17、大好き
「誕生日おめでとうございます!秀頼さん!」
「ありがとう、エイエンちゃん」
朝にも祝福されたが、パーティー中にも祝われるのも良いものだ。
それに、永遠ちゃんは俺の推しキャラだった最高の子だ。
嫌な気がするどころか、むしろ良い気分にしかさせない。
「それで、秀頼君に大事な話があるの」
「大事な話?」
永遠ちゃんの隣に控えていた絵美が真面目な顔で告げる。
誕生日、大事な話、タケルとマスターの不在。
これだけの材料を組み合わせると、絵美の言いたいことを察する。
…………告白する?
なーんて、ちょっと考えちゃったりする。
いやいや、幼なじみで子供の時から知ってるし、普段から格好悪いところしか見せてない俺をなんて……。
い、いや……。
ちょっと期待している自分がいるのも否定できない。
「そ、それで?話ってなんかあるの?」
多分しょうもない話なんだろうけど、一応振っておく。
「秀頼君、大好きだよ」
「…………え?だいす…………え?」
「だ、だから付き合って欲しいな……。こ、恋人になろっ?」
「こ、恋人!?」
こ、断る理由は無いんだよね……。
原作においても秀頼は絵美と付き合っていた関係だし、むしろギャルゲー本編通りに物語が進んでいる証拠だ。
それに、絵美のこと大好きだし。
何も、拒む理由はない。
…………?
マスターとタケルが居ないのって、あいつら2人告白されるってわかってたから?
いや、絵美と2人っきりならわかるけどならなんで理沙や円たちは店内にいるのだろう?
このギャラリーは何だろうと疑った時だった。
「秀頼様っ!愛してますわ!美鈴と付き合ってくださいっ!」
「…………え?」
美鈴の口からも告白が飛び出た。
絵美に続いて美鈴……?
2連続告白に絶句する。
な、なんかのドッキリ……?
「ゴミクズ先輩」
「ちょっ、和!?2人に告白されただけでゴミクズは酷くない!?」
「秀頼先輩、私のモノになってください!」
「…………んんん!?」
和の告白まがいの言葉を聞いて、複雑な心境になる。
「り、理沙?なんかのドッキリなのか?これは?」
「私も明智君大好きですよ」
「…………」
え?
大好きってもはやなんだっけ?
「師匠!我も一途に明智と付き合いたい」
「ボクもずっと明智さんが大好きで……。一緒にいたいです」
「ウチはキッズ時代から、秀頼の嫁になる気満々だった」
「そ、その……わたくしも……。秀頼が好きでだな……。恋人にして欲しい」
ゆりか、三島、咲夜、美月が考える間もなく、告白の言葉をストレートにぶつける。
「し、仕方ねーけど……。不本意だけど、お前と付き合ってやるよ」
「よ、ヨルまで!?」
「なんであたしだけガチビックリしてんだよ。わけわかんね……」
「ちょ、やめて!?」
そんな、本気で傷付いたようなふくれかたはやめて欲しい。
でも、ヨルはプイと俺の視線から消えるように横を向く。
「秀頼さん、あなたにようやく伝えられます。あなたが好きです!」
「お兄ちゃん、大好き!」
「え?えぇっ!?」
永遠ちゃんに星子まで!?
わかんない!
みんなの真意が、わかんない!
すがるように、円へ目を向ける。
彼女はニコッと妖艷に微笑む。
「明智君。前世から気持ちは変わりません。好きだよ」
「…………」
あぁ、円とみんなの表情を見比べて悟った。
これ、ガチ告白なんだなって……。
そりゃあ……。
俺も……。
みんなが…………。
大好きだよ!