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39、細川星子

「あなたが噂の秀頼君の師匠ですか」


絵美が達裄さん相手に興味を持っていた。

タケルや理沙など、俺に近しい相手ほど興味を惹いている。


「よろしくね絵美ちゃん」

「馴れ馴れしい人ですね!いきなり名前呼びですか!わたし、あまり名前呼びされるの好きじゃないです」

「俺、名字で呼ぶの苦手なんだよ。その人の個性を否定するみたいでさ。別にそんなに会う機会もないでしょ」


達裄さんはそうやって軽く流す。

なんとも女性の扱いになれてる感じが伝わってくる。


「そろそろ彼女が来る時間だけど……、あの子方向音痴だからすぐ来るか不安だけど……」


達裄さんが呟くと喫茶店の出入り口がカランコロンと来客を知らせるベルが鳴る。

全員の視線がそこに集まる。


「あ……」


和が言葉を溢す。






「……せーちゃん、どうしてここに?」

「うわっ?のーちゃん?びっくりした……」


和の友達らしき子が来て、和が驚く。


「和が呼んだんじゃないなら誰呼んだの?明智君?」

「いや、知らねーけど……」


円が俺にコソコソ質問してくるが、面識ない子を喫茶店に呼ぶほど、俺は度胸のある性格をしてない。


「あ……」

「兄さん……?」

「あの時、和ちゃんと一緒にいた子か……」


タケルがボソッと呟いたことでうっすらだが思い出す。

タケルが自分が主人公のゲームとかマンガがあったら理沙攻略するとか会話していたから覚えている。

そして、タケルが『結構顔が好み』と言ってた子だ。


「こんにちは、達裄さん」

「こんにちは。君の目当ての秀頼も来てるよ」

「はい!こんにちは明智先輩!」

「こ、こんにちは……」


彼女が俺の目の前に立っている。

なんか女性陣がみんな慌てた顔になった気がする。

視界に写っていた咲夜、永遠ちゃん、円らの表情の変化がわかる。









「私……、細川星子って言います。……明智秀頼さんの……実の妹です」

「え?……えええぇぇ!?」

『えええぇ!?』


周りからも凄い驚きの声が上がる。


「ひ、ひ、ひ、ひ、秀頼君の妹……?」

「秀頼さん、妹いたんですか!?」

「明智君の妹……」

「せーちゃんが秀頼先輩の……?」


俺の妹という衝撃が店全体に広がる。

た、確かに『星子』だっておばさんから聞いてたけど……、マジか……。


確かに秀頼(おれ)と同じ茶髪をし、目元がややつり目なところとかが雰囲気が似ているかもしれない。

身長は俺より頭1つぶんくらい小さい結構小柄な印象だ。

長い髪が女性という印象を強く残す。

顔に薄いがそばかすがあるのが特徴的だ。


「せ、星子ちゃん……?」

「ちゃんは要らないです……。呼び捨てで呼んでください、……お兄ちゃん」

「っ……!?」


俺は前世と今世を思い出す。

ずっと1人っ子だった。

そして、タケルや円を見て密かに慕ってくれる妹を見ながら思っていたことがある。

妹欲しいなと何回か思っていた。

どうせ、妹なんか原作に出てこなかったし会う機会も絶対ないと諦めていた。

だから、だから……。


「すっげー可愛い!」

「っ!?」

「やばっ!?見て見て!目元とか俺超好き!可愛いぃぃぃ!」


悪人顔の男がすると厳つくてヘイト溜める顔だけど、女性がちょっとつり目とかただの萌えポイントじゃないっすか!


「そばかすもキュートだね。あぁ、すっげー、こんな悪人顔の男にこんな可愛い妹とかやべぇ……」


萌え属性の塊じゃないっすか!

普通に惚れそうになる!

明智秀頼に妹とか居て良いんすか桜祭さん!?

ゲームでボツにされたんだろうけど、ヒロインにしなくて良かったんすか桜祭!?

ヨル・ヒルじゃなくて星子をメインヒロインでも良かったんじゃないっすか!?


「お兄ちゃんってもう1回呼んで?」

「……お兄ちゃん!」

「良い!最高!よろしくね、俺が明智秀頼ね」

「はい!よろしくお願いいたします!」


笑った顔が輝いていた。


「ヤバい……、スタチャ並みに可愛い……。いや、スタチャ以上に星子が可愛い!」

「……え?え!?す、スタチャより……私が可愛い、ですか……?」

「当たり前じゃないっすか!」

「えへ……。エヘヘヘへ」


嬉しそうに笑う星子が心に残る。

やべぇ、死にたくねぇや。


「ははっ、想像以上に良い反応してありがとうね秀頼」


嬉しそうに笑う達裄さんの顔が視界に入る。

あの人、こんなサプライズしやがって!

感謝するしかないじゃないか!




「ひ、秀頼君と目が似てます!可愛いぃぃ!」

「本当だ!ちょっとつり目なの良いですね!」

「きゃああ!秀頼さんと同じ目だ!」

「ふてぶてしい目に見えるがウチは大好きだ」

「あの明智秀頼に妹がね……、似てるわね」

「せーちゃんが秀頼先輩の妹なんですね!気付かなかったなぁ」


女性陣からは人気者になっていた星子。

秀頼と似てるぞ、リンチにすっぞとか反応も覚悟していたから純粋に受け入れられて嬉しい。

女子メンバーから離れてカウンターにまとまっていた男性陣に合流する。


「良いのかタケル?こんなとこ座ってて?アタックしないのか?」

「だからそういう感情じゃねーよ。ただ、秀頼と目が似ていたから『顔が好みだった』って言っただけだよ。恋愛感情じゃねーよ」

「なるほどなー、……ん?」


なんで俺の目と似ていた星子を『顔が好み』とか言ったん?

まるで俺の顔も好みとか言われたみたいで照れるじゃないか。


「そっか、あの子が秀頼君の妹か。まさかこんな場面に立ち会えるなんて世の中わからないものだね」

「マスターは俺の家の事情知ってる側だったからなぁ……」

「君とは血は繋がらないけど身内だからね」


マスターも遠巻きに星子に視線を送っている。


「秀頼、早速シスコンになってなかった?」


達裄さんがからかう声を上げる。


「な、な、な、なってないっすよ!」

「いや、お前もなる。親友の俺が保証する」

「もうやだ、このシスコン2人!?マスターはシスコン?」

「んなわけないでしょ、既婚者のおばさん姉貴に何も思うわけないでしょ……。達裄君とタケル君が異常なんだよ」

「妹5人は俺の命より大事だよ」

「理沙が好きな気持ちに偽りはないが?なんなら結婚相手すら俺が審査するが?」

「5人の結婚すら認めないが?」

「…………」


野郎共とシスコン談義を交わしながら女子に可愛がられている星子をほっこりしながら眺めていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 家庭環境が地獄ではなく歪むことがなかったもしもの綺麗な秀頼だったらこのクズゲスみたいに妹を受け入れていたんだろうか? なんか書いてて間違ってないはずなのに文面が酷いことに。
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