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8、三島遥香は紹介する

「ターザンさん?」

「ターザンに用なのか?」

「あぁ」


遥香と美月がなんで?という顔だったが、クラスメートである以上知っているらしく、教室へ案内してくれる。


「すいません、た……ターザンさん!ヨルさんがターザンさんに話があるみたいです!」


机に伏せて寝ていたターザンさんに遥香が声をかけると、大きめの巨体が動く。

一言で目が覚めたらしい。

美月が『なんでターザン?』みたいな顔をしていたが、黙って成り行きを見ている。


「オゥ?ナンダ、お前?」

「あぅぅぅ!三島遥香って言います!」

「お前に言ってネーヨ?クラスメートダロ。そっちの赤髪オンナに聞いてんダヨ?」

「ごめんなさい、ごめんなさい……」


遥香がめっちゃ謝っている。

顔がちょっとワイルドだから驚いているらしい。

ターザンさんは机から顔を離し、机から愛用のサングラスを取り出して掛ける。


「あ、あたしはヨル・ヒルって言います!よろしくお願いいたします!」

「ヨロヨロ」

「ミシーマにフカモリにヨルとナンノ用だ?」

「ターザンさん」

「ドーシタ?」

「ジャパン語ペラペラなの知っているんで普通に喋ってください」

「…………」

「…………」

「…………え?」


美月がすっとんきょうな声を上げると同時だった。


「見破られたか……。何者だ、お前?」

「めっちゃ普通に喋ったー!?」


美月が驚いて腰を抜かしそうになったのをあたしと遥香で受け止める。

立ち上がるのに苦労しているのか、足をプルプルさせている。

周りのクラスメートの人も驚いているのか、刹那的に冷えた空気になる。


「お前ラ、オドロイテんじゃネーヨ」


わざと片言に戻し、教室の奴らに声を掛けるターザンさんだが、冷えた空気はすぐには直りそうにない。


「ターザンさん、ジャパン語ペラペラじゃないですか……」

「ターザンさんは外国人だけど、ジャパンが好きって噂っす」

「そんなターザンの噂が……」


そんな噂聞いたことないけど、ターザンさんとはタケルと同じくらいに付き合いが長いから大体の人柄はわかっている。


「ターザンさんは聖徳太子が好き過ぎて自分で十七条の憲法作る人だからな。尊敬してるっす」

「照れるじゃねーか」

「えぇぇ!?」


美月がターザンさんが口を開く度に驚愕する声を上げる。

失礼な子である。


「ターザンは人の話を同時に聞く練習をしている。お前ら3人でなんか言ってみてくれ」


遥香と美月が『急にそんなこと言われても……』という顔で見合わせる。

しかし、やってくれというので3人で「せーの」と言って口を開く。


『■■■■■■■』


3人同時に口を開き、あたしも自分の言葉以外2人がなんて言ったのかよくわからない。

それをターザンさんが頷きながら理解したらしい。


「ヨルが『犬も歩けば棒に当たるっす!』って言ったな」

「正解っす!」

「フカモリが『スターチャイルド』。ターザンはリーチャ派ダガナ」

「当たってるし……」

「ミシーマが『ターザンさんが付けているサングラスのお値段いくらですか?』だな」

「凄い……」

「2980円だ」


本当に3人ぶん聞き分けるのが上手だった。


「凄いっす!ターザンさん!」

「まだまだだ。ターザンは10人同時を目指す。まだ3人が限界だ……」


ターザンさんは悔しそうにサングラスをくいっと動かす。

相変わらずワイルドだぜぇ!


「もしかしてそれがターザンのギフトか?」


美月が納得したという顔で驚く。


「いや、努力だ」

「え!?努力!?」

「ターザンのギフトはこれとは別だ」

「えぇ……。平凡なギフトよりよっぽど凄いことやってのけるじゃんこの人……」


『生きるレジェンド』の異名を持つターザンさんを我々の定規で図るのが烏滸がましい。

ハーフデッドゲームで生き残るはずだった伝説2人の片割れだからな。

タケルもよくターザンさんを頼りにしていたもんだ。


「それでヨルはなんか用か?」

「実はハーフデッドゲームで起こった出来事を教えて欲しい」

「ハーフデッドゲーム?なんだそれ?サバゲーの大会の『ジャングルデッドゲーム』のことか?」

「いや、サバゲー関係ないっす。ゴールデンウィーク前に体育館で頭おかしい奴が乱入してきたことなかったっすか?」

「…………あぁ!茶髪の男子が説得してたあれか!なんか教師に呼ばれて『ケガないか?』みたいな事情徴収をされたやつか」

「…………茶髪の男子」


熊本セナと同じことを言ってるな……。

やっぱり明智秀頼がハーフデッドゲームを終わらせたわけか……。


「貴重なお話、ありがとうございました!」

「オー、また何かあったら来いよ!」

「うっす!」


ターザンさんの優しさに触れて頭を下げた。

さて、ハーフデッドゲームの調査は切り上げだ。

次はギフト狩りを狙うか……。


そのまま遥香と美月に連れられ、一緒に教室の出入口に戻る。


「ありがとうな、2人共!」

「いえ……。こちらこそ、美鈴の相談に乗っていただき感謝です」

「気にすんな」


あたしがそう言うと美月も頭を下げる。

『ギフトメイド』同士、あたしも美月に仲間意識を抱いていた。


「美月さん!それなら明智さんにも聞いてみたらどうですか?明智さんもギフト詳しいですよ!」

「そうなのか……。そうだな、時間がある時に秀頼に聞いてみるか」

「ほどほどにな」


イマイチ頼りになるのかわからない相手だが、悪い奴ではないんだと思う。

それでも、あたしはあの顔を見るとムカムカしてくるけどな。


そのまま2人と別れた。

放課後に『西軍グループ』メンバー全員参加とかを思い返すと、少し嫌な気分になるのであった……。

ターザンさん、別にメインキャラじゃないですよ(笑)。

たまたまハーフデッドゲームが話題に上がったからスポット当たっただけです。

本来は名前のみの出演だったのですが、やたら人気が高くて出演したモブです。

ヨルは純粋にターザンさんを慕っているだけで、恋愛感情は皆無です。

外国人にもギフト宿るんだぞっていう話のために登場しました。

エセ外国人を装うのは、いかにもな外国人の見た目なのにジャパン語がペラペラなギャップがダサイと思っているから。

ターザンという名前から野生児だと舐められると『ふぁきゅー』と言いながら殴られるので注意。

外国人っぽく見られたいからサングラスを付けているだけで、凄く邪魔に感じている。

サングラスを外すとのアニメ映画であるヘラクレス似の爽やかなワイルド顔が出てくる。






次回、秀頼動きます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 回帰しようと思ったのにゲームだということを認識していますね。 何が何なのか分かりません。
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