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20、ヨル・ヒルは仕事に戻る

「それで、メニューはどうしますか?」

「私はエスプレッソで」

「私も姉ちゃんと同じエスプレッソでお願いします」

「エスプレッソ2つだね」


注文を取り終わったマスターが、コーヒーの準備に取り掛かる。

それをじっと遥香とヨルが目撃していた。


「スタヴァの姉ちゃん、妹に姉ちゃん呼びされてたな」

「仲が良い姉妹なんですね」


遥香はおっとりと笑いながら答える。

比較的、弟と仲が良い遥香。

兄が憎しみの対象になっていたヨルでは兄弟姉妹への価値観が微妙に違う。

だから仲良くできるスタヴァの姉ちゃんや秀頼、円などは凄いなんて考えてしまっていた。


「…………まぁ、あのバカ兄なんて知らねぇけど」

「ん?」

「あぁ、こっちの話」


ヨルが実の兄に対して軽口を叩いたのを誤魔化す。

それから数秒して来客を告げるベルが鳴る。

常連客のママって感じの奥さんだとヨルは気付く。

マスターと会話する人ではなく、いつもコーヒーを飲んで満足していくお客さんであった。


「そろそろあたしも仕事戻るわ。後で意見聞かせてくれよ」

「わかりました!」

「おっと……。口にクリーム付いてるぞ」

「あ、ありがとう」


ナプキンで遥香の口元に付いていた生クリームを拭いて処理する。

「じゃあ、ゆっくりー」とヨルは仕事に戻っていく。


狙っているわけでもなく、咲夜の口元のクリームを指で拭い舐めとる対応をするのは秀頼くらいである。


残された遥香はダイエットコーラフロートを飲みながらのんびりとエンジョイしていた。

栄養は全部胸に行く女、三島遥香である。





「ちらっ……、ちらっ……」

「どうしたの?」


一方その頃、スタヴァの姉ちゃんの妹はちらちらと席に視線を送る。

姉が困惑しながらそちらを見るも、特に何もない。


「姉ちゃん……」

「うん?」

「こないださ、あそこの席で勉強していた4人組がいてさ」

「うん」

「そこに唯一1人だけ男の人が居たんだよね。その人に一目惚れってわけじゃないんだけど目が合ってさ……。なんか格好良いなー……、なんて勝手に運命感じて……。だから今日も来ないかなーってあのテーブル席見ちゃってて」

「まぁ……!」


少し恥ずかしそうにしながら、スタヴァの姉ちゃんの妹は照れて頬をかく。

突然の妹の恋愛話に、姉は飛び付く。


「へぇ!へぇ!どんな人!どんな人!?」

「ちょ、ちょっと見た目はワイルド系な……。でも口調は優しそうな人」

「ま、まさか喫茶店で妹からそんな恋愛話をされるとは。姉ちゃん驚きよ」

「多分私のことなんて気にもしてなかったと思うけど……」

「何言ってんの!あんたはなんか守りたくなるような庇護欲みたいなのが沸きやすい顔してんだから自信を持ちなさいよ」


スタヴァの姉ちゃんは優しく妹の背中を叩く。


「でも……、私……、姉ちゃんみたいに肌がキレイじゃないし……」

「いや、恋愛に肌は関係ないわよ」

「だって!だってぇ!姉ちゃんの肌のキレイさはチートだって!」

「そんなことはないと思うよ……」


苦笑いをしながら姉よりモテないと思い込むギャルゲーのヒロインの1人であるスタヴァの姉ちゃんの妹。

姉の言うように本当にそんなことはないのだ。

ただ、スタヴァの姉ちゃんのチャームポイントである肌のキレイさは妹にはモテる秘訣なんだと思っている。


(……別に私モテないんだけど。はぁ……、私もモテモテになって秀頼さんに振り向かれたいなぁ……)


「はぁ……」と姉妹揃ったため息が重なった。


「はい、エスプレッソ2つ出来上がりね」

「ありがとうございます!」

「いただきます!」


スタヴァ姉妹はそうやって嬉しそうな笑顔を浮かべてコーヒーを手に取った。

そして、姉妹揃って同じ表情をしながらコーヒーを満喫していた。










「あ!明智さんからラインだ。えーっと……『三島姉弟はどちらかと言えば三島の方が立場が強い?』。なんの質問だろ?どちらかと言えばボクの方が立場が強いです」


三島が送ったラインの文章を見て、同性の弟がいれば自分の方が強かったのだろうかと頭を悩ませる秀頼なのであった……。

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― 新着の感想 ―
[一言] おっぱいと猫ミサイルがあるからな、それで秀頼もわからせていけ!(最低の発言)
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