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4、ヨル・ヒルは自慢する

「さて、次は明智先生のターンだ」

「さぁ!誰よ?明智先生は誰の胸が好きなんだ!?」

「俺はスターチャイルドです」


デンと口にしながら参考画像を数枚『リア充破裂グループ』に画像を送る。


「見てよ、この心が洗われるようなフォルム。穢れを知らない無垢な表情。まさに王道が最強。この1枚目の開いた腋の衣装が特に痺れます」

「気持ち悪いぞ、明智先生!」

「王道に逃げるな明智先生!」


タケルは『シスコン気持ち悪いぞ』と煽りたいのだが、山本の手前隠しているのが伝わってくる。

事務所のごり押しだのなんだのと文句を言うスタチャアンチを100人以上葬って、勝ち続けた俺は負けを知らない。


「俺は理沙の方が胸が大きくて良いと思う」

「胸は大きさよりも似合うかどうかだと思う」

「バカかお前ら?スタチャの胸はな、お前らみたいな素人が語れるほどに単純じゃないんだ。これを見て欲しい」

「なっ!?」

「こ、これは!?」

「デビューした日のスタチャだ」


新しい画像を送信する。

若き日のスタチャの画像である。


「せ、成長している……!?」

「そう。少女はゆっくりと成長していく。小さいのも大きいのも楽しめる。それがスタチャだ……。わかってくれるね」

「スタチャ最高!」

「こんな女の子と付き合いてーよ……」


タケルと山本が落ちた。

スタチャ教徒は今日も地道に増えていく。


最近、スタチャアンチ板に『リアル本能寺』という信者が現れてスタチャアンチをスタチャ信者にしていき、スタチャを崇拝するスタチャ教という宗教が出来ているという噂だ。

『リアル本能寺』の存在は未だに正体不明。

『リアル本能寺』のツイッターにはスタチャ公式1人だけをフォローしていて、フォロワーは5万人超え。

しかもスタチャ公式からもフォローされ、スタチャ本人からも認知されているという。

ネット上では、日々『リアル本能寺』の正体を探ろうと特定班が動くが、そのあまりにも謎の生態過ぎて、特定が不可能となっているらしい。


「最後は俺の番だな」


タケルが意気揚々と名乗りを上げる。


「俺は沢村ヤマの胸が好きだ」

「理沙じゃねーのかよ!?」

「好きな天ぷらの議題していて天丼みたいな空気読めない発言冷めるわぁ」


……というかこの主人公、誰をヒロインにするつもりなんだ?

ヨルさん…………。

メインヒロイン(笑)みたいになってるんで、もうちょい頑張れよ……。





ーーーーー





「みたいな出来事があったっす。あたしは全部見てた」


ヨルが達裄さんとマスターに昨日の放課後に行われた男の文化発表会の内容を暴露された。


「みんな気持ち悪いな」


マスターから引いた声が出される。


「そうなんすよ!タケルを変な道に誘うのやめてくれねーかな!?沢村ヤマを検索して後悔したあたしの気持ちわかるか!?」

「え?ヨル検索したの?ヨル・ヒルのスマホに沢村ヤマの検索履歴あるの……?ムッツリだな」

「うるせーよ、お前は!?……ちょっとはお前を見直してたのに」

「え?ヨルが俺を?」

「嫌いには変わらねーからな」


ヨルから睨まれる。

うーん、円以上にツンツンした態度だ。

タケルでないとヨルをデレデレにはできないだろうし、これはもう仕方ない。


「あーあ……、せっかくの初バイトなのになんで明智なんかに……」


初バイト?

ヨルの呟きに1つの原作の姿が浮かぶ。




『ほら、タケル!正真正銘、初バイトの初ウェイトレス姿だ。可愛いだろ?褒め称えろ』

『よ、ヨルのその姿……、新鮮で良いな……』

『けらけらけら、照れてる照れてる』




タケルがヨルの姿を見て赤い顔をして褒めて、彼女がからかうという図があった。

ヨルの好感度が上がってくると起こるヨルの喫茶店バイトイベントだ。

確かガラガラで人が来ない喫茶店にヨルがバイトをして、タケルを真っ先に店に誘ってヨルがからかう図が出来上がり、喫茶店がイチャイチャ空間に変貌していた。


タケルと同年代である店長さんの娘が引きこもりになって病んでしまい経営がガバガバになって人の来ない喫茶店でヨルがバイトするというイベントである。

タケルが『雰囲気が良いのに客が来ないのはもったいない』と漏らしていた気がする。


…………しかし、おかしいな?

この喫茶店、人が来ないという共通点はあれど娘が引きこもりでもなければ、店長は病んでもない。

なんか歴史が改変されてないか?


なんでヨルはこんな原作に影も形もない喫茶店でバイトを始めたんだろう?

タケルと接点が薄い弊害だろうか?

なんか引っ掛かるな?


原作世界の娘が引きこもりになって病んでしまう店長が経営している喫茶店が存在するなら、もしかしたら近所にもあるかもしれないな……。

なんというかさらっと流される話であるが重い。


ヨルは原作通りのそんな重い喫茶店で働かずに、変なポンコツ娘とノリが良い変なマスターのところで働くことになるとは、原作から大きくズレてしまったのだろうか……?


「このウェイトレス、僕の先代のデザインなんだけど良いデザインよね」

「俺もフリフリしていて男性客が増えると思うな」


マスターと達裄さんがヨルのウェイトレスの衣装についてコメントしていた。

なんでかわからないが、白と藍色が目立つウェイトレス衣装がどことなく原作で見た気がする。

ヨルの立ち絵もこんなフリフリがあった気がする。

ただの偶然だろうけどね……。


「ほら、明智。正真正銘、初バイトの初ウェイトレス姿だ。可愛いだろ?褒め称えろ」

「あぁ。似合ってるよ。ヨルの為にデザインされたみたいなウェイトレス姿が似合うな」

「けらけらけら、そうだろそうだろ」


原作ヨルの口癖であるわざとらしく笑う『けらけらけら』という声を聞き流しながら、少しはヨルの反応も柔らかくなったのかなと思うのであった。

因みにヨル・ヒルが原作世界で働いていた娘が引きこもりで病んでしまった店長が経営する喫茶店の正体は……、語るまでもありませんよね。


当然、メタ視点で見ると秀頼がとっさに褒めたみたいにメインヒロインのヨル・ヒルが似合う様なウェイトレス衣装になっています。



第8章 病弱の代償

第164部分 5、宮村永遠は逃がさない

にもある様に、ヨルは『けらけらけら』とわざとらしく笑うクセがある。

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