表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

382/889

18、スターチャイルドの魅力

4人がけのテーブルに3人が着き、ようやくスタチャ談義に移る。

理沙とゆりかは早くしろって雰囲気である。


「こほん……。スターチャイルドの魅力、それは一体なんだと思うゆりか?」

「や、やっぱりアイドルだし音楽だろうか?子供から老人まで人気らしいしな」

「大ベテランである琴山テルミ人気を抜いてしまった影響に引っ張られ過ぎですよゆりかさん」


「全然わかってませんよ!」と、理沙がゆりかを制する。

理沙が音楽だけではないと否定する。

当然俺もスターチャイルドの魅力は音楽だけではないと断言できる。


「ならば、理沙の答えを」


そう促すと「良いですよ。私が師匠である明智君を抜かしてみせます」と断言した。


「師匠!?理沙も師匠の弟子だったのか!?」

「そういうことじゃないです。スタチャを教えてもらったのが明智君だっただけです。あなたの師匠とは完全にニュアンスが違いますよ」

「…………」


ゆりかが変な誤解したのを理沙が流す。

彼女が本当に弟子なのかどうかは、俺もよくわかっていないところである。


「スタチャの魅力はですね!ズバリ、見た人を虜にする天使のようなビジュアルなんですよ!自分の母の様であり、姉の様であり、妹の様であり、娘の様である。どこにいても当てはまってしまう。そんな不思議な神々しいビジュアルなんですよ!あぁ、好き……」

「理沙が壊れたか……」

「師匠は常に壊れているが……」

「!?」


理沙がうっとりしながら机に倒れた。

最近理沙とあんまり絡んでなかったが、スタチャの神格化はなんか進んでしまったらしい。


「だが、全然ダメだな」

「なんですと!?」


俺は心にミステリー作品の主人公のような魂を燃やす。

その意見に俺は理解を示せても、納得は出来なかった。


理沙がじっと見てくる。

まるで強がりだとでも言いたいかのように。


ゆりかがじっと見てくる。

理沙の熱意を越えられるのかとでも言いたいかのように。


「ふふっ。……真のスタチャの魅力ってのはな!俺でなければ視れないのさ!」


理沙に指を突き付ける。

その瞬間、彼女は一瞬怯みごくりと喉を鳴らす。


「スターチャイルドの魅力は!唯一無二の惹き付ける腋なんだよ!わかるか!?ダンスの時も激しくまわす腕の腋!露出の多い服にチラッと写る腋!暑くなると濡れてくる腋!そこがわからねぇならスタチャの魅力はわかってねぇんだよ!」


理沙とゆりかに圧を突き付ける。

無風な店内に風が吹いた…………、気分になる。


「わ、腋……」

「師匠……」

「へ、変な目で見るんじゃねぇ!俺は皆平等に腋を見てるからなっ!」


スタチャオンリーで腋を見ている疑惑を解消させる一言を発言し、誤解を解く。

俺は腋を邪な目で見ているわけではない。


「タツユキさん、早く連絡くれないかなー……」


ん?

廊下から知人の名前が聞こえてしまい興味が沸いてしまい、そちらへ自然な動作を意識して振り返る。

こういうので全く知らない人が名前呼んでたりすると恥ずかしいんだよね。

でもなんか知人と同じ名前って反応しちゃうんだよね。

たまに電車とか日本史で明智光秀とかの名前が聞こえてきたりすると気まずくなる。


「……あ、お兄ちゃんだ」

「……あ、星子だ」


俺と同じ茶髪、ちょっと鋭い目、薄いそばかすとどこからどう見ても妹本人だった。

最近はそばかすヒロインを見掛けたことにより、星子と見比べてしまう。

星子は年々そばかすが薄くなってきているので、喫茶店で会ったヒロインの方が濃いそばかすだ。


ヒロインと同じ属性持ってる星子、マジヒロインである。


「理沙先輩にゆりか先輩もお久し振りです」

「おつー、星子さん」

「久し振りだな星子。前にCDショップで会って以来だな」


みんなから愛される星子は登場しただけで理沙とゆりかの注目を浴びる。

細川星子は俺が育てた気分で誇らしい。


「今日はスタヴァで何してたんですか?」

「あぁ。スタチャの魅力を師匠と理沙に語ってもらっていた」

「へぇ、どんな感じですか?特にお兄ちゃんのスタチャの魅力が気になりますね」


星子が理沙の隣の椅子を引き、座り込む。

斜めにいるゆりかが「あぁ」と頷く。


…………ちょっと待て!?

何言う気だ!?


星子が持っていたコーヒーを口に含んだ。


「まっ、待てゆりか!?」

「腋だそうだ」

「わっ……!?けほけほっ……!?」


星子はコーヒーを吹き出そうとしたのを堪えたが、変なところに入ったのか咳き込んだ。

ゆりかはよくわかってない顔だが、純粋な星子に何をカミングアウトしてるんだ!?


「やめろお前!?俺の兄としての威厳が無くなるだろ!?」

「けほっ……。いえ、もどもどないでず……」

「え?」


星子が咳を堪えながら衝撃の事実を暴露したのであった……。

俺は悲しい……。


「理沙はタケルには兄の威厳感じるか?」

「全然ですね。あの人は無能で1人じゃ何も出来ない人なんですよ」

「どこの兄も一緒ですね」

「…………」


女性陣で兄ディス会議が始まってしまった。

前世での姉か妹のいる野郎共の大半がヒエラルキーが低いことで嘆いていたことがこんなところで共感することになるとは夢にも思わなかった……。


ゆりかにも弟が居たという話が秀頼の夢の中にあった気がするなぁ……。

多分ゆりかの方が強かったのが想像できる。


女の子は強い。

和なんかゴミクズ呼ばわりしてくるし、俺って弱いなぁ……。

それをしみじみと感じて、心で泣くのであった……。

秀頼の腋フェチ。

星子のそばかすに触れられる。

ゆりかに弟。

和のゴミクズ呼ばわり。


なんか懐かしい話題がちらほらある回だ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] なんだぁ?ヒロインの魅力再確認回しかぁ? 腋のことじゃないよ、お兄ちゃんdisりとかの距離感が星子のみりょくだよ!かわいい妹だなぁ! だからこそ、和もつよいんだけど。何だコイツ、実妹より距…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