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2、三島遥香は説明を求められる

「クハッ!よく来たな、我が愛する部員たちよ。本日は全メンバーがお集まりいただき感謝する」


電話が来た次の日の放課後。

過去に西城院ヒカルを名乗っていたらしい黒幕概念は、機嫌が良さそうに全員に挨拶をしていた。


「本日、集まった理由については古株メンバーの1人である三島遥香に説明してもらう」

「え!?ボクですか!?何も聞いてないんですけど!?」

「大体わかるだろ」

「じゃあやります」


無茶振りされた三島は立ち上がり、部長の概念さんの隣に移動する。


「お集まりいただきありがとうございます。今回は、全員が明智さんともっと深い仲になれるような企画提案を……」

「なんの話じゃボケぇぇ!」

「え?」


三島がきょとんとして立ち尽くす。

新入部員の話は俺にしかされてないのを確信した瞬間であった。


「帰れーっっ!」

「じゃあ、お疲れ様でした」


ぺこっと三島が概念さんに頭を下げて部室の出入口を開ける。

「なんで帰るんだよっ!」と短距離ダッシュをした概念さんに首根っこを捕まれた。


「何気に凄いダッシュだ。奴はただものでは無さそうだな」

「ゆりかもそう思ったか。黒幕概念、すげぇ奴だぜ」


ゆりかとヨルが冷静に概念さんの分析と評価を下す。

多分、2人共殺しても文句ないくらいには君らの人生を滅茶苦茶にした張本人である。


「…………」

「?」


じっと概念さんが目配せをする。

それに気付くと『いけっ』ってジェスチャーをする。

『なにがだよ』とこっちもジェスチャーで伝えると、まばたきと目を開くモールス信号をこちらに送ってくる。


『き・の・う・の・は・な・し・を・し・や・が・れ』


と解読できる。

三島へ振るのに失敗したので、俺になんとかして欲しいらしい。


「昨日の話?」


モールス信号を解読出来る美鈴には、内容が駄々もれらしく、ぼそっと呟いたのがわかる。

てか、俺以外にも伝わってんじゃねぇかよ!


「というわけで、埒があかないので説明する。新入生勧誘の時期に入るからどうにか対策をするぞ」

「どうした秀頼?」

「そういうことだ」


タケルから突然ベラベラ喋りはじめたことに驚かれる。

ただ、脅し材料のある奴から振られたら命令に従う他ない。


「秀頼がまさか新入生勧誘に興味があるとは……。意外だ」

「いちいち突っ込むな。そういうことだと流せよ!」


咲夜の弄り通り、俺だって新入生勧誘に興味ないよ!

俺だってそっち側に座っていたかったよ。


「そして、新入部員が増えると部費も増える!部費が0円だった前年度は何も活動がなかった!しかし、部費も部員も集まることで合宿や文化祭に参加することが出来る!別に新入生だけでなくても良い!最低3人集めるのがノルマ!目標は33対4で惨敗した野球部の部費以上をかき集めることぉっっ!」

「ひ、秀頼君が熱い……」

「秀頼さんのやる気が凄い……」

「クハッ!めっちゃやる気で草」

「ちょっと来いや、エニアぁぁ!てめぇの意見の代弁してやってんだろうがっっ!」


絵美や永遠ちゃんが少し引くのは構わないが、概念さんまで敵になったら俺の味方がゼロである。


「エニアって何?」

「ギリシャ語で『概念』を表します」

「流石永遠だね!秀頼君もそんな呼び方を知っているなんてオシャレだね」


永遠ちゃんの豆知識が炸裂した。

ギリシャ語は確かにオシャレである。


「新入部員ですか。そんな季節ですね」

「春だなぁ」

「花見行きたいですね」

「桜見ながら花火打ち上げて雪見だいふく食べたいな!」


理沙とタケルが春になったとしみじみ頷く。

お前らは自由かよ。


「で、でもでも!どうならもっと部活を拡大させて可愛い部活にしたいね!」

「クハッ!そーゆーこと!」


千姫の一言で、ようやく話がまとまった。

タケルや円、咲夜などの面倒だと思っているメンバーも『これ、強制なやつだ』と気付いたようである。


「クハッ!文芸部っー!ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!ほら、美鈴も乗って!」

「ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!」

「クハッ、良いねっ!ほら美月も!」

「ふぁ、ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!」

「クハハッ!さあさあ!双子揃って!」

「ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!」

「ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!ファイ、オ!」

「くはっ……、テンションたけぇ姉妹……」

「ぶっ潰しますわよ!」

「八つ裂きにしてやる」


俺と同じく裏切られた深森姉妹も、概念さんに殺意を持ったらしい。

「クハッ、クハッ!」と楽しそうに概念さんは2人を避けていた。


「確か、数日後に部活紹介で全校生徒にアピールできる集会ありますよね!ボクたちでどんなアピールにするか考えましょう!」


こうして、部活勧誘がスタートした。

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