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番外編、鳥籠破壊の後日談

たくさんの反響やコメントありがとうございます!


今回は偽りのアイドル編完結&時系列が原作開始まで進められた記念話です。


今回は原作ゲームでは描写されなかった鳥籠破壊による後日談です。

毎回タケルと秀頼しか原作描写できない奴とか思われるのも嫌なので、

今回は明智秀頼と津軽円による物語を公開します。


原作ベースなので、光秀も来栖さんも関係ない純粋な2人という難しい話題に踏み込みました。

風で茶髪が無抵抗に揺らされるがまま、近所の川を見ながらぼーっとコンクリートの階段に腰かけた男が1人黄昏ていた。


その男の耳に、自分に近付いてくる足音1つ届く。

男は振り返らずにその足音の主に声を掛けた。


「なんだぁ?その足音は円か?」

「秀頼……、あんた永遠に何をしたの……?」


茶髪の男に話しかけられた緑髪の女は問いに答えず、逆に男へ質問を返した。

『永遠』と呼ばれた彼女に、男は心当たりがないわけではなかった。


円から見る永遠という少女は、優等生ながら誰にでも優しく接し、万人に好かれるような誰もが憧れる美人という評価だった。

実際、自分もそんな目を惹く彼女を絵美が連れてきた時は驚いた。


しかし、デパートで水着を買って以降様子が少し変であり、秀頼と絵美でなんかコソコソしていた。

ついには、両親が死亡し、脱け殻みたいに魂の抜けた永遠が残る。

その永遠に円と理沙で励ましにフォローをしに、永遠の元へ訪れるも『どなたでしょうか?』と真顔で口にした。

覚えていないというよりは、『まるで友達だったという事実』そのものが彼女の中で消失しているみたいだった。


円は、永遠の身に起こった異常に鳥肌が立つ。

理沙には『ショックだから忘れちゃったんだね』と言い、無理矢理彼女を納得させた。

納得をさせながら円は既に犯人の目星を付けていた。

ーー明智秀頼だ、と。




「あぁ、宮村か……。哀れな鳥籠に囚われていて、反応が面白くてちょっと意地悪したくなる奴だったよ」


『机の中の筆入れを隠していたんだ』とでも言うみたいに軽い感じに言ってのけた。

実際は、永遠の両親を殺害、永遠の胸を触る、記憶を捏造・忘却させるなど、隠されてはいるが鬼畜な行為をたくさんやらかしている。


その真相を果たして、目の前の津軽円は察することができるのか、どうか。


「永遠が嫌いだった?」

「あぁ?別に好きでも嫌いでもない。まぁ、身体は好みだけど、ちょっと処女拗らせた感じが良い具合に壊し甲斐があるなとは思っていたよ。俺なら絶対に彼女にしないタイプ」

「…………」

「ああいうガチっぽい恋愛感情向けられるのは嫌なんだよねー。俺がというより、女の子が不憫でさ。もっと男を見る目を養わないとな。俺はタケルとかオススメするよ、はははっ」


軽薄な言葉、おちょくる言葉。

円は、秀頼のこの顔を見る度にこの男の価値観と倫理観が壊れて狂ってしまっているのを痛感する。

既に何度も見てきた顔と声だった。


タケルと呼ばれた親友の前では、絶対に見せない裏の顔。

何年も付き合いがありながら、未だに裏を知らないタケルは、円から見ても無能とずっと思っている。

秀頼の素は何を仕出かすかわからない、狂気が溢れている。





「秀頼、永遠にもギフト使ったのよね。また意思をねじ曲げて酷いことをしたのよね。両親殺害にも関与してるんでしょ?」

「なんだ?『警察やギフト管理局にチクりまーす』っていう脅し?」

「……私がそんなことするわけない。秀頼を傷付ける真似なんかしないわよ。……永遠を抱いたの?」

「それこそお前には関係ないだろ、ひ・み・つ」


人差し指を自分の口元へ持ってニヤニヤした顔で囁く。

果たして、抱いたかどうかは円にも誰にもわからない。

秀頼本人か、一緒に動向していたであろう絵美しか真実は知らないのだ。


「……なんでギフトをそんな使い方するのよ。……あんたはもっと昔みたいに人を助ける使い方もできるじゃない」

「は?」

「あの時みたいに私を助けた時みたいな使い道だって……」

「キメェ事言うなよ。俺はお前を助けるためにギフトなんか使っちゃいねえ。俺が奴隷にしている絵美を変な連中が虐めてるとかいうから追い払っただけだ。同じ被害者だったお前は眼中になかったよ」


