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20、上松ゆりかとヨル・ヒルは連れて来る

「自信満々に98パーセントという数字を出しておきながら普通に2パーセントの方に事態が動いてどんな気分でした?」

「は、恥ずかしかったです……」


授業が終わり、みんなで部室に移動した。

そして開口一番に絵美に辱しめを受けて顔も上げるのも屈辱で机に突っ伏したところから放課後が始まった。

最近の絵美がサディスティックになり、原作絵美と秀頼の関係性が逆転してしまっている気がしてくる……。


「これが尊厳破壊という奴ですか?」

「あまり触れてやるな……。それにウチらに黙っていれば良かったのを円と美鈴が言いふらしたのも悪いと思っている……」


美鈴が最近円と和のオタク姉妹の知識を使ってみたくなっているお年頃になっていて、それを咲夜が捌いていた。


「明智君はよく突っ伏すのがお好きみたいで」

「それ気にする……?」

「久し振りにその言葉で突っ込みましたね……」


理沙専用突っ込み言葉を突っ込しながら発言する。

むしろまだ理沙がそんなしょうもないことを丁寧に覚えていることを感心する。


「しかし、師匠が男性に戻らないとは……。学年一の秀才の永遠ならなんか打開案でもあるのではないか?」

「なんて無茶振り……」


ゆりかに振られた永遠は「別に私、探偵じゃないんだけど……」と呟きながらも、目を瞑りながら思考に入る。


「…………あ!そうだ!」

「永遠さん?」


理沙が反応を示すとこの場に揃っている頼子以外全員の視線が集まる空気が伝わってくる。

因みに私は未だに顔を上げられないでいた。


「こういうのはですね、キスですよキス!キスによって元に戻ります」

「永遠さん……。なんで明智君が絡むと残念に……」

「普通に失礼なんだけど……」


理沙の言葉に傷付いた永遠ちゃんなのであった。


「キス……」

「兄さん……?」

「こういうのは男がするべきか……」

「あんたはバカなんですか?」


今日の理沙は声だけでキレッキレなのがこちらにもよく伝わってきた。

そもそもギフトがキスでどうにかなるとは到底思えない……。

毒リンゴを食べた白雪姫に王子様がキスをしたところで王子様にも毒が感染し、共倒れをするだろうと考えるリアリストな私は、ロマンチックな作戦に賛同出来なかった。


「じゃあわたくし達は今日も心霊動画でも見てようか」

「美月さんチョイスは怖すぎるんですよ!ビビりなボクでも見れるくらいのソフトなやつにしてくださいね!」

「…………この2人は何しに来てるんだ?」

「そもそも私達、部活をしろよって突っ込みを放棄しておいて今更……」


昨日みたいに動画視聴に耽る美月と三島。

ゆりかとヨルコンビの鋭い指摘は軽くスルーされたらしい。


「ところで師匠。師匠にギフトを使ったのはどんな奴だったのだ?こうなった以上、探す他あるまい。もしかしたら我の知り合いかもしれない」

「でも昨日この場で人物の特徴を説明したでしょ」

「我は昨日は部室に来てないから聞いてないぞ」

「あたしもー」

「私はそもそも学校休んだし……」

「あー、君ら居なかったのか」


机から顔を上げて、もう既に顔がうろ覚えになっている女の顔を思い出す。


「確か、私くらいの髪色した茶髪で目の下に黒子がある子。あと、リボンは俺らの学年と同じ青。……これくらいしか覚えてない」

「絵美じゃないの?」

「違います!」


昨日と同じ誤解を円に指摘され、面倒そうにあしらう絵美。

やっぱり心当たりなんかないよな……、と思っているとゆりかとヨルが無言で顔を合わせている。


「…………」

「…………」

「…………絵美じゃないならアレ?」

「……アレかも」


こそこそと何か言い合っている。

もしかしたら心当たりでもあるのかと勘づいていると「何か言ってなかったか?」と促される。


「『変態』とか『可愛くなっちゃえ!』とか『可愛いは正義』とか『ムッカー!』とか……」

「ヨル……」

「ゆりか……」

「アレ決定だな」


そう呟くとゆりかが廊下へ出て行く。

突然動き出す彼女に着いていくようにヨルが「ちょっと待ってろ」と言ってゆりかに付き添う形で部室を飛び出した。

その突然の異変に「どうしたんだろ?」と理沙や咲夜の声がする。


「あばばばばば!やめて!やめて!やめて!押し入れなんかいる!押し入れなんかいるって!」

「顔があるな。なんで幽霊って服着てるんだろうな?服もあの世に行っているのかな?」

「あー!あー!怖いよぉ!怖いよぉ!ボク、こういうのダメなんだってばぁ!」


心霊動画を見ている2人だけが騒ぐ声が響いていた。

それから5分くらいした頃、ゆりかとヨルともう1人の3人で会話しているのが耳に届く。


『えー?ちょっとゆりちんもヨルちゃんもそろそろ離してよ!今からあたしは帰るんだよぉー!』

『部室行くんだよ、部室!まさかお前と部活一緒とかさっきはじめて知ったぞ……』

『安心しろ。部室ではお前を歓迎する可愛い子が待ってるぞ』

『本当!?会う!会う!ゆりちん、早く可愛い子紹介して!』


段々と女子3人の声が近付いてきて、ヨルがドアを開けてきた。

そこに件のギフトを使ってきた女を本当に連れて来た。


「あ……、昨日の変態だ」

「ムッカぁぉぁぁ!あんたが変態なんでしょぉぉぉ!」


向こうも私の顔を覚えていたらしく、顔を合わせた瞬間にお互いに敵視するのであった。

次回、千姫はどう動く……?

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