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31、『エナジードレイン』

明智秀頼にはたどり着けなかったのか、思い付いてはいたけどあえて三島には教えなかったのはわからない。

ただ、『エナジードレイン』を完全制御する方法はタケルならその境地にたどり着いていたのだ。


させないんだ。

原作みたいに、三島に家族殺しとギフト局員殺しをさせないように正しいギフトの扱い方をきちんと叩き込むんだ。


「良いか?三島の『エナジードレイン』は元気を奪う対象は人間だけではない。植物や動物、虫なんかからも奪えるんだ。そして、自分の近くにいる人だけでなく、もっと広範囲に『エナジードレイン』の効力を伸ばせるんだ」


これが、タケルが三島の『エナジードレイン』を安定して制御しつつ、一生暴走もさせずに周囲の人間にも影響なく過ごすことができるようになった秘密だ。

主人公が方向を示したことが、悪役親友の俺にできるのかはわからない。


俺にはもし出来ないならその時はタケルを無理矢理ここに連れて来るだけだ。


「動物には効くのはボクのペットを見ていて気付いていました。まさか植物や虫にまで効果があるなんて……」

「無機物以外の生命があるものならなんでも元気を吸いとれる。多分、そういうギフトだ」


知りすぎるのを突っ込まれると『ゲームと小説で見たから』としか言えないから、ところどころ仮定や推察という感じにアドバイスをしておく。


「でも広範囲に『エナジードレイン』を広めてしまったら逆に色々な人に迷惑を掛けるんじゃ?」

「いや、多分大丈夫だ。今の三島は近くにいる人や動物に100の体力を奪うと仮定しよう。しかし、『エナジードレイン』を広範囲に伸ばすことでみんなから無自覚に0.1ずつ奪うみたいにすることができるんだ。範囲を伸ばせば伸ばすほど、奪う生命力を広範囲にいる人から分散してもらえるんだ」


三島遥香の暴走した『エナジードレイン』は軽々と三島の暮らす家を覆ったが、あんなの比じゃないくらいにもっと広範囲に伸ばせる。


「それに悪いことだけじゃない。メリットもきちんとあるぞ」

「メリットですか?」

「例えば不審者に襲われる時や熊とかワニとか危険な動物から身を守る力になるんだ。何事も考えようだよ」

「な、なるほど……。考えたこともありませんでした……」


後は、あの人の言葉を借りるのはださいけど、これも伝えておくか……。


「三島」

「はい……」

「『想い』はな、どんなギフトを打ち破れるんだ。だから『克服したい! 』っていう『想い』を常に忘れないでいてくれ」

「わ、わかりました」

「うん」


三島を頷かせた。

大丈夫、俺が付いている。

俺が消えたらタケルも控えている。

あいつなら安心して、次に託せる。


「それにな、世間的にはまだ認められていないけどギフトは『想い』によって進化するんだ」

「ギフトが……進化?」

「あぁ、三島ならもしかしたらギフトの進化ができると俺は信じている……」

「明智さんがボクを……信じている?」

「あぁ。三島なら出来るさ!例えば目の前AさんとBさんが目の前に立っていたとしてAさんだけの体力を奪うとかそういったギフトの扱い方が出来るはずなんだ」


秀頼がギフトを進化させてアンチの向こう側を目指したように。

実際に、タケルがギフトを進化させたように。

ギフトは進化する。


「じゃあ、練習をするぞ。ギフトを広範囲に伸ばす練習だ」


ギフト板を渡してギフトを制御されるように俺から指示を出していく。

ギフトの範囲を伸ばすのも、狭めるのも同じ要領だ。

原作の明智秀頼が指示したやり方をそのまま丸パクリして三島へ叩き込む。


要領自体は良い三島は、本当に飲み込みが早かった。





「明智さん!ありがとうございました!」

「あぁ、明日の昼ぐらいからまたここで練習しようなっ!」

「はいっ!必ず行きますねっ!」


それから2時間くらい練習を続けて三島と別れた。

……しかし、ギフト耐性があっても、ギフトに当てられ続けるのは本当に身体に悪い……。

終わった時には膝が笑っていた……。









ーーーーー





「チクシュウ……、三島遥香を見失った……」


自転車で走る三島をコソコソ追尾していたが、あたしは徒歩だったから見事にすぐに巻かれてしまった。

それからしばらく色々行き来をしていた。


明智なんか信用できない。

明智と関わる三島に嫌な予感を感じていたからだ。


いくら良い姿をタケルの前で演じようと、あたしだけは絶対に明智の本性を暴くんだ!

その意思で1時間以上探し周り、ボロボロの廃墟を見付ける。

そして、三島が乗っていた自転車と同じものが停められているのを発見する。

名前も『三島遥香』と記入されている。

確定だ。


しかし、見付けるのが遅くなりそれから3分くらいして廃墟から2人が出て来てしまった。

自分の間抜けさに腹が立つ。

どうにか情報を奪えないかと聞き耳を立てていた時だ。


『明智さん!ありがとうございました!』

『あぁ、明日の昼ぐらいからまたここで練習しようなっ!』

『はいっ!必ず行きますねっ!』


明日の昼、ここで三島と会う約束をしたのを聞き取った。

怪しいよなぁ。


こんな人気のない廃墟で男女が2人っきり。

絶対やってるよなぁ……。

三島には悪いが、あいつの本性を暴く使命があたしにはある。


あたしも明日の昼にここに来ることにしよう。


「明智……、お前はなんなんだ……」


無自覚にあたしは、自分に掛けられている銀色のペンダントをギュッと握り締めていた。

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