1、明智秀頼
『秀頼なんか引き取らない方が良かった!』
おばさんが俺を批判する。
『最低のギフト持ちがっ!』
マスターが俺を批判する。
『正真正銘のゴミクズ先輩』
和が俺を批判する。
『明智君、最低よね。兄さんの親友の振りして人を騙してたんでしょ?』
理沙が俺を批判する。
『ウチ、貴様が嫌いだ』
咲夜が俺を批判する。
『どうしてそんな最低なことばかりするんですかっ!?』
永遠ちゃんが俺を批判する。
『あなたなんかお兄ちゃんじゃないですっ!』
星子が俺を批判する。
『……』
円が俺を無言で虚無の目で見下ろす。
『秀頼君をころしてやりたい』
絵美が俺を恨みの込めた目で見てくる。
『お前とは、結局こうなるんだな……』
タケルが俺を失望した目で見ている。
なんで……?
どうしてこうなるんだ……。
「これが俺の……、俺たちの評価だろ?」
何者かが俺の肩を叩く。
知らない。
お前は誰だ?
「おいおい、知らないは酷いじゃねーか。散々俺の身体を使って好き勝手したじゃねぇかよ『前世の俺』さんよ」
前世の俺さん?
まるで、お前……。
「現実逃避をするなよ童貞、お前の彼女寝取るぞ」
あぁ、やっぱりお前は生きているんだな。
「俺はいつでもお前とある。お前が生きてる限り、俺は死なねぇ」
ずっと、そんな気はしてたんだ。
たくさん原作の展開を変えてきた。
なのに、いつかタケルに殺されるかもしれない。
そんな不安がずっと残っているのはお前がいたからなんだな……。
「お前が俺になったんじゃねぇ。俺はずっとお前の中で息を潜めていたんだ。俺が生きていたことくらいわかってたんじゃねーのか?」
まだ、生きていると彼は告げる。
「俺は、必ず復活する」
ポンとまた俺の肩を叩く。
「また会おうぜ、『明智秀頼』を名乗る『豊臣光秀』君よ」
そのまま男は俺の目の前からゆっくりと消えていく。
ーーーーー
「くっ……、なんだよこの夢……」
俺が明智秀頼になり、人殺しをする悪夢を見たことは今まで何回もあった。
しかし、明智秀頼本人が豊臣光秀に声をかけるなんて出来事は初めてだ。
「秀頼……?お前生きているのか……?この身体の中に?いるのか……?」
声を掛けるが当然返事はない。
さっきの夢をただの夢と切り捨てるのは簡単だ。
しかし、本当に俺の心の中に明智秀頼という悪魔が存在する。
そんな確信めいたものを直感で気付いていた。
クズでゲスな悪役親友・明智秀頼。
今年から『悲しみの連鎖を断ち切り』の舞台となる地での生活になる。
このタイミングで、明智秀頼本人から生存発言。
あぁ、死亡フラグがだんだんと見えてきた……。
「星子が居るのに、殺されてたまるか……!」
絶対に生きて、この狂ったゲームを生き抜いてやる、そう心に誓うのであった。