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番外編、暗い世界へ

話の一区切りなので、原作とクズゲスの共通ルートの上松ゆりかの過去についての話を2ページ程度させていただきます。


本当はもっと早くこの話を執筆する予定でしたが、完全にやる機会を失っていました。

ちょうど作中で、秀頼襲撃から1年経過の節目に。


ゆりかの過去もろくでもないので、そういう展開あり。

心のご準備を。

ギフトで氷の刃を創る感触が、まだ生々しく残っている。


これが……、自分の罪なのだろうか?

女の証を破られ、尊厳を踏みにじられ、息が荒い……。


川の流れを見ながら、人生を諦めたように目を瞑る。

どうせ、我は今から死ぬ……。


その瞼の裏から、懐かしい過去の光景が再生される。







─────






「姉ちゃん!僕、絶対姉ちゃんを守れるような強い人になるからね!」

「そうか、それは姉ちゃん楽しみにしてるぞ」

「うん!」


私の家は既に両親が他界し、細々と子供の2人で生活をしていた。

一応、親戚が保証人にはなっているが、あまり我らに良い顔はせず、我らも姉弟だけで生活していたかったので小さいアパートで弟と暮らしていた。


「優希はたくましくて強い子だ。私自慢の弟だ」

「こ、子供扱いすんなよ姉ちゃん!」


2つ下の上松優希はそれこそ目に入れても痛くないほどに可愛い存在であった。

それこそ、家にいる時はずっと一緒だった。


「優希はどんな強い人になりたいんだ?」

「忍者みたいになりたい!」

「忍者?伊賀流か?甲賀流か?風魔流か?」


ベタなのしか知らないが、とりあえず適当な名前を挙げてみた。


「んん?それはよくわかんないけど強くて早くて、悪い奴をすぐにやっつけちゃうような忍者になって、姉ちゃんをバカにする奴全員殴ってやるんだ!」

「そうか。ありがとうな優希」


自分は女。

弟は男。

いつか、自分は身長も抜かされるだろうし、力も弟には叶わなくなるだろう。

多分もう5年もしない内に、そこまで優希は成長する。

でも、それまでは優希1人を守れるように自分が……。



















「おやおや?お姉ちゃんが帰ってきちゃったぁ?」

「…………だ、誰だ?お前は?」


絶対に鍵は施錠し、自分と親戚以外には開けてはならないと毎日念押ししている扉が、鍵をまわす前に開いたことに異変を感じ取ると、知らない男が我が物顔で部屋内にいた。


小学校の学年が違うから、優希の方が早く帰宅する。

そして、我が帰宅するその間に、不審者が部屋を開けて優希を気絶させていた。


「な、なんで鍵を……?ゆ、優希は……?」

「俺のギフトってやつ。『自由自在に鍵を開けられる』んだってよ。便利な力だよな。ひひっ、近所で噂の子供だけで生活してるって話聞いてよ。面白くてここに来ちゃった」

「は?」

「俺が変わりに親になってやんよって話したら、このガキが『要らない』とかほざくもんでよ。ぶん殴って切り刻んじゃったよ」

「優希!?」


壁に寄りかかり、動かない優希に走って近付く。

お腹から赤い液体が流れていて、赤い刃物が側に投げ捨てられている。

逃げるんだ、今すぐここから。

彼の手に触れた時、いつもよりも体温が低い気がして、両親のことが頭に過る。


「無視すんじゃねぇ!俺がお前たちを引き取ってやるって言ってんのに、感謝すら出来ねぇのかっ!」

「かはっ……」


首を激しく掴まれる。

鬼のような目が、焦点が合っていない。

こいつは頭がヤバい。

首を掴む手をほどこうと力を入れるがびくともしない。

そのまま、首が圧迫される。


「が……、が……」

「なんだよ!なんだよ!どいつもこいつも俺から逃げやがってよぉ!俺の子供をどこに連れて行きやがった!あいつはどこ逃げやがった!」

「…………」


なんだこいつは……?

