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11、深森美月は楽しみたい

美月が言っていた近くのゲーセンにやってきた。

3年ほど前、永遠ちゃんの家族相手に絵美らを送り込みんでいて、暇になっていた十文字兄妹と遊びにきたところだ。

FPS論争が巻き起こっていたのが記憶に新しい。


「うおおお!凄い、キラキラしているところだな!」

「ゲーセンに来ている客は全然キラキラしてねーけどな」


チンピラの兄ちゃん達が溜まり場にしていることもあるしね。

それでも美月は初めてのゲーセン童貞を卒業出来たからなのか感激していた。


「深森美月、死ぬまでにやりたい100個の内を1個クリアしたぞ」

「え?ゲーセンに着いただけで達成なの?」

「ゲーマー風に言うならトロコン?とか言うんだろ?円に教わった。意味はよくわからない」

「無理して使いなれない言葉使わなくても……」


美月の口からトロコンの言葉が出てきただけで違和感バリバリだ。

無理して使っている感がヤバい。


「お姉様の死ぬまでにやりたい100個の内の1個クリアしたわけですし、違う目標をまた1個考えなくてはなりませんね」

「そうだな。バンジージャンプを経験するに書き換えておこう」

「せっかく1個埋まったのに消しちゃうの!?意味ないじゃん!」


当たり前みたいに会話する深森姉妹のやり取りに口を挟んでしまう。


「常にわたくしと美鈴は死ぬまでにやりたいことが100個になるように調整しているんだ」

「100個全部埋まったら死ぬまで暇ですしね。目標無き人生は色がないと美鈴たちは考えているのです。だから1個クリアしたら1個置き換えるとしているわけです」

「そういう考え方もあるのか……。結構好きな考え方かも」


またいつもの美月の天然が始まっただけかと思ったが、中々考えさせられた。


「美鈴もこないだまで『紋章を顔から消す』とやりたいことがありましたが、秀頼様のおかげで無くなりました!きゃ、言っちゃいました!」


ぎゅぅぅぅと美鈴が抱き付いてくる。

犬みたいに懐かれていて、男として誇らしいとか考えてしまう。

こんなに喜んでくれるなら、紋章が消えて良かったと自分のギフトに感謝した。


「それで美月はゲーセンで何したかったんだ?」

「うむ。UFOキャッチャーとやらをしてみたかった。UFOがゲームセンターに来るなんてハイカラだろ?」

「え!?UFOがゲームセンターに!?」

「UFO居ないよ!?UFOっぽいアームが商品取るだけだからね!?」

「UFOはいなくてもUFOっぽいのはあるのだな!」

「もうなんでも良いんだな」


めっちゃ隙だらけだから弄られやすいんだぞ……。

美月のUFO理論が可愛いくてなんか面白かった。


「あと、荷物増えるからUFOキャッチャーは最後だぞ」

「な、なに!?」

「ゲームセンターはもっといっぱいゲームあるんだから楽しまないとな」


俺が奥に進むと美月と美鈴も同じく進んでいく。

格ゲーとかはしないにしても、色々女子受けするゲームがあるはずだ。


「太鼓のやつありますよ!なんかリズムで叩くんですよね!」

「色々な曲が楽しめるやつだな!あっ、スタチャの曲が流れてる!これやりたいぞ秀頼」

「ならまずは手をキレイにしないとね」


手にアルコールを付けるのを促す。

深森姉妹はそれに従って手を除菌した。


「でもこれ2人プレイみたいですが……」

「2人でやってなよ。俺は後ろにいるからさ」

「良いのか秀頼?」

「うん。俺、太鼓苦手だし」


そう言って退く。

実際は前世でゲームハードのコンシューマー版をやり込んでいたので苦手ではないと思う。

ただ、コントローラーに慣れすぎて太鼓の方は経験が少ない。

そういう意味では苦手だ。

それに、初めてのゲームプレイを邪魔したくない気持ちが強かった。


美月がスタチャの曲を選択したらしく、それに合わせてぎこちない動きで2人が太鼓を叩いていた。


「…………尊い。はじめて『かどっコぐらし』を見た時以上に尊い」


俺の妹の曲を、同級生の女子2人がリズムに合わせて叩いて遊んでいるという事実が尊い。

心がポワポワして暖かい。

えー、なにこれ……。

この瞬間を録画してユーチューブにアップしたら俺だけでミリオン以上再生する自信がある。


彼女らのこの場面を焼き付けようとじっくり2人のゲームプレイを眺めていた。

すると1つの異変が起こった。

美鈴が履いているブレザーのスカートがぶわっと開いていた。

なんてことはないと思ったが1つの事実に気付く。

姉と違いミニスカートにしている美鈴だ。

結果、下着がチラッと見えそうになる。

というか水色っぽいのがなんか見えた。


「ヘブン……」


尊さとパンチラが合わさり大人の階段を爆走した気分になった。

ゲームセンター万歳。

まさかゲーセンに大人の階段があったなんて灯台もと暗しだ。

あと、関係ないことだが灯台もと暗しと大正デモクラシーの響きが似ているのに気付いたのは前世の俺だったりする。


「む?美鈴強いな……」

「ふっふっふー。胸と太鼓だけはお姉様には負けませんわ!」

「ブラボー」


2戦連続で美月が負けたようで美鈴がどや顔をしていた。

姉妹の健闘を称え、惜しみない拍手を送った。

良いものを見せてもらったよ。


「次に美鈴は秀頼様と太鼓で戦いたいですわ!」

「え?でも俺、太鼓はエンジョイ勢だし……」

「やりましょう、秀頼さまぁ!」


美鈴から無理矢理太鼓の前に連れられて美月と交代した。

お金を投入し、スタチャのデビュー曲が流れだした。

どうやら美鈴はさっきと同じ曲で俺と戦うみたいであった。















『フルコンボだボン!』


「つ、強すぎですわ……。的確な太鼓捌きでしたし……」

「流石秀頼だな」

「いや、普通だよ普通。ただ、スタチャの曲だけはミスは許されないと思って必死だっただけだよ」


スタチャの曲だけはどの音ゲーでも手を抜かないようにしているだけだ。

因みに、どのゲームでもスタチャの曲の全国ランキング1位はリアル本能寺さんらしい。

星子に対する本気が違うよね。

スタチャ曲の大半のランキング2位にいるサウザンドプリンセスさんから抜かされないようには意識してるからね。

それくらいは普通だと思う。


それにスタチャ以外の曲は並みレベルである。

全然凄くない、ただのスタチャ愛だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >犬みたいに懐かれていて、男として誇らしいとか考えてしまう。 いけ!遙か猫ミサイル!! >尊さとパンチラが合わさり大人の階段を爆走した気分になった。 かーらーのー>全然凄くない、ただのスタ…
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