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30、偽りのアイドルは逃避する




ーー私にお兄ちゃんなんか存在しません。




「あなたはチャイルド☆わたしもチャイルド☆」


狭いライブハウスではあるがファンのみんなが必死に応援してくれている。

1番目を引くのはやはり公式ファンクラブ会員ナンバー1の達裄さんであった。


理想のお兄ちゃんって感じの人。

素敵だよね。


わたしはスターチャイルド。

アイドル活動をしています。


気付けば、私は高校生になっていました。

ギフト専用の『第5ギフトアカデミー』の生徒です。


学生とアイドル活動の二足のわらじで必死に頑張っています。









ファンの方々からは『一生推します!』『人生の生き甲斐です!』『最高!』『素敵です!』とたくさんのお便りをもらう。

全部を開く時間はないけど、全部気持ちは届いています。


巫女さんからは「これからもっと伸ばす!いやー、私の株が上がるねぇ」と嬉しそうに笑ってくれる。


お母さんとおばあちゃんからは「自分の夢のアイドルになれて良かったね」と自分のことの様に褒めてくれる。

ギフトにはあまり良い顔はしないけど、それでも理解は示すようになった。


リーフチャイルドからは「追い付きエグすぎっ!?良いライバル来たーっ!」と愚痴りつつも励ましてくれる。


達裄さんからは「君の『想い』の力は強いね」と笑ってくれた。

まるで、私の兄みたいに厳しくも、優しい言葉をかけてくれる。



周りの声が、私の活力。

元気の源。

みんなに喜ばれたい。

みんなを幸せにしたい。


その『想い』をスターチャイルドの歌に籠める。

その『想い』をスターチャイルドのトークに籠める。

その『想い』をスターチャイルドの仕草に籠める。



学校では地味な細川星子だった。

それでも、スターチャイルドはみんなの憧れの存在になりつつある。



ただ1つ、お兄ちゃんから褒められることはなかったけど……。


それでも、人生順風満帆。


満足な人生だ。







































「みんなー、スターチャイルドの応援よろしくねーっ!」



『わーっ』と会場が盛り上がる。

疲れるし、声は枯れるし、汗も酷い。

きっちりとしてもらったメイクは既に汗で流される。


充実している人生。


ギフトの力はもっぱら、細川星子とスターチャイルドに切り替えるだけの用途になっていた。













天国の本物のお母さん!

見て!

娘はこんなに幸せな人生を送っています!

























生んでくれてありがとう!










それは、とても清々しいライブの終わり。

疲れたまま、テレビをぼーっと見ていた時、衝撃のニュースが流れてきた。


ギフト所持者の犯罪者が死亡したというものだった。

そのニュースに私の目が釘付けになる。



え……?

この人は……。






ギフト所持者『明智秀頼』の死亡についての報道であった。

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