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6、津軽円も覚えてない

「津軽さ、天使に恋したことある?」

「は……?ないわよ。……どうしたの急に」

「つまりそういうことだ」

「……全然意味わかんない」


永遠ちゃんを恋愛対象として見ているか、見ていないのか。

つまりは天使と同じ気持ちである。


「天使じゃなくても良い!神様、女神、仏様、大仏、阿修羅、エンゼル、オシリスの天空竜……。それらに恋をするか?という話よ。しないでしょ?崇めるでしょ!

つまり、俺はエイエンちゃんを崇めるべき対象として神格化しているんだ。どうせ秀頼ごときがエイエンちゃんと付き合えるわけがない!俺はエイエンちゃんが幸せならそれだけで良いんだ!

タケルにちょっと嫉妬しないわけじゃないが、タケルとイチャイチャするエイエンちゃんが見れれば嬉しいし、俺の幸せなんだっ!」

「わかった、わかったから!落ち着いて明智君」


津軽から俺のエイエンちゃんへの思いを止められる。

この話題だけで1日は語れるくらいの熱量はある。


「じゃ、じゃあそんな神格化しているエイエンちゃんですが、もしエイエンちゃんから明智君に告白をしてきたら?付き合う?」

「…………」


あり得ねー、なんだその話題は。

意味不明過ぎて笑う質問だ。


「お前、その質問は『宝くじで3億当たったら何に使う』レベルの質問だからな。考えるだけムダだ」

「なるほど、……色々可哀想ねエイエンちゃん」

「本当だよ。ヒデ×トワの人の神経を疑うよね」

「私はあんたの神経を疑うけどね」


本当に津軽は、なんか俺に文句を言わないと気が済まないって感じだ。

よっぽどタケ×トワアンチと見える。


「ところでセカンドとファイナルは完全に津軽の知識を当てにしていたが良いんだよな?」

「む、無理よ……。私全シリーズ1回しかプレイしてないしわりともうあんまり覚えてないし」

「おい、どうすんだよ!」


初代は30周以上やっているからかなり語れるが、セカンドとファイナルは3周ずつくらいしかやってない。

内容もぶっちゃけそんなに覚えてない。


「逆に1周しかプレイしないで誰ルート覚えてんだよ?最悪、キャラクターの顔も名前も覚えてねーだろ!」

「わ、私が推しの『病弱の代償』ルートは覚えてる」

「それ初代じゃん!」

「あ、あと『禁断の恋愛』ルート」

「理沙ルートだろ!結局初代だし……」

「と、『鳥籠の少女』ルート……」

「…………」

「あ、あと双子居たよね!思い出した。シナリオの名前は覚えてないけど……」

「思い出したって言っちゃったよ。『月と鈴』シナリオだよ!それも初代だよ」

「ほとんど初代しか覚えてない」


2人揃って初代厨だった……。


「逆にあと誰覚えてる……?」

「ひ、ヒル・ヨル……」

「ヨル・ヒルだよっ!ダメだぁ、全然戦力にならねぇ!」


仮にもパッケージ兼メインヒロインのヨルの本名すらうろ覚えとは……。

3作全体通してのタケルの嫁とも言われやすい真のメインヒロインがヨル・ヒルである。

よく秀頼(おれ)を敵視する危険な人物。

ヒロインにも注意が必要だ。


「ヒロインの顔見たら思い出す」

「来年なったら本気出すみたいなニュアンスやめろ!」

「か、仮面の騎士も覚えてる」

「それ、非攻略キャラだよ」

「黒幕の奴は覚えてる」

「黒幕に辿り着くまでに俺が死にそうなんだが……」


津軽の知識は、全然当てにするべきではないことを悟る。

津軽の『ヒロインの顔を見たら思い出す』にかけるしかないだろうか……。


「で、津軽は『病弱の代償』が推しなの?」

「まぁね。前世で病弱だったからちょっと感情移入しちゃって」

「……え?前世病弱だったの?」

「ちょっと、前世の干渉は無しって決まりでしょ」

「す、すまん……」


来栖さんを思い出すからやめてほしい。

横文字NGとか病弱とか話しやすさとか雰囲気とか共通点多いんだよなぁ……。

口悪いの以外は結構来栖さんっぽいから、津軽をちょっと嫌いになれないんだよね……。


病弱の代償シナリオについては思うところがある。

しかし、今すぐ高校生をするわけではないから思うところは口にしないでおいた。

もしかしたら、意見変わるかもしれないし、今するべき話題ではない。


「あ、そうだ。これだけ聞いておきたかったんだ」

「どうしたの?」

「本編の秀頼って耳にピアスしてたじゃん?俺怖くてピアスの穴開けたくないんだけどしなくちゃいけないかな……?」

「知らねー……。どっちでも良い。明智君、コンタクトを目に入れるの怖いとか言うタイプでしょ」

「心外だ!前世でスポーツする際はコンタクトにしとけと父親に言われてコンタクトしてたんだよ!そんなの克服済みだよ」

「克服済みということは最初怖かったのね……」


ここはゲームの世界だからか、どんなに目に悪いことしても目が悪くならないのはありがたい。

前世は男女みんなメガネかコンタクトだったが、この世界はほとんどメガネが居ない。

都合の良いフィクション世界である。


「別にリアル秀頼に合わせる必要ないでしょ。明智君は明智君よ」

「わかった」


こうして、ゲームのビジュアルと微妙に違う秀頼になったのであった。


「あっ、そうだ!津軽に見せたいものがあったんだ!」

「見せたいもの?」

「とっておきだぜっ!ほら、これだ」


俺はポケットを漁り、持ってきた小さい『それ』を津軽に手渡す。


「USBメモリ……?」


パソコンで閲覧できるデータを俺は彼女に手渡した。

俺の秘密兵器をついに、他人を明け渡すことに成功した。

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