頭おかしいんじゃ……おかしいのか。

薄れていく意識の中、唾液の感覚だけが雫のように落ちていくのがわかった。


「俺はギフト持ちだぞ!俺は天才なんだぞ!それなのになんでこんな惨めな思いをしなくちゃいけないんだよ!俺はギフト持ちだぞ!」

「…………」


知らない。

これまでずっと惨めな人生を送ってきたなら、明日も明後日も来年も再来年も10年後も、死ぬまで……。

惨めに生き続けろ。


「くたばれ……。くたばれっっ!」

「あぁ!?ガキが舐めてんじゃねぇぞ!こっちが下手に出てるってのによっ!お前らゴミ姉弟の人生を救ってやるって言ってんだよ!」


よくも優希を刃で刺しやがったな。

ならば、お前も……!


「刃に貫かれろっ!」

「なっ!?く、空中に氷が……!?おま、お前もギフ」

「死ね!死ねっ!死ね!死ねっ!」


無我夢中に刃を何回も男に射出する。

ズバズバズバと、キャベツを切り刻むようにバラバラになっていく。

私の頬に汚い血が跳ねる。

気持ち悪くて、手で拭う。

手には、薄く赤い液体が伸びていた。


「はぁはぁはぁ……。優希?優希!?」


私は急いで優希のところに駆け付けるも、既に息は引き取っていた。

男よりも、流している血は少ないのに、動いていない。


「嘘だ……。嘘だそんなの……。1人にしないで……。私を1人にしないで優希……」


いくらでも私は我慢するから、お前だけが成長してくれたらそれで十分なのに……。


どうして、こうなるんだ……。

死に際の1つくらい、言葉が欲しい。


「うっ……。うわああああああああ」

「近所からの通報を受けて来ました!大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?」


すべてが終わり、ノコノコと警察がやって来た。

それから遅れてギフト管理局の人間も現れた。

なんで、もっと早く誰も来てくれなかったんだ……。




「子供と成人男性の姿を確認。不明瞭な傷痕が複数あり。この少女、ギフト所持者の疑いあり。この女も捕えろ」

「…………」


少年法すら適用されないギフト所持者の犯罪。

その疑いを掛けられた私は、気付けば牢屋の中にぶちこまれていた。

優希の葬式をあげることも、墓参りもすることなく、暗い世界に閉じ込められた。

こういうギフト所持者の驕りが、ギフトアカデミーの創設に繋がっています。




兄弟姉妹仲良しランク



Sランク+【ゴッドクラス】

達裄×姉とシスターズ


ぶっちぎり。

全員成人しているのに、普段のやり取りが恋人みたいに仲良し。



Sランク 【相思相愛】

秀頼×星子 (クズゲス)

タケル×理沙 (原作)


なんか恋人になってるくらい。

達裄は数の暴力でS+あるが、1人ずつに分割していくと秀頼と原作タケルの方が上。



Aランク【めっちゃめっちゃめっちゃ仲良し】

美月×美鈴 (クズゲス)

スタヴァの姉ちゃんとスタヴァの姉ちゃんの妹ちゃん

タケル×理沙 (クズゲス)

ゆりか×優希

アイリーン×アリア


仲睦まじいくらい仲良し。



Bランク【リアルで仲良しくらい】

円×和

詠美×詠美の弟

智尋×星子の引き取りの母


そこそこ仲良し。

智尋は秀頼と星子のリアル母親。



Cランク【リアルで普通くらいの仲】

遥香×和馬

山本の兄貴×山本

おばさん×マスター


一般家庭くらい。

山本に兄貴がいる描写なんかあったのか知りませんが、山本って兄とか姉が居そうよね。



Dランク【リアルで仲が悪いくらい】

悠久×絵鈴

美月×美鈴 (原作)

秀頼と星子の父×叔父


そもそも絡みがない。



Zランク【お互いがクズだと思ってる】

ヨル×1581

秀頼×星子 (原作)


お互い死ねって思ってるレベル。


1581って誰やねんって人は、

第11章 悲しみの連鎖

第347部分24、『悲しみの連鎖』原初の世界

第355部分31、『悲しみの連鎖』残酷な真実

この辺りを参照。



抜けてる兄弟姉妹があったら指摘下さいませ。

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