9、宮村永遠の提案
「秀頼さん……」
明智秀頼という男はどこまでも自分を下に見ている人なのは、宮村永遠は気付いていた。
だからこそ、自分の魅力すら欠点だと思っている秀頼に対し、どうしても自分の気持ちを伝えたい。
彼女は自然と両手の形が拳に変わっていく。
「絵美、美月、円、咲夜、美鈴、みんな……」、そうやって永遠は切り出して1つの提案をしたのであった。
その提案を聞き、みんなそれぞれ衝撃を受けた。
なぜなら、それは……。
─────
「あぁ……、学校行きたくねぇな……」
もう少しで自分の誕生日だってのに気持ちは暗い。
とぼとぼと落ち込みながら明智家の家を出た。
「おっはよぉ!秀頼きゅーん!」
「あ……、ぉはよ……」
「…………あれ?ど、どうしたの元気ないよ?」
「あ……、うん。どうせ、俺なんて……。俺なんて……」
「めっちゃ落ち込んでる!?ちょっと!?秀頼君!?秀頼君!?」
「あ、な、何?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!傷付けるつもりはなかったんだよ」
「あ、わかってるよ」
「冒頭に『あ』って付けて会話するのやめてぇ!」
素っ気なくされた1日は終わり、いつの間にか仕返しのように素っ気なくしてしまった……。
ただ、なんとなく絵美は無理してる気がするからそういうことなんだろう。
無理してんだろうな……。
「こ、今年の七夕は星が綺麗みたいですよ!楽しみですね!」
「あ、そうなんだ……」
「彦星と織姫が会えるみたいです!」
「あ……。なら良かったよ」
「だからやめてくださいお願いします!怒ってるでしょ!?めっちゃ怒ってるでしょ!?」
「あ、全然」
「素っ気ないぃぃぃぃぃぃ!」
素っ気ないのはむしろ絵美の方……、いややめておこう。
指摘するのは野暮である。
「おっすー!秀頼に絵美!」
「あ、ぉはよ咲夜」
「……ん?」
昨日と同じく咲夜出会い、合流する。
俺になんか言いたげな目で咲夜が俺を見ていた。
「あ、どうしたの?」
「おい?なんだそれは?」
「あ、……うん。無理しないで大丈夫だよ」
「そ、それやめろ」
「あ?なんの話?」
絵美も咲夜も怒ってるだのなんだの言ってくるが、俺は特に何もしていない。
ただ、素っ気なくされて傷付いているだけだ。
変な2人と歩いていると、円と駅前で合流する。
「おはよ、明智」
「あ、円。おはよう」
「今度、和の学年で遠足するみたいなんだ」
「あ、そうなんだ」
「羨ましいわ、遠足だってさ」
「あ、そうだね」
「…………なんか素っ気なくない?」
「あ、普通だよ普通」
「あってやめて!?」
「あ?な、何?」
「それだってばぁ!」
昨日と打って変わり、やたら敏感なみんなであった……。
心境の変化があったのだろうかと思わずにはいられない1日のはじまりだった。