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7、深森美月は飲ませて欲しい

タケルにタオルを返して以降、クラスの男子にセクハラをされそうになったのでタケルから守られつつ、文芸部の部室へ移動する流れになった。


「あたしとゆりかは用事あるからまた明日なー」とヨルとゆりかが離脱し、その変わりに別のクラスである三島と美月が合流した。


「部活に入部してはじめてこんなに人が集まりましたねお姉様!」

「そうだな。まぁ、今日は部活というよりミーティングみたいなものとのことだが……」


私の知らぬ間に深森姉妹まで文芸部に入部していたらしい。

つい先ほど、私を女にしたギフト使いの女子に対し、『いや、情報が古いよ』と煽ったのに、まさか自分の情報まで古かったというオチが付いたのである。

それはそれとして色々とおかしいぞ……。

こんなに原作キャラクターが集まる部活は何かおかしい気がする……。

そもそも文芸部なんてキャラクター設定があったのは三島遥香1人だけだったはずだ……。

気付けば原作への軌道修正がもはや不可能レベルになってきている気がする……。

私ですら、もう直せないよ……。


「それで……、彼女が明智さんなんですか……?」

「やっほー、三島!こんな姿になっちゃったよ」

「う、うん。凄いですね……(そろそろボクも名前で呼んで欲しい……)」


三島が少し引いたような表情であった。

でも、こればっかりは自分では何もできない。


「よ、よ、頼子!お茶でいいか!?」

「なんで君はパシられてんの……?」


教室から部室に移動する間にタケルの姿が消えたかと思ったら人数分の飲み物を買ってきていたらしい。

お茶とジュースが半々で購入されている。

あと、やたら私にアピールしている気がするのは自惚れだろうか……?

ヨル以外の初代ヒロインが揃っていて頼子ルートを選ぶ愚行なんか起こさないとは思うんだけど、不安だ……。


「十文字君……。この人数分だとお金も高いでしょ。お金返すよ?」

「い、要らないよ!間接的な原因が俺にもあるしその詫びも兼ねてるからさ!」

「そ、そうですか。ごちそうさまです!」


絵美が申し訳なさそうに頭を下げた。

それに続き、女性陣みんなでタケルにお礼を言って飲み物を受け取っていった。


お茶やジュースを飲みながら、各々が『これからどうしようか?』というミーティングが始まる。

しかし、最初からどうするかの意見も特になく、すぐにみんなが黙り込む事態になる。

それに飽きたのか、隣に座る美鈴が私の髪を触ってくるスキンシップを始めてくる。

「あああ!」と美鈴が歓喜の声を上げて、周りも何事かと視線を向けてくる。


「頼子様の髪がキレイね!きゃあ!胸もありますよ!」

「や、やめて美鈴……」

「女の子同士だし、良いじゃないですか!見ても触っても減りませんし!」


美鈴から胸を揉まれながら「これ、本物だ!」と興奮した様子で語っている。

三島もその隣で興味深そうに美鈴に質問をしていた。


「ブラはありますか!?」

「あるある。可愛いブラがあるわよ!」

「や、やめて……」


制服のボタンを取られて美鈴に襲われていた。

美鈴実況に他の女子も釘付けになっている。


「ブラのメーカーとかわかります?」

「何色の下着とか気になります!」

「肌の色とか骨格も変わってる!?」

「頼子可愛い!」

「胸が何気にあるの気に触るな……」


絵美、理沙、咲夜、永遠ちゃん、美月と数人からベタベタ触られ、色々と好き勝手なことを口走っていた。


「きゃあああ!この位置の黒子の位置は秀頼君と同じだ!」

「髪質も秀頼さんと同じみたいです!」


女子特有の目ざとさで、共通点を暴かれたりなど次々と頼子情報が更新されていくのであった。


「頼子様!好き!好き!好きぃぃぃ!美鈴と付き合ってください!」

「私、告白されたんだが……?」

「はしたないからやめてくれ美鈴」

「う……。邪魔しないでお姉様……」


1番ベタベタ触っていた美鈴が姉の美月に剥がされた。

シャンプーなのか、クリームなのか、香水なのか、全部なのかはわからないが、女の子特有の匂いが女になった自分でもドキドキするからやめて欲しい。


「なら美鈴が離れるならわたしが!」

「あ!ずるいですよ絵美!私も!」


先ほど美鈴が触っていた場所を次は絵美と永遠ちゃんがはしゃぎながら駆け寄って来る。

モテモテだな頼子。

もはや、秀頼より頼子の時代が来ているのかもしれない。


「た、助けてタケル!タケルぅ!」


女子が俺を嘲笑いながらセクハラしてくるんだ!

助けてくれタケル!

女子に触られながら、唯一の男であるタケルに助けを求める。


「あー、兄さんなら……死んでるわよ」

「え?」

「ほら、死んでるわよ」

「チーン、死んでます……」

「タケル!?どうした!?誰に殺された!?」


タケルが血まみれになりながら机に突っ伏して、いつかのプールの時みたいに脈絡なく死んでいた。


「よ、頼子のブラが……見えた……」

「頼子ちゃんのヘソチラで興奮して、ブラチラで血を流して兄さん死んじゃいました。意外とウブなんですよ。誰に殺されたのか言及するなら頼子ちゃん一択ですね」

「犯人が私!?」


普段沢村ヤマの写真集とか読んでいるタケルが、頼子で死んでしまった……。

もはやアダルトが本の中の出来事だと思っていたタケルが、頼子のブラチラで頭がオーバーヒートしてしまったらしい。

それで鼻血を出してぶっ倒れてしまったという真相らしい。

私は心配して、急いでタケルの口にサイダーを流し込む。


「ほら、タケル。水分取りなさい」

「タンサン、ヤメロ……」

「お前が買ったんだよ」


タケルの口へ無理矢理ペットボトルを突き刺し介抱をしていると、美月が私に近寄ってくる。

片手にペットボトルを持って。


「わ、わたくしにも飲み物を飲ませてくれないだろうか?頼子の手でタケルと同じ姿勢が良い」

「美月さん……?」

「はっ!?いや、ただ……頼子のSっぽい目にぞくっとしてな……」


美月は残念なMであった……。

ドMな私に引く資格なんか欠片もないわけだが……。



しかし、秀頼の女化に続き、タケルの死亡。

もうどうしようもない……。

私にも救いが欲しい……。

そう考えた時、1つ閃いたことがあった。




──達裄さん!

達裄さんだ!


ゴリラと腕相撲して圧勝したあの人ならこんな問題ちょちょいのちょいであろう!

私は急いで達裄さんに連絡を取ることを決めたのであった……。

次回、達裄のアドバイスは……?

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