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5、佐々木絵美は離れない

「あっ、永遠さん」

「こんにちは理沙、こんなところで偶然ですね」

「そうですね」


私が駅前で明智君を待っていると、宮村永遠さんを偶然目撃した。

何か用事なのかな?と思う。

凄いおしゃれしてるし、まるでデートにでも行くかというくらい気合いの入ったコーディネートだ。


え?

もしかして『永遠さん、彼氏でも出来た?』とか聞きたい。

明智君では絶対ないだろうけど。


明智君の好みに1番近そうと兄さんも言ってたし、絵美さんも絶対強敵ですよと言っていた。

そんな彼女は露骨に明智君へあざとい感じに接していたのに、諦めたのかな。


「……」

「……」


チラチラ時計を気にしてか腕時計を見ている。

……というかあれ?電車乗らないの?


「えっと……、理沙はこんなところで何を?十文字君は見当たりませんけど」

「兄さんは喫茶店へ行くと。私は待ち合わせです」

「そうなんですか。私も人と待ち合わせです」

「……」

「……」


凄い気まずい時間だった。

一緒に会話したり、遊んだりする仲だけど約束なしでプライベートで会うのが気まずい。

『デート?彼氏できました?』とか聞きたいけどなんか言いにくい。


「早く来ないかな……」


顔を赤くして時計をずっと見てるもん!

明智君以外で永遠さんのあの表情を引き出せる人絶対居ないと思ってたのに、まさかあの永遠さんがね……。


早く明智君来ないかな……。


「む?偶然だな永遠と理沙でお出かけか?」

「いえ……。別件です」

「咲夜さんも偶然ですね。何かお出かけですか?」

「待ち合わせだ」


咲夜さんが近くで足を止めた。


「……」

「……」

「……」


凄く気まずい。

永遠さんも咲夜さんも誰と待ち合わせしてるかわかりませんが、なんなんでしょうこの気まずさ。


友達だからこその気まずさ。


明智君の部屋へ絵美さんと乱入したら、明智君がギャルゲーをニヤニヤしながらプレイしていた時と同じくらいに言葉が出ない。


「あら?あんた達、偶然ね」

「こんにちは、咲夜先輩に永遠先輩に理沙先輩!」

「あ、兄の友人たちですね!こんにちは」


6人が駅前で集まる。

こんな偶然ある?


「あ、あの……、円さんたちはなんの用ですか?」

「待ち合わせよ」


永遠さんと咲夜さんがより気まずい目になる。


「ちょっと……、皆さん誰と待ち合わせしてるんですか?」


全員同時に口を開いた。




「秀頼さんです」

「秀頼!」

「明智君」

「秀頼先輩です!」

「お兄ちゃん!!」




その待ち人の名前を全員が公開した。


「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」


6人ぶんの気まずさが凄い……。

なんで……?






ーーーーー



「そろそろ駅前着くよ?離れない?」

「えー、ずっとこのままで良いじゃないですか」


よほどさっきの一言でイライラしたのか絵美が離れない。

みんなに見られて『うわ……、ゴミクズと腕組んでる……』と白い目で見られるよ?


「彼女に間違われるよ?」

「ひ・で・よ・り」

「…………」

「彼女って紹介して良いですよ!むしろカモンカモンカモン」

「異次元ストーリー?」


ダメだ、絵美が意地になっている。

離れる気配がない。

ギフトでも使う?

こんなしょーもないことでギフトを使うのを躊躇うが仕方ないか……。


「【……】」


ギフトを発動させるために、言葉にギフトの力を乗せようとしてやめた。

振り切ることも出来るけど、表面上は嬉しそうな絵美に茶々を入れるのが躊躇われた。


今後、俺のギフトについても公開するべきかどうかだよな……。

ギフトを知るマスターと達裄さんに関しては、多分誰にも公言はしないはず。

円も知ってはいるが、ぶっちゃけ転生生活を楽しんでるだけだからな、あいつ。

6年くらいの付き合いだけど、相談役以外で特に役立った試しはない。


問題は絵美に『手品』のギフトと教えてることか……。

…………『手品』のギフトって何?

具体的に何ができるギフトなんだろ?

ガキの頃のアドリブ力が弱い自分が恨めしい……。

でも本物のことを言うのもな、周りから人が離れていくようで嫌だな……。


「あっ!みんないますよ秀頼君」

「うん……」


考えがまとまらない内に駅前に着いてしまったらしい。


「ごめんね、みんな。今到着したよ」


俺が声をかけると全員が振り替えってきた。


「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」


全員の空気がやたら重かった……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ようやくドンカンの報いを受ける時が来たよ、長かったね…まってた
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