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40、『キャラメイク』

みんなに可愛がられている星子を眺めていると、タケルが突然「遠野さん」と名前を呼んだ。


「どうしたタケル?」

「彼女の秘密、もう1つありますよね」

「もう1つ?何言ってんだ?」

「たとえば?」


達裄さんは感心した風な声を出す。

意味がわからなくて俺はタケルの顔を見る。


「あの子、……スターチャイルドの正体ですよね」

「はぁ!?お前何言ってんだよ!?顔が全然違うだろ!?」

「根拠は?」


達裄さんは否定もせず、真っ直ぐにタケルの顔を見ていた。


「俺は秀頼からスタチャの手書きの手紙を2回見せてもらったし、サインももらった。その字はすっげー特徴的な字してたんすよ」

「字?」


確かにスタチャの字は特徴あるがそれが星子=スターチャイルドになる根拠がわからない。


「こないだ会った時、彼女は理科の教科書を持ってたんすよ。その時の手書きされた名前の記入欄の文字がスタチャの字にそっくりだった」

「……は?」

「そして『星』と『子』って書くんだろ?まんま英語にするとスターチャイルドになる。そんなところか」

「……スタチャってそんな意味なん?」


達裄さんは感心したとばかりに手を叩く。

こいつマジか!?

主人公の勘が冴え渡り過ぎるだろ……。


「星子ちゃん、こっちに来て」


女の子に埋もれていた彼女が、達裄さんに呼ばれてこっちにやって来る。

女性陣もなんだなんだ?とこちらへ視線を送る。


まさか……?

そういうことなのか?

顔が違うのはメイクでも写真の加工でもなく。


「スターチャイルドの正体はギフトなの☆」


一瞬で細川星子からスターチャイルドに変化し、スタチャスマイルでキラキラの笑顔を向ける。


「え?せーちゃんがスタチャで、ギフト持ち」

「あんまり誇れないんだけどね。顔、身長、声、身体のパーツなんかも自由自在に変化できます」

「す、すげー……」

「そばかすの影も形もなくありませんね……」

「う、羨ましい……」


『命令支配』、『アンチギフト』なんかよりよっぽど凄いギフトなのではないだろうか。

スタチャなんていう原作のモブになんてギフトを与えてるんだよ!?

本当に規格外な世界すぎる……。


「あとは佐々木先輩のパーツを真似すると……、こんな感じに目元なんかに黒子を付けられます」

「な、泣き黒子スタチャ!?すげえぇぇぇ!?」


他にも胸を膨らませたり、八重歯にしてみたりなど色々なギフトを使って実践していた。


「服装は変わらないけどね。声は加工なしの地声。だけど、スタチャモードではやや高い声を心掛けてるよ」

「『キャラメイク』といった感じのギフトだな」

「あっ!お兄ちゃんのその呼称良いですね。今度から自分のギフトを『キャラメイク』って呼びます」


す、スタチャにお兄ちゃんって言われた。

どんなご褒美だよ。


「当然だけど、スタチャの正体もギフトも極秘情報だ。絶対漏洩は禁止だよ」

「いや、こんな情報誰も信じませんよ……」


にしても、俺と星子の両方危険なギフト兄妹で危ない存在だ。


「忙しい時は全然出てこれなくなるかもしれませんがよろしくお願いいたします!」


スタチャモードを解除して、細川星子に戻って頭を下げる。


「うわああああ!サインくださいスターチャイルド!」

「星子ちゃんもスタチャも可愛いよぉ」

「せーちゃん輝いてる!会ったばかりだけどずっ友だよ!」


なんか星子ハーレムの場が構築されていた。

流石スターチャイルド、大人気過ぎる。



「今度、妹のリーフチャイルドとスターチャイルドでデュエットするんだ。絶対バズるぞ!期待しててね秀頼」

「そんなん録画必須じゃないっすか!なぁ、秀頼」

「君の妹、沢村ヤマの姿にもなれるのかヤバいな!兄貴から頼んでみてよ」

「…………」


それに比べて俺の周りには変人の同性が3人という、モテてないのが一目瞭然でわかるのであった。


「お兄ちゃん!皆さん!よろしくお願いいたします!」


誰も幸せになれない『悲しみの連鎖を断ち切り』とかいうギャルゲーなんか打ち切って、『俺の妹がスターチャイルドなわけがない』とか始まって良いのよ?

やらないの?

クズゲス完結しない?大丈夫?

『Re:ゼロから始める兄妹生活』とかやらなくて良いの?


「星子!何かあったら俺に頼れよ!」

「わかりました!」


ずっと、こんな時間が永遠に続けば良いのに……。

そう思わずにはいられなかった。








しかし、時間とは残酷で。

止まらないのだ。

















色々ありすぎた中学校の3年間もあっという間に過ぎた。


そして、ついに第5ギフトアカデミーの校舎の門をくぐることになる。


そう。

『悲しみの連鎖を断ち切り』シリーズ、本編の開始である。



ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役・明智秀頼の、死亡フラグだらけの最低最悪のラブコメの開幕だ。




「俺たちの戦いはこれからだぜ、秀頼っ!頑張っていこうぜっ!」


タケルが俺の背中を強く押してくる。




…………え?終わるの?


俺の心境は、そんな感じであった。

偽りのアイドル編完結です!


第121部分 23、十文字タケルはラブコメを語る

ふざけた話なのにかなり重要な伏線まみれな回で笑う。


次章より原作時系列で物語を展開させます。


明日に『悲しみの連鎖を断ち切り』本編の時系列で行われていた秀頼と円の特別シナリオを公開します。

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