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6、上松ゆりかは忠告しようとする

一歩、一歩と歩みをすすめる度に違和感が膨らんでいく。

対して暑くもないのに、変な汗が出るくらいには緊張のようなものが走る。

鬼鴉毒虚死無卍亡村に入った瞬間からなんか変だ……。


「な、なぁ美月?なんか、ここ息苦しくないか?」

「え?別に普通だが?秀頼は繊細だな!」

「ふふっ、そうかもな」


美月が図太いのか、俺が繊細なのかはわからないが、彼女はいつも通りで安心し、顔が綻ぶ。


「ぅぅぅ……、ボク本当に怖いんだけど……」

「大丈夫だ遥香!」

「ど、どうして?」

「もし、本当に幽霊が出てもウチらの秀頼ならなんとかするぞ!」

「流石明智さんです!」


俺の後ろで無責任に咲夜から持ち上げられていた。

しかも、三島の期待値がジェットコースター並みのハイスピードで上がっていく。

その好感度の上がり方どうなってんだ?


「っ!?」

「どうしたの明智君?」

「いや……」


俺は一瞬足を止める。

しかし、気取られまいと足を動かし、みんなに合わせる。

その俺の変化に円は呑気に気付いたが、異変には全く気付かなかったらしい。


2人……、いや3人か?

じろっとこのグループが見られている。

しかも、この素人のような気配の隠し方は人間だ。

水泳(スウィム)君かとも考えたが、いきなり2年間行方不明だった彼が都合良くは現れないだろう。

さて、どうしようか?





「師匠……、どうしますか?」

「殺しておくか?」

「いや、いきなり殺すはするわけないだろ」


ゆりかとヨルの荒事特化コンビもその気配に気付いたらしい。

ナチュラルに2人は俺に耳打ちしてくる。

それに小声で返す。

しかし、ヨルがいきなり物騒なことを言うので制止させる。

メインヒロインなんだから、そんな狂犬みたいなこと言うなよ……。


「なら、我がそれとなく忠告しよう」

「よし、任せたぜゆりか!」

「な、なら頼むゆりか」


ゆりかの提案にヨルと俺が賛同する。

問題児なヨルや、唯一の男の俺よりはゆりかが一番この場を凌ぐには最適と判断した時だ。





「誰か、わたくしたちを観察してるでしょ?出てきなさい、無礼ですわよ」

「悠久……?」


突然足を止めた悠久が透き通るような声を上げて投げかける。

俺たち3人以外は、どうしたのか?とざわざわしている。


「ヨルちゃんたちも気付いて打ち合わせしてたでしょ?こっちの方が戦力は上だろうし、強気に壮大にいきましょう」


こちらがこそこそしているのは、悠久にはお見通しだったみたいで、ちょっと悪いことを企んじゃってたかと一歩後ずさる。


「というか学園長って強いのか?」

「さぁ?」

「あたしは付き合い長いけど、いつも人に命令だけして全く動かない司令官(笑)気取りな女だ」

「なぁぁぁんか、悪口言ってない?」


ゆりかの問いは、ヨルも知らないらしい。

正直、指で数えられる程度しか話したことのない悠久のことなんか俺がわかるはずもない。






「あ……、えっと……。すいません……」

「私たち、ここに肝だめしに来たんだけど……」

「人がたくさん来ちゃったから隠れちゃいましたぁー」


廃屋になった場所から、気まずそうに全身の姿を現したのは3人組のお姉さんだった。

多分、スタヴァの姉ちゃんとかスタヴァの姉ちゃんじゃないスタヴァの姉ちゃんとか、サーヤぐらいと同じ大学生だと思う。

絵美や理沙たちより、大人びて見える。


3人組の内の1人が馴れ馴れしく俺たちに声を掛けてくる。



「どうも、もしかして君たちも肝だめし?あはっ、仲間だ!同士だ!」

「ちょ、ちょっと楓ちゃん!?」

「もうちょい警戒心持とうよ……」

「こんなところに来るのなんてホラー大好き同士に決まってんじゃん。女の子でいっぱいだし殺されやしないって」


リーダーっぽい女がこちらに歩み寄ると、付き添い2人もこっちに近付いてくる。

その3人の顔を見て、ハッとした。







「っ!?」




ノア、小鳥、楓!?

ちょっと待て!?

これ、『灰になる君へ』ってタイトルのホラゲーの3キャラクターじゃないか……。

マルチエンディング10個に分岐し、全部バッドエンドになるクソゲーだ。

前世で一応全クリして、親から売ってもらい500円にしかならなくてラーメン代で消えたゲームだ……。


ちょっと待て、『悲しみの連鎖を断ち切り』はスカイブルーがメーカーだ。


『灰になる君へ』は、ファーストペンデュラムというホラゲーメーカー。

スカイブルーの姉妹メーカーでもなんでもなく、関連性はない筈……。


しかしそっか。

『灰になる君へ』の舞台がバトルホテルか。

だから鬼鴉毒虚死無卍亡村も聞いたことあるのか……。

ぬかった……。




いや、しかしなんで『灰になる君へ』がスカイブルー作品の世界観が一緒なんだ?

えっ?

なんでだ、なんでだ?

ライターは誰だ?


『灰になる君へ』のライターは…………、桜祭!

………………。



あんの鬼畜クソゲーライタぁぁぁぁぁぁ!

どこまで俺を地獄に落とそうとしてくるんだあのサディストライター!




「あの人、理沙ちゃんと声似てますね」

「え?そうですか?」


因みに『灰になる君へ』のメインキャラクターの小鳥は理沙と中の人が同じである。

絵美はそれに気付いたらしいが、当の理沙はまったく自覚がないらしい……。



いや、それはどうでも良いけど……。





このバトルホテル、この3人組を殺しにかかるホラゲーが舞台だぁぁぁぁ!

なんてバイオレンスな初デートだと気付き、今すぐに引き返してあのアニオタ運転手のバスに乗りたくなった……。

理沙の中の人は、前世では人気な声優だったのかも……。



秀頼は水泳(スウィム)君と独自してますが、マスターより年齢は上です。

なんならおばさんより上だと思います。

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