小学校の5年頃、円と絵美はクラスの悪い連中からしつこい虐めを受けていた。

その時、違うクラスだった秀頼がギフトを使い、彼らを追っ払った。

恐怖を刻み付けたこともあり、二度と2人に手を出してくることはなくなったのだ。


円には、ギフトを使って自分を助けてくれたという秀頼に対する恩・憧れ・恋愛感情という事実だけが残った。

普段は口喧嘩友達を演じているが、円にとってのそれは秀頼に気を向けさせたい行動の1つだった。


「根本的なところからお前と俺は相容れないなんだよ」

「私が奴隷じゃダメ……?私は絵美より身長も高いし、胸も大きい!絵美は『想い』を強制されてるけど、私ならギフトなしでも秀頼に対する『想い』は負けない。だから……、私を利用して……」

「ない。お前だけはない」

「どうして!?私なら絶対秀頼を裏切らない!どうして私は奴隷にしてくれないの!?なんで私を抱いてくれないのっ!?どうして……」

「だから、ガチの恋愛感情を向けるなってさっき言ったじゃねーか。あと、お前は俺のこと舐めてるだろ」

「…………え?」


秀頼が円の『想い』をばっさり切った。

ハッキリ言われたことで、円の頭も真っ白になる。


「永遠に命令を下した、両親殺害のトリガーになったかもしれない。それがわかっていて1人で堂々と俺の前に顔を出せるのが舐めてるんだよ。普通の人間はそんなことしないから」

「ち、違う……!私は、誰にも聞かせられないと思って……」

「俺みたいな男はやめておけっていう円への優しさが伝わんないかな……。絶対後悔するし、後悔をして欲しくないから言ってんのよ。こんなんでも、俺はお前を大事にしてんだぜ?手も出さねーし、ギフトの能力を知ってるにも関わらず処分すらしてないお前は特別なんだよなぁ……。肉体関係を持つだけが愛じゃないのよ?わかる?」


それは人の皮を被った獣の本心であった。

かれとて一応は人間。

良心がゼロの人間ではないのだ。


「それでも私……、秀頼に必要とされたい……」

「ギフト内容を知ってる相談相手として必要としてるよ。うん助かってる」

「そういうのじゃない……、絵美みたいにもっと求められたい……」

「あの子は俺の好みでもなんでもないんだけど情かな……。ギフトを持ってすぐに連れてるから、あいつより大事な奴居ないんだわ。多分100人の奴隷と絵美1人でも俺は絵美を取る。円は100人の内の1人なんだよ。もう悪い男は諦めな、な?」


秀頼は打ち切りとばかりに立ち上がる。

完全に円は不要とばっさり切ったのだ。


「秀頼っ!……お願い、私を必要としてよ……」

「必要としてるよ。ただ、円の必要とされたい形と、俺の必要としている形が違うだけだ」


秀頼が円の肩を優しく叩く。

永遠や他の者を傷付ける騙すための偽りの優しさではなく、本心からくる優しさを彼女に見せた。


「秀頼……」

「みんなの前ではそういう態度見せないでチンピラとか馬鹿にした態度の方が俺もやりやすいから。じゃあね、円」


秀頼は軽口を叩きながらも、彼女に最大限の愛しさを込めた言葉だった。

彼がそう望むなら、学校では本心を隠して絵美や理沙が大好きなレズキャラで通す。

いつか本当に彼が心を開くまで。




津軽円は、死ぬまで処女を拗らせたままであった……。

シリアス風ギャグ。

今回の秀頼は隠し事はあっても、ほとんど本音に溢れたことばかり語っています。


原作の秀頼もクズながら人気出ているらしいです。


本当は読者からも滅茶苦茶に嫌われるキャラにしたいのですが、言うことが一々格好良くてカリスマっぽさがあって変な人気があるのかもしれません。


方向性が違うとはいえリアルキ●ガイ、普段の弱い態度を軽口や皮肉やスカした言動で隠している、変な子からモテるなど光秀君と共通することが多いんですよ。


地獄の傀儡師みたいに普段はクズで嫌われキャラだけど、たまに好感度が上がるみたいなキャラクターにしたい。



津軽円が非攻略キャラの理由は秀頼にずっと片思いをしていたのでタケルは眼中にないのが真相。


原作世界では、過去に絵美と円が変な男数人にいじめを受けていました。

それを秀頼が追い払いました。

男子からいじめを受けたことにより、原作円は男嫌いになりました。


口では色々言ってますが、なんやかんや原作の秀頼も絵美が大好きです。

愛情が歪んでいるだけです。




クズゲスでは、円の中に来栖さん、絵美は奴隷になってないなどの要因で、いじめすら逢ってないです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 滑られる女になるなの教えが的確に有効すぎるのウケる
[一言] 原作の秀頼が読者に人気があるのは善人の振りしたクズがいるのも要因かと。正義感に酔いしれて殺人を正当化したり、八つ当たりで何もしてない人間を攻撃したりと。 原作秀頼は昔ながらの正統派の悪です。…
[良い点] 原作の秀頼と円の関係、良い。 こういう悪役が魅せる不器用な感情、好き
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