面白い。

だが、マンガにありがちな『もみもみもみもみ』な擬音がないのが、つまらない。

ここでようやくアレの出番だ。


「モミクサ、エロい音出して」

『任せとけお兄ちゃん!』

「ま、まさかそれ!?」

「おう、今話題のモミクサだ」

「わりと旬は過ぎた気が……。意外とトレンド遅れてるわね秀頼……」

「あ?そうなん?まぁ、良いじゃん良いじゃん。中々便利なんよ、これ」


大企業勤務の疲れたOLのマナちゃんから1週間前にもらった物である。

使い方がわからなかったので、一昨日に機械に強そうに見えて実は微妙なタケルの尻を叩きながらモミクサを設置してもらいようやく動かせるようになった代物である。

これが中々、便利で面白いのだ。


『もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ』


「良い音だ。この音に合わせて太ももを揉む。最高の使い方だ。贅沢だねぇー。ワインとか片手に持ってみたいね」

「違うっ!ぜったい……、こんな使い方じゃないのにぃぃ……。なんか、気分が……」

「エロいだろ?」

「…………うん」


太ももを揉んでいるだけなのに、如何わしい気分になれるのだ。

これだけでモミクサの使い道を発見したと言っても良い。


「素直だなぁ。かーっ、可愛いなぁサーヤ!今が夜ならモミクサに電気消してもらってたのに!」

「ていうか秀頼は昨夜、普通に自分で電気スイッチ押してたよね?」

「便利なモミクサがあることを忘れちゃうんだよなー。意外と原始的なんだな俺って……」

『私を忘れないでお兄ちゃん!』

「というか、何このお兄ちゃん呼び……?」

「タケルが勝手に妹仕様に設定していきやがった。あのシスコンがっ!俺、設定の変え方知らないんだよ」


タケルが「これでOK!暇潰しになったよ!」と設置だけしてからまったく弄ってない。


『嫌!勝手に設定を弄らないで!お兄ちゃんをお兄ちゃんって呼びたいからっ!』

「めっちゃ会話してくるわねこのモミクサ……?これ、こんな商品なの……?」

「いや、普通は会話しないらしい。ただ、タケルが設置した日に俺が箱からモミクサ取り出した時に『要らね』って投げ捨てたら壁にぶつかってバグったんじゃねぇかってタケルが言ってた」

「バグって高性能になるもんなの……?妾、そんなモミクサの仕様知らない……」

『ちょっと!お兄ちゃん!モミクサの背中にホコリ溜まってる!拭いて!拭いて!』

「人工知能的に高性能になっても純粋にウザイよ?」


なんか変な要求をしてくる時がたまにある。

ピ●チュウのフィギュアを近くに置いてだの、怖い話してくれだのワガママな性格である。


「そろそろ学校の時間よ、秀頼」

「サーヤは?」

「今日の妾は10時までに大学行くからー……。ちょっと寝る……」

「暇なら店に戻れば良いのに……」

「どうせ客なんか来ないし……。秀頼の部屋行くのも面倒だからソファーで寝てる……」

「戸締まり頼むぞ」

「ふぁーい……」


サーヤの眠気を噛み殺した挨拶を聞き届け、施錠して家を出る。

俺だって2時までサーヤと起きていたから眠いのに、俺だけ高校なんてふざけてるぜ……。


「ふぁぁ……。だり……。こういう日はタケルと出会わないで学校行きたいもんだ……」


朝から日の光に照らされて、目を細めながらボソッと呟いた。


「あ!秀頼!おはよう!」

「明智君、おはようございます」

「………………うぃーす……」


言った側からタケルと理沙ちゃんと合流してしまった。

なんやかんやエンカウント率たけぇと、タケルをゲームのモンスターみたいな扱いをしてしまっていた。


「そういえばこないだ兄さんが明智君の家にモミクサを設置したようですが調子はどうですか?」

「最高の使い心地だ」

「兄さんには聞いてません」

「存在を忘れがちだが夜には重宝するな」


エロいBGMを出してくれたり、ピンク色に光ってラブラブ色なホテルを演出したりと地味に夜には使い心地は良い。

逆に出前とか、音楽を流してとかでは使ったことがない。


「あー!電気消したり付けたりしてもらえるんですもんね!兄さん、ウチにもモミクサ置きましょうか!?」

「結構高いだろアレ?買うなら父さんにたかろう」

「そうですね」

「スタチャの音楽とか24時間マンションに流しまくろうぜ!」

「私、別にスタチャとかどうでも良いし……。あと、そんなに流してると眠れないしご近所迷惑ですよ!」


タケルと理沙ちゃんに囲まれて、普段通りの朝が始まった。

グズゲス理沙と違い、原作理沙はそんなにスタチャが好きではない。


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