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22、十文字タケルの両親

(けっ。なんであのババアと一緒に飯食わなきゃならねーんだよ)


…………。

俺の中の人の家族嫌いは相変わらずである。

よっぽど虐待されていた時の恨みが激しいのだろう。


(おめぇもおめぇだよ。お前は俺、俺はお前。気持ちわかんだろぉ!?)


俺はそんなに恨みとか引っ張るような性格じゃないから、そんなに押し付けられても……。

別に一緒に食事するのなんて、珍しくもなんともないし……。


多分、原作秀頼より2割程度は丸くなった性格になっているとは思うんだが、狂暴なのには変わりない。

織田との決闘の時みたいに身体を明け渡すことは今後一切ないようにしたいところである。






「ほらほら、目を瞑って嫌そうな顔しないで食事にしよ!」


絵美に背中からグイグイ押される。

観念しろと3人から言われている気分である。


──助けてタケル……。


心でタケルに助けを呼んだが、今日のタケルは理沙と2人で家族に会ってなんかどっかの高級レストランに行くらしい。

ナチュラルに金持ちボンボンな十文字一家である。

意味不明に生麺を送り付けてくるタケルの両親を一度見てみたい。

原作でも、結局顔は出ず仕舞いだったしね。

一応、ヨルが産まれた未来の時系列では理沙同様に両親もギフト狩りの手によりズタズタに殺害されていると桜祭が断言している。


「秀頼様が動かざること山の如し動きませんわ……」

「ならわたくしが秀頼を連れて行こう」


美月が俺を抱っこするように身体を持ち上げる。

意外と力が強くて関心した。


「うわぁ、凄いね美月!」


俺の13人の彼女で1番力持ちな絵美が拍手しながら褒め称える。

ぐいっと俺の身体が宙に浮く。


「お姫様抱っこですわ!」

「なんか男女逆転の背徳感ありますね」

「お、お前ら!?」


美鈴と絵美がカシャカシャとスマホで撮影を始める。

ゆりかやヨルに隠れがちだけど、そういえば美月も運動神経が良く、力持ちなんだっけな……。

流石に腕相撲なら本気の絵美以外には負ける気しないけど……。


「女騎士と頼子姫っていう中々ないシチュエーションですよ」

「お姉様!くっ殺やって!くっ殺!」

「くっ……、殺せ」

「どんなシチュエーション?」


美月が美鈴に促されるままにくっ殺発言をしてみせたが、なんで抱いてる側の発言なんだよ。

くっ殺されてる目の前で、抱かれている俺は一体なんなのだろう……。


「あああああああ……。凄く昂るカップリング!美月×秀頼!ありですわ!」

「なしだよ」


美月のお姫様抱っこから降りて、床に着地する。

男女逆転な美月×秀頼は絶対無い。

まだタケル×山本の方が理解を示せる。


(お?タケルと山本の映像を脳内に投影する?)


絶対しない。

いつの間にか脳内投影権の3割程度が中の人に奪われつつある。

俺の力が弱まり、完全に秀頼復活のフラグが建ちつつある……。

ぎっくり腰は、1度なってしまうと定期的に起きてしまうという。


やはり、秀頼召喚を1度やらかした俺は、その内身も心もこの男に変化してしまうのだろうか……。

リトマス紙は赤から青に変化した部分は、赤には戻らない。

俺も徐々にそうなってしまうのだろうか。


(というか、そんなシリアスな語り部今じゃないとダメ?日常シーンで考えることじゃないだろ。もっと死にかけた時にする回想だろ!?)


本人に丸聞こえなんだよなぁ……。


(冷水ぶっかけられた気分だわ)


俺もお前から現在進行形で冷水ぶっかけられた気分なんだよ。




「行きましょう秀頼様」

「あぁ……」


4人で居間にまでやってくると、おばさんが全員ぶんの器に冷たいうどんを盛っていた。

天かすや温泉たまごなどがトッピングされた涼しいメニューである。


「本当に秀頼はお友達が多いわねぇ」

「普通だっての……。そんなに多くねぇよ」


ラインの連絡先を比べても、前世の半分くらいである。

部活ガチ勢ですらない俺は、そんなに友達を作っている気はしない。


「お友達の前だと無理に強い口調になっちゃって。おばさん寂しい……」

「わかったから!わかったから!」

「おぉ……、秀頼の頭が低い……」

「新鮮ですわ」

「借りてきたネコみたいになる秀頼君面白いよね」

「…………」


あ、今気付いた。

男は俺1人じゃん。

か、勝てるわけねぇ……。


女4人の興味が俺にしか行ってない……。





た、助けてタケル……。






再び、来るわけがない親友に助けを呼びながら、聞こえない振りをして箸を持ち上げるのであった。


「今日はなんか新鮮な気持ちでご飯が食べられておばさん嬉しい」

「…………」


ニコニコな笑顔を浮かべながら、こっちを向かないでくれ。

全員を視界に入れないようにして、うどんに添えられた温泉たまごをかき混ぜる。


「いただきます」と絵美、美月、美鈴が同時にハモらせると、「あらぁ」とおばさんが嬉しそうにはにかむ。


「娘が出来たみたいで嬉しいわ」と、俺と叔父には一切出さない声色の感想が口から出た。


「!?」

「っ!?」

「!」


3人の女の目の色が変わった気がした。

>>意味不明に生麺を送り付けてくるタケルの両親を一度見てみたい。


なにこれ?


第6章 偽りのアイドル

番外編、十文字理沙好感度アップシナリオ

第8章 病弱の代償

7、明智秀頼は昼食を考える


こちらを参照。

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[良い点] ダブル秀頼エンジンがひをふかないぜ [一言] 頼子姫ー!
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