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11、津軽円は余裕

明智秀頼がバトルホテル内に侵入した時だった。

ガラス越しに漏れていた光がシャットアウトする。

そして、壊れた自動ドアがあった場所にはコンクリートの壁が出来上がっていた。


「ちょ、ちょっと!?ボクたち閉じ込められましたよ!?」


三島遥香はコンクリートを触って押していた。

しかし、びくともしないし、動かない。

まるでそこに最初から壁があったのではないのかとすら思ってしまうほどであった。


「慌てるな三島」

「あ、明智さん……」

「俺たちはもうここから出られなくなったんだ……」

「ええぇぇぇ!?」


冷静な秀頼は遥香に告げる。

それを聞いた美月や大学生たちも、遥香と一緒にコンクリートの前に立ってどうにかしようと足掻く。


(さて、……最悪の事態だね……)


この時の秀頼は、『灰になる君へ』のゲームの展開はここまでしか覚えていなかった。

いや、厳密には途切れ途切れの記憶はあるのだが、どこを進み、どう行けば良いのか完全に抜け落ちていた。


(まぁ、バッドエンドしかないゲームだし攻略なんか関係ないか……)


そもそも前世で3日でクリアしたクソゲーの内容を秀頼が覚えているわけもなかった。

キャラクターとOPムービーは覚えていても、それ以外の情報は、閉じ込められたみんなと同じくらいの情報しか持ってないなど、記憶によるアドバンテージは無いみたいなもんだ。


(進めば何か思い出すかも)と思い、ライトを灯す。


「ふむ。なるほどなるほど」

「どうしましたか円さん?」


円は興味深くコンクリートを触っていた。

その余裕な様子の円に理沙は口を挟む。


「なぁに。ウチには最強の奴がいるのよ」

「最強ですか?」


理沙が、何それ?みたいなニュアンスで聞いてくる。

そして、自信満々に彼女の名前を呼ぶ。


「こないだの明智君とクズオブクズなクズ男との決闘を思い出して?あのバリアなんかよりコンクリの方が脆いはず!さぁ、絵美!こんな壁ぶっ壊しちゃって!」

「いや、無理でしょ」

「…………え?」

「確かにバリアより脆いと思うけど、今のわたしじゃ壊せないよ……。このコンクリートを壊せる『想い』が全然湧かないし……」


絵美がパンチングポーズを決めるも、へなちょこだった。

バリアを壊した時のような覇気も、鋭さも、重さも、キレも皆無であった。


「残念だけどお手上げだよ」

「あわわわわ……。ど、どうしよう?理沙ぁぁぁ?」

「め、メンタルよわぁ……」


メッキが剥がれた円は理沙に縋るように慌て出す。

情けない姉の姿に、和が「姉者」と漏らす。


「ねぇ、永遠!コンクリートはどうか出来ないの?」

「どうにかする方法はいくらかあるけど、そもそも何も準備してないからねぇ……。先に進むしかないよ」


優等生の頭脳を持ってしても、どうにもならないらしい。

永遠は気まずそうにしていた時であった。


「な、何か立て札があるよ?行ってみるね」


原作同様に立て札を見付けた小鳥がその位置まで慎重に歩く。

そこへ、ノアと楓も彼女から離れずについて行く。





始まってしまった『灰になる君へ』の本編。

しかし、本編とは無関係なイレギュラーな14人の乱入者が現れたことによりどうなっていくのか……。


それはまだ、誰にもわからなかった……。

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