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46、明智秀頼は結成する

「さっきの人、愛想が良くて可愛い人でしたね」

「さっきの人?」

「スタヴァの姉ちゃんさんですよ」

「そうだね。あんなに良い子はそうそう居ないよねー。あれこそ高嶺の花ってやつかも……」


かなり奥の方の4人用の席を確保した。

俺が座った位置の向かいに茂も腰掛ける。

平日夕方で人の出入りはぼちぼち。

入る人も出る人も同じ数くらいである。


「スタヴァの姉ちゃんさんは鼻筋がよく整っていていいなー」

「は?何言ってんだよ茂?スタヴァの姉ちゃんはえくぼが似合うだろ?」

「えー?えくぼは気になりませんでしたよー!チャームポイントは絶対鼻筋ですよ」

「わかってねーな。チャームポイントはえくぼだよ」


なんかスタヴァの姉ちゃんの話を他人とすると毎回チャームポイント議論が起こる気がする……。

何故かみんながみんなチャームポイントだと思っている箇所がバラバラということが起きる。

まぁ、気のせいか。

スタヴァの姉ちゃんと何回も触れ合っていくことで、本当のチャームポイントが見えてくるはずだ。

そう信じよう。


「どうだった?スタヴァの姉ちゃんと指原どっちが茂の好みだ?」

「指原じゃなくて美香ちゃんですよ!でも、タイプで言ったらスタヴァの姉ちゃんさんかも……」

「えー!?そうなんだぁ!茂は年上好きかぁ」

「でも、僕ではスタヴァの姉ちゃんさんを振り向かせることは不可能なのでやっぱり狙いは美香ちゃんにします」

「よし。なら茂は叶狙いということだな」

「美香違いじゃないですか。普通に美香ちゃんで良いですよ」


中学生で既に好みの子をスパッと言える子も中々珍しい。

前世の豊臣光秀氏の中3時代は『好きな人なんかいねーし!』と友人らに絶対に教えない、そもそも本当に好きな人がいないという春とはかけ離れた少年であったのは間違いない。

はしゃぎまわりながら竹刀を振り回し、部活一筋で恋愛とは縁のない人生だった。

そういう俺と似た陰キャ軍団を率いて、服のコーディネートや話し方のコツを陰キャの友人に叩き込んだ結果、彼女不在の陽キャ軍団に進化させたりしたものである。

いつの間にか俺が集めた陰キャ軍団は、陽キャより陽キャになっていったが、中学卒業と同時に自動消滅していった。


「陰キャ軍団か……」

「明智先輩?どうかしましたか?」

「いや。別に何したというわけではないが……。茂もそういう恋愛話をする場が欲しいかと思って。どう?」

「え!?明智先輩が僕のコイバナに付き合ってくれるんですか!?」

「まぁ、面白そうだし」


久し振りに野郎の後輩とこういった雑談をすることが懐かしくて、つい干渉してしまっていた。


「よし、ならばここに『脱・童貞同盟』をここに掲げよう!」

「『脱・童貞同盟』!?なんですかそれ!?かっけぇ!」

「童貞を抜け出したい野郎共の集まりだ。それが『脱・童貞同盟』。通称・DDDだ」

「DDD!?チョイワルな空気です!良いですね!僕も仲間に入れてください!」

「ウェルカム、ウェルカム」


DDD。

思い付きだったとはいえ、かなり茂の食い付きが激しいので俺もその気になってしまう。

中々男でここまで見た目も、会話することも可愛い人はいないと思う。

気持ち良く茂とは会話のキャッチボールを出来る仲である。


「因みにDDDって他にどんなメンバーがいるんですか!?僕、とても楽しみです!」

「……………………え?」


そんな人いないんだけど……、とも言えず俺はナチュラルにスマホを出していてとある男子2名を呼び出していた。








─────








「なんだよ、部活終わった直後に連絡してよ」

「悪いな山本」

「あぁ、まぁ、別に良いけど……。って、十文字とそちらはどなたさん?」

「こんにちはです。佐木です。佐木茂と言います」

「佐木……?」


10分前にタケルが来たことにより席替えをしていた。

俺の隣に茂、前にタケルが座っていたので、山本は空いていたタケルの隣に陣取る。


「おぉ!?山本もドリップコーヒーじゃん。俺も俺も」

「俺も俺もってか十文字含め明智たちもドリップコーヒーじゃん」


俺と茂はチビチビ飲んでいたことでコップの残り4分の1しか入ってないドリップコーヒーを見ながら全員が同じ注文をしていたのに気付いていたようだ。


「君、佐木って言ったっけ?」

「はい!よろしくお願いいたします山本先輩!」

「……え?もしかして俺たちとクラスが同じ佐木の弟……?」

「察したようだな山本。俺もいきなり佐木の弟を紹介されて困惑していたところだったんだ」

「察したようだな山本。俺も詠美の弟とゲーセンで偶然出会って驚いていたところだったんだ」

「いやいやいや……!明智の態度に困惑するわ!」


突っ込んだ山本が、コーヒーを紙ストローで吸って一旦心を落ち着かせる。

「…………」と数秒間黙り込み、「いや、やっぱり明智の話がおかしいって!」と結論を出した。


「てか、なんで俺と山本を呼んだんだ秀頼?」

「あぁ。単刀直入に言うと、俺はここにDDDの設立を宣言する」

「おめでたいですね!拍手喝采ですよ!先輩方!」

「なんなのこのノリの良い佐木弟!?」

「そもそもDDDってなんだよ!?」

「とりあえず1つずつ説明していこう。彼はブラコンな佐木詠美の弟の佐木茂だ」

「お!シスコンな秀頼君がなんか言ってる!」

「シスコンな十文字もなんか言ってる!」


一言一言に茶々を入れられながらDDD結成の流れを2人に説明していくのであった。

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