表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

621/889

10、佐木詠美の脚

極力叔父の部屋には入りたくはないが、今回は緊急事態ということでスウェットを脱いで私服に着替えていく。

色々と怪しいものが出てきそうなので、物色はせずにそのまま部屋を出る。

脱いだスウェットも片付けて、部屋に出向く。


「…………おっと」


そのまま自室の部屋のドアを開けようと、ドアノブを手にしてピタッと止まる。


(なんだ?静電気か?ビビりすぎだろ)とからかってくる中の人だが、違うよと冷静に突っ込む。


「…………っ!?」


ごくっと唾液を飲み込みながら、嫌な予感能力を察知する。

虫の知らせとでもいうのだろうか。

前世、今世と10000以上の信じられないトラブルに見舞われてきた俺に自然と発現した……気がする能力である。

因みに信じられないトラブル1位は剣道部の部長の徳川に一生治らない程度に腕をぶっ壊されたことである。

なんて自虐は置いておく。


「これはノックが必要だな」


絵美をはじめとしてノックしない突撃乱入に泣かされてきた俺だ。

ノックの重要性は誰よりもわかっているはずだ。

それに、口すっぱく『ノックをしてくれ!』と発言している俺がノックをしまくって見本になるしかない。

自室をノックする体験が果たしてこれまでの人生で1回でもあったのかはわからないが、ドアノブから手を離し、ドアの板の部分を叩くように拳を作る。



──コンコン。



自分の慣れた部屋なのに、変にドキドキとした緊張感が走る。

詠美という彼女たちとは違うベクトルで意識をしてしまう相手なこともあり、その緊迫感はなんとも表現できないぐらいに感情がわからない。

そして、シーンとしていて、返事がないのがより焦燥感にかられていく。

10秒待っても動きがなく、もう1度ノックをしてみる。



──コンコン。



「えいみぃー?開けて大丈夫か?開けるぞ!?」

『いいよぉー!』

「わかった。開けるよー」

『うん』


クソッ……。

返事をしなかったのはわざとだったんだなと察する。

男をからかうことに本気になりやがって……。

焦らしに焦らして俺をオモチャにしているのだろうが、そんな手に引っ掛かりはしない。

ガチャとドアを開けた。








「きゃああああああああ!ひぃ君のエッチぃぃぃぃぃぃ!」

「なんなんだよお前ぇぇぇぇぇ!ふざけんなよっ!」


未だにブラ、パンツ、ストッキングの姿と俺が着替える前のままの姿であった。

まさか焦らしトラップの先に、着替えてないトラップがあるなんて予想すらしていなかった……。

まさかのまさかである2段構えトラップに俺は詠美に大敗した。


(お前の虫の知らせとやらが当たってはいたが、負けてんな)との軽口が自分の内側から聞こえた気がした。


「ブラとパンツだけじゃなくてストッキング履いてるのがフェチを感じない?」

「…………感じる」

「へんたいさんだーっ!にまにまにま」

「にまにまにまやめろっ!」

「変態ひぃ君は足が好きー!にまにまにま」

「やめろやめろやめろやめろやめろ」


絵美の『にやにやにや』のわざと笑いの派生版みたいな笑い方は俺に効く。

ストッキングを見ると、アリア様を思い浮かべるし、色々な羞恥心が沸いてくる。


最近は腋フェチと共に、脚フェチも芽生えている気がしている。

女の子の足やストッキングとかタイツとか見ちゃうとなんかドキドキしてしまう。

なんならサーヤの太い太ももとかにも目が行っちゃう。

そんな思考回路が変態っぽくて、自己嫌悪に陥る。



──それもこれも、こんな物語を作った桜祭って奴の仕業なんだ!



「というわけでドッキリ大成功!」

「ドッキリにしては詠美のその格好が負けてると思うんだが……」

「ひぃ君と作れるはずで、失われた思い出をいっぱいつくろうね」

「キュンと来るセリフなのかもしれないが、服装が気になって話が頭に入ってこないんだよ」

「仕方ないなぁ……。次こそは着替えるよ。じゃあ、ひぃ君!廊下にいて」

「着替える気ないだろ?」

「……………………ひぃっ、ふゅ……ふゅー!」

「目を反らすなよ!?」


他所を見ながら口笛を吹くような仕草を見せる。

口笛がヘタクソ過ぎて、口で『ふゅー』とか言ってしまう始末であった。


「わかったよ。もう着替えます」

「俺の前で着替えるのかよ」

「1番恥ずかしい姿から1番見られても良い姿になるなら着替え見られても恥ずかしくないよ!」

「それ、俺が最初の着替えの時に言ったことだよ!」


渋々スカートを手に取り、脚を入れていく詠美。

そんな脚の姿が目に焼き付き、視線を外せなかった。

うわっ、女の子の脚ってこんなにキレイでサラサラしてるんだ……。

やっぱり顔もだけど、脚も絵美に似てる。

あんな小さい足で地面も踏めるし、人間ってすごい……。

しかも、ストッキングが少しだけ肌色を露出しているのもまた興奮するよなぁ……。

ピョコピョコと足の指が上下に動いているのもよくわかり可愛いらしい。

ちっちゃいモグラが頭を下げてお辞儀をしているみたいで愛くるしい。

あの膝がスカートで隠れてしまうのが惜しいなぁ。

詠美の膝とパンツが全部露出している場面を見れるのが、一生で今日だけだと思うとあまりにも惜しい。

写真とか写メで残したい。

でも本当は動画で残したい。

うわぁ、女の子の脚っていいなぁ。

しかもちょっと上を向くと詠美のモロ腋もある。

腋も相変わらず素敵だ。

毛がないのが芸術を感じさせてしまう。

両方のあられもない姿を見れるのが今日だけなんて非常にもったいない。

胸と腕を繋ぐ腋をこんなに露出している姿が記憶にしか残せないとはなんて残酷な事実なのか。

あぁ、1秒なんか過ぎないと良いのに。

あぁ、服を着ろなんてルールがないと良いのに。


「私の全身に対する視線がモロに来てるから」

「あ、ごめん」

「謝っておきながら注視してんぞ」


詠美の脚の動きに見とれてしまった朝である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