10、宮村永遠の癒し
「秀頼さぁん!」
「エイエンちゃん!」
ざわざわしていたのは、永遠ちゃんや美月たちの理沙以外の彼女グループが集まっていたからであった。
しかも、和や星子もみんなに揉まれていてざわざわしていたらしかった。
「秀頼さんと同じクラスじゃないと癒しがない」
「っっっ……。あ、ありがとう」
俺も永遠ちゃん成分が足りなくなっていて、声を聞くだけで回復してきた。
「というか私たちのクラス、どんだけホームルーム終わるの遅いのよ」と突っ込みながら円が合流した。
絵美もヨル一緒に合流した。
「なんか意味もなく集まってしまうな」
「秀頼様と会えるなら意味なんか必要ありませんわ」
「ただでさえ、我は通学時ですら師匠には会えない身。クラスも違うとなると本格的に会えないからな」
「いくらでもみんなに会いに行くよ」
そんなに想ってくれるのであれば、シカトなんかするわけない。
睡眠時間を削ってでも会いに行くよ。
彼女たち、みんなに何か恩返しがしたい。
何か喜ばれるような、みんなが幸せになれるような……。
それくらい、好きな気持ちが昂る。
(そういうことなら、女を100人食った俺の出番じゃないか)
中の人が、待ってましたとばかりに精神世界に語りかけてくる。
なんかあるのか?と、聞き返してみる。
(好きな女が求めてくるのはそれだよ、息子だよ)
何を言ってんだお前は!?
突然の下ネタであった。
こんなほんわかする空気だったのに、頭から冷水ぶっかけられた気分だ。
(いけっ!お前なら14Pだ!)
参考にならなくて、中の人とのチューニングを切り離した。
「ところで、理沙ちゃんは不在ですか?」
「理沙さんは会いたい人が居ると言って別れましたね」
絵美の疑問に三島が答える。
「会いたい人?」とゆりかがポツリと呟く。
タケルも居ないし、大体相手はわかった。
「タケルと理沙の従妹が今年入学したんだよ。彼女、タケルを兄みたいに慕っているからな」
「星子みたいな奴だな」
「咲夜先輩?なんで私を例に出しました?」
「お、おう」
「兄を兄と慕うのが悪いことなんですか?ねえねえ」
「お、おう。普通、普通……」
星子がニッコニコな笑顔を浮かべていた。
いつ見ても星子は可愛いね!
それ以上は直視せず、踏み込まないことにした。
「ん?」
俺たちを物陰から覗いている気配がする。
感覚を研ぎ澄ましながら、その気配を探る。
1人?
女?
気配を隠すのが上手じゃない相手に、それで気付かないと思ったのか?と突っ込みたくなる。
彼女がぶつぶつ呟いているので、そっとそちらの話を盗み聞きする感じに耳を研ぎ澄ます。
『はわわわわわわ!エイエンちゃんだぁぁ!美月に遥香にヨルと理沙以外のヒロイン全員揃ってるぅぅ!円もいるし、神過ぎ!』
「…………」
あ、同類いたよ。
円、織田と続き、3人目の前世持ち来たな……。
なんか、円と織田の時は衝撃的だったけど、3回目にもなると慣れちゃったなぁ……。
流石に今回は知り合いではないだろうけど、ちょくちょく前世持ちが沸き上がる世界だなぁ……。
類は友を呼ぶというアレなのかな?
『…………でも、あれは絵美と美鈴?美月ルートに入ってないのかな?あれ?そういえばなんで遥香は逮捕されてないの?遥香ルートの世界なの?でも、絵美は生きてるし……。…………何ルートこれ!?』
わけがわからない彼女は頭を抱えてしまった。
なんか、俺のせいで申し訳ない。
『あいつはクズでゲスな明智秀頼!?あいつ生きてるやん!タケルは何やってんだよ!』
ついに、俺の存在に気付いたらしい。
横を向いているので、気付いていない振りを継続している。
「師匠?そろそろ帰宅しよう」
「あ、あぁ」
ゆりかに帰りの誘いを受ける。
達裄さんと会うから途中までしか帰りに同行出来ないのだけれど。
足を動かそうとした時だった。
例の彼女が、黄色い声を上げた。
『あ、アレはアリア様だ!きゃー、生アリア!』
アリア来たの!?
教室の出入口へ振り返ると、アリアと仮面の騎士がこちらに向かって歩いている姿を見付けたのであった。