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23、セカンドの舞台

「本当にウチの子は身内である私でさえもたまに驚かされるからね。5歳ではじめて買ってあげたゲームが恋愛ゲームだったり」

「おい、やめろ」

「突然『俺に師匠が出来た』と恋人よりも早く人生の師匠探してくるしなんか変わってるのよこの子……。可愛い娘が欲しくなるわよね」


達裄さんをおばさんに紹介した時のことも取り上げる。

仕方ないじゃないか!

原作を生き残るためには強い人の指導が欲しかったのだから……。


「いつ秀頼が彼女を紹介してくれるのか楽しみだわぁ」

「?」

「?」

「…………」


深森姉妹の2人がじっと俺を見てくるが、フルフルと首を横に振る。

家に度々出入りをしている絵美だけは事情を知っている。

当然、13人の彼女がいるとかおばさんに言えないから一応まだ彼女なしのフリーだと家族には言ってある。


絵美が目配せをはじめた辺りで、ようやくそれを察した2人。


「おば様、秀頼のことは任せてください」

「秀頼様の素敵なところは美鈴は1億単位で言えます!必ず素敵な恋人が秀頼様に出来るはずですわ!」

「秀頼君はどこ行っても人気者ですから!」

「あらあら。みんなありがとう。こんなにフォローしてもらえて嬉しいわ」


おばさんは3人の言葉を社交辞令と捉えている気がする。

家族の勘である。


「おば様は、秀頼様で困っていることなどありませんか?」

「なんでか毎回、家庭訪問になると秀頼は毎回後ろに組まれてしまい、先生の話が超過するのよね……。今回も担任の先生から『息子さんのことで言いたいことが山積みなので時間空けておいてください』と言われちゃった。この子、学校で何してるの?」

「…………」

「…………」

「…………」

「せめてなんかフォローして!?」

「しょ、正直心当たりしかなくて……」

「…………」


おばさんも白い目で俺を見てくる。


「秀頼が小学生の時に授業参観に行ったら、当たり前のように『明智先生』って呼ばれてるのよこの子……。本当の先生以上に『明智先生』って単語聞いたわぁ」

「余計な話するなよ!」

「鹿野君のお母さんや山本君のお母さんが秀頼を話題に出すと『明智先生』って呼ぶのよ?どういうことなの?」

「知らねぇよ」

「担任の先生すら、あなたを明智先生って呼んでたの見たわよ」

「だから知らねぇっての!」

「学校で何して、どんな生活を送っているのか、怖くて聞けない……。何してるのかまったくわからないけど人気者だった私のバカ弟と本当にそっくり」

「それはねーよ」


マスターとだけは似てない。


「小学生の時から明智先生って呼ばれてたのか……」

「秀頼様が人気で美鈴は鼻が高いですわ!」

「正直、毎日やって来たばかりの転校生並みに周りに人いるのはなんなの?」

「あー!もう終わり!ごちそうさま!」

「逃げた……」


話を完全に打ち切り、流しにうどんの容器を置く。

みんなが慌てながら、後片付けをし始めたのであった。


地獄のような身内と彼女3人との昼食は、ひたすらに俺が弄られ続けて終わったのである。

それからは、4人で外に出て、ブラブラと出歩いたりして、休日は過ぎていくのであった。







「よぉ!明智」

「なんだ、鹿野じゃん」


次の日、学校で鹿野と出くわした。

なんやかんや、長い付き合いでありながら、滅多に会わない親友という立ち位置である。


「どうだよ、お前?クラス馴染んだかよ?」

「まあまあだよ」

「お前のまあまあだとクラスの8割の連絡先を入手したくらいか?」

「…………」


滅茶苦茶図星である。

鹿野の観察力は高過ぎる……。


「鹿野のクラスはどうよ?」

「まあまあだよ」

「天丼やめーや」

「ははは!お前の真似してやったぜ」


鹿野が気持ち良さそうに笑う。

因みに俺の彼女13人の中、楓さんと1年組を除いた10人全員と違うクラスになったらしい。


「お前何組?」

「7組、ラッキーセブゥゥン!羨ましいか、明智ぃ?」

「別に」


数字なんかどうでも良いし。

7組か……。

あれ、そういえば……。


「そういや、久し振りにあの子と同じクラスだよ。昔虐められていたあの子を見ると俺と明智の友情劇を思い出して懐かしくなるよ。あれからあの子はすぐに転校しちまったけど、まさかギフトアカデミーで同じ学校になるとはなぁ」

「……まあ、どっからどう見てもあの子はギフト持ちだったしね」

「そうだったなー」


「おっと。これから委員会だったわ」と慌てて鹿野は話を打ち切るように去っていく。

もっと会話したかったと後ろ髪を引かれる気分になりながら、俺と鹿野が知り合ったきっかけになった虐められっ子を思い出す。

それに、俺は産まれる前から彼女のことを知ってたし。


彼女は、『悲しみの連鎖を断ち切り』セカンドシーズンのヒロインの1人なのだから。






ヨル・ヒル。

佐木詠美。

五月雨茜。

赤坂乙葉。

島咲碧。





セカンドシーズンのヒロインが、ようやく全員舞台に上がったようだ。


頼むぜ、タケル!

これは、お前が主人公の物語だ。

この作品のコンセプト『ゴミクズのごとく使い捨てられる可愛い女の子』が蘇ります。

多分、こういったキャラクターが好きな人はコードギアスのモニカとか、

FE風花雪月のモニカとか、

とあるシリーズのフレンダとかが刺さると思います。


そういったキャラクターをなんやかんや救うのが秀頼という存在です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 学校でだけ秀頼エンジンがひをふくぜ! 人気者だ! そして今回はタケルに押し付けて逃げるために使う是! 逃げられるがどうか?絶望が秀頼のゴールですね
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