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13、佐々木絵美は出来る女

「そ、それで!それで何しに来たんだよ!?」

「照れてる、照れてる。にやにや」

「だーかーら!からかうのやめろって!」


絵美がわざとらしくにやにやと笑い、俺をからかってくる。

女子特有のこの感じに馴れなくて、耐性もないので反応がわからない。


「秀頼君が家族に女になった説明しようとしてもそういうの苦手でしょ。最悪信じられなくて追い出されるかもしれないし」

「う……、それは困る……」


おばさんも叔父も頭の硬い昔気質の人だからな。

マスターみたいに順応の効く大人なら『あっそ』の一言で済みそうだが、残念ながらあの人は俺の親ではない。


「そこでわたしの出番です。一緒に説明して、おばさんを早く納得させましょう!」

「おー!流石絵美ね!いやさ、絵美様!」

「いやぁ、褒めすぎですよぉ!」


私が説明苦手なのを察してくれた絵美を拍手で迎え入れた。

絵美が良い子過ぎて、なんで原作で立ち絵があるだけのモブ化していたのか疑問が出てくる。

絵美を育てればワンチャン永遠ちゃん並みの人気キャラクターになることも出来るスペックがありそうだ。


「出来る女は違いますね、絵美様!」

「いや、本当……、それほどでもないですよぉぉぉ!」

「よっ!憎いねー!可愛いくて出来る女はチートですよ!」

「きゅぅぅぅぅぅぅぅとぉぉぉぉぉぉぉ!」

「絵美様は身体は小さいのに、器はデカイね!」

「身体小さいって言った?」

「…………ごめんなさい」


調子に乗りすぎて、どうやら一瞬で絵美の地雷を踏み抜いてしまったらしい……。

キュートをノリノリで凄い叫びながら照れていた絵美も、器の大きい絵美も消失した……。


「大体なんなんですか!長身で胸デカイとか!当て付けかなんかなんですか!?」

「い、いや……」

「どうせこんなのシリコンかなんかを詰めているんじゃ……!」


絵美の手が私の服の中に侵入し、いつの間にかセットされていたブラの中に指が入っていく。

それから数回握られる。


「…………」

「絵美、ちゃん……?」

「これは酷いよ……」


絵美がプルプルとして怒りに満ちていた。


「これはもう頼子にわたしの胸を大きくしてもらうしかないです」


服の中から腕を元の位置に戻した絵美が、腕を組ながらうんうんと頷いている。


「どうやって大きくするの?」

「頼子に胸を揉んでもらう」

「なんで!?大丈夫!?」


女子ってみんなこんなやり取りしてるの……!?

三島や理沙らで胸揉まれ同盟を結び巨乳を維持してるとか!?

……あっ、違う!

三島と理沙は出会う前から巨乳だった!

冷静さを失い、人間関係すら忘れてしまうところだった。


「よ、頼子は女だからセーフです」

「絶対ダメだよねぇ!?正気に戻れ淫乱娘!イングリッシュ先生と同じ淫乱扱いになるぞぉぉ!」

「頼子に揉まれてわたしの胸が大きくなるなら淫乱のレッテルくらい貼ったままにしてやりますよ」

「無駄に男らしいな!」


部屋でバタバタと揉むか、揉まないかで絵美とバチバチに言い争ってしまう。

「わたしを遥香みたいにして!」と宣言する絵美と、「絵美はそのままが素敵よ!」と私が普段から思っていることを買い言葉に売り言葉で発言する。


「…………ほ、本当に素敵……?」

「絵美は出会ってからずっと素敵だよ!素敵じゃなかった時がないよ!」

「頼子ぉぉぉぉ!いや、秀頼きゅぅぅぅぅん!」

「うわっ!?」


絵美に抱き付かれ、私の身体がベッドの横へダイブされる。


「秀頼君!秀頼くぅぅん!秀頼きゅぅぅぅぅん!」

「え、絵美……!?」


絵美が私のお腹に顔を埋めるようにしてくる。

な、なんなんだこの可愛い生き物は……!?

まるで自分が求められている気分になり、悪い気はしない。


「絵美……」


私が絵美の肩に手を置いた時であった。











「ちょっと、秀頼?騒がしいわ…………よ?」

「…………」

「…………」


私と絵美がおばさんの声が間近に聞こえて、声の方向を同時に見る。

扉を開けてしまったおばさんが絶句する。



「whooooooooooooooooooooooooo!?」

「あ、秀頼です……」


どうやらおばさんは結婚する前である翻訳者の癖であった英語が出るくらいに私の姿に驚いていたのであった……。

次回、久し振りに円降臨!

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