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8、十文字タケルのフラグ

島咲碧とのエンカウントを果たし、セカンド追加ヒロインと出会ったのが3人となった。


赤坂乙葉。

佐木詠美。

島咲碧。


五月雨茜についてはまだ出会ったことはないが、そもそも出会うことはないと考えている。

島咲碧とも出会うつもりは一切なかったが、虐めの仲裁さえしなければ回避出来ていた。

完全な事故である。


今のところは申し分ない進行具合である。

…………秀頼に限れば、である。



「…………」


タケル……。

お前の原作の進捗状況はどうなっているのか、ナチュラルなストーキングをさせてもらい確認させていただく。


既に予習で頭に入りまくっているギフト論理の授業を軽く聞き流しながら、原作とタケルの状況を比べてみよう。


「とりあえず原作キャラの2人以上と絡みがあるなら合格にするか」


誰ルートに進んでいるのかはわからないが、タケルが原作キャラと関わる姿を目にしなくては安心できない。

授業が終わると、早速行動に移す。


しかし、このまま動くだけでは明智秀頼という男は目立ち過ぎる。

山本などの野郎共と遊びたいが、遊んでいたらタケルストーキングは不可能。

なんならターゲットのタケルと雑談してしまうという本末転倒なことにならない対策が必要だ。

絵美や円やヨルなどの彼女とのイチャイチャは、クラスではやめようとしているので彼女らから雑談は誘われても、イチャイチャはないのでその辺は安心だ。


「よし」


そういうわけで、自分の気配を消すことで、他人から俺の気配を感じ取れなくする。

3秒間目が合わない限りは見付からないだろう。

達裄さんから習った隠密活動のスキルを使いながら、秀頼の干渉しないタケルの学園生活を監視しよう。






「すげぇぞ、十文字!フランスにはブドウ畑の上にUFOを着陸してはいけないって法律あるんだってよ!」

「マジかよ!?フランスってブドウが有名な土地なんだな!知らなかったぜ!」

「明智にも教えてやろうぜ!」

「そうだな!あれ、秀頼がいねぇ!」

「トイレか?」

「多分な!すげぇな、フランス」

「フランスの高級ブドウ食べてみてぇな」


2人の位置から数メートル先で気配を隠してタケルと山本の雑談を聞いていた。

マジか、フランスの法律に詳しくないから知らなかったけど、UFOを着陸させるのにそんな法律があるのか。

知らなかったぜ。


山本の知識に感心していると、1つの視線を感じる。

ちろっと振り返るとアリアと絵美が談笑している横で、仮面の騎士がこちら一点をじっと見続けている。

睨んでいるのか、無の境地なのか、単に感心しているのか、敵対心を燃やしているのか。

仮面に包まれた表情は読み取れない。


まさか、気配を殺している俺に気付いている……?


いや、まさかな。

達裄さんですら1秒ぐらいのタイムラグが生じるくらいには磨きのかかった気配殺しに普通の人が気付くわけないか。


そうやって仮面の騎士をシカトすると、タケルに動きがある。

山本から離れて廊下へ向かう。


よし、タケルの原作になぞった行動を追ってみようとコソコソと足を動かす。



いかんいかん。

山本は特段原作キャラでもなんでもない一般人だ。

タケルと山本が絡んでいる光景なんて毎日だ。

セカンドシーズンのメインキャラクターと絡むタケルを見なくてはならん。


「お?あれは……」


ようやくタケルが『悲しみの連鎖を断ち切り』セカンドシーズンに登場するとあるキャラクターとすれ違う。

会話しろ、会話しろと願いながら、足を止める。


「よぉ、関」

「おぉ!十文字タケルじゃないか!」

「最近どうだ?」

「あぁ!面倒な奴いなくて清々さ!」

「良かったじゃないか」


お?

これはタケルと関の腹の探りあいをする原作のシーンまんまじゃないか!

やっぱり俺が介入するまでもなく、タケルが原作をなぞっていることは否定できるものではないらしい。


だが、1度なら奇跡とも言えよう。

2度目の原作をなぞることではじめて原作通り進行していると確信が持てる。

1分に満たない会話を終えたタケルはそのままトイレに向かう。


そのままトイレの前で誰かか原作キャラクターが通らないか監視するが、都合良くは現れない。

そのまま1分程度でハンカチで手を拭きながらタケルが現れる。

その時、運命が動いたとばかりに原作キャラクターが現れる。


流石、タケルの主人公補正である。


「ほらぁ、十文字。教室戻れ。授業はじまるぞ」

「うぃーす!先生より早く教室戻るならセーフっしょ?」

「生意気な。ほらほら、僕が見なかったことにするから教室戻って」


すげぇ!

セカンドシーズンの瀧口に叱られるタケルちゃんのシーンまで再現されてる!

あった、あった!


しかも2択の選択肢があるシーンだから記憶にある。

1つ目は先ほどのタケルと同じく『教室に戻る』選択肢。


もう1つの選ばれなかった選択肢は『先生を襲って足止め』をするである。

因みにこの選択肢を選ぶと、返り討ちにあい、瀧口に殺害されるバッドエンドになる。


良かったぁ……。

ちゃんと原作通りにタケルも進行してるんじゃん。


予定調和な原作通りの展開に満足しながら、俺も教室に戻る。






いやぁ、今からもうタケルが誰をヒロインに選ぶのか楽しみでならない。

つまんない瀧口の授業を受けながら、タケルのカップリングを考えてほっこりしていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] たぶんもうひとりの秀頼も似たような楽しみ方してるよ おまえ観察だけど
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