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12話 寝起きは頭回らないよね

あとがきちょっと長いです。















「男かよッッ!!」


『ブフッッ!!』


恐怖と混乱で頭のおかしくなった陽一にぶん殴られた幽霊はそのまま窓を突き破る、と思いきやスルスルとすり抜けて夜の暗闇へと消え去ってゆくのだった。


「触れた……ってことは人間?いやでも壁すり抜けて行ったしな……」


ほぼ無意識にオカマ霊を撃退した陽一は現状を正確に把握出来ていなかったが、緊張が限界を超えたことでほんの少しだけ冷静さを取り戻す。


「て、てことは本物……どうしよう殴っちゃった……」


先程はいろんなことの衝撃が強すぎてツッコミの鉄拳が出てしまった陽一だったが、頭が冷えてくると同時に怖くなってくる。


とりあえずこの状況で唯一頼れそうな陽華を起こすことにした。


「よ、陽華……!起きてくれ!!頼む!!」

「すぴー、すぴー」

「寝息可愛いなおい!!」


少し前まであんなに神聖な雰囲気を醸し出していたのはなんだったのか。

どれだけ外見が美しくても、そこまで気の抜ける寝息を立てられれば愛らしく思えてくるというものだ。

陽一には、今の陽華の寝顔はまるで鼻ちょうちんを立てて寝ている子どもかのようなちょっとお間抜けで可愛らしい寝顔に思えた。


「むにゃむにゃ……よういちぃ……今のはずるだぞぉ」

「寝言も可愛いなおい!!」

「ふぉ?よういち……?」

「陽華!起きたか!!」

「うん……こんな夜中にどうかしたのかい……?」


陽一の声に両目をくしくしと擦りながら目を覚ました陽華。

寝起きの陽華は昼間とのギャップが大きすぎて、10才ほど幼くなったような印象を受ける。

健全な男なら気絶する者が出てもおかしくないほどの破壊力であるが、今の陽一にそれを心を奪われるだけの余裕はない。


「実はな!さっき男の幽霊がここに入ってきて!『納豆食べたい』だとか『実は水虫なんだ』とか意味のわからんこと言ってたから顔見たら怖すぎて思わずぶん殴っちゃって!!」

「……??…?……うん…?」

「それでそいつオカマだったんだよ!!信じられるか!?オカマの幽霊だぜ!?確かに声はちょっと低かったけど幽霊ってそういうもんなんだと思うじゃん!?だって見たの初めてだし!!」

「……??…なるほど?」

「しかもそいつ!あんこは粒あん派だとか言うんだよ!!ワケ分かんねぇよな!?あんこはこしあんだろ!!」


それは個人の自由だろ。


軽いパニックを起こして発言が支離滅裂な陽一。

寝起きで頭が回らない陽華。

言葉だけで状況を伝えるのは限りなく不可能に近かった。


「何か悪い夢でも見たのかな」

「夢……?夢か……」


陽華にそう言われ、確かにそうかもと思い始める。

陽一の感情としても夢であって欲しかった。


「疲れが溜まっていたのかもね、ゆっくり休んだ方がいいよ」

「そう……だよな……夢だよな……あれ、なんかそう考えたら急に眠気が……」


昨晩も十分な睡眠を取れていなかった陽一は実際に疲れが溜まっていたらしく、陽華と話せて安心したのか急激に眠気に襲われていった。


「おやすみ……起こして悪かった……」

「うん……おやすみぃ」


陽華も陽華で深夜に起こされて眠そうにしており、二人とも数秒で眠りについたのだった。




















「えぇぇーーッッ!!」


翌日、陽一はそんな大声で目が覚める。

何をそんなに驚いているのか分からないが、声の主は間違いなく陽華だろう。

ここ二日間ずっと聞いた声だ。

しかし陽華がそこまで動揺した声を上げるのは初めてだったので、陽一は気になって声のした方向を見た。


「えっ、あ、陽一……本当に……いやしかし……」


陽一の視線の先には信じられないものを見るような目で陽一を見る陽華の姿があった。

何やら顎に手を当てて考え込んでいるようだが、陽一からすれば何がなんだか分からない。


「どうした……?」


さすがに見かねて事情を聞く陽一。

それに対して陽華は一通り考え終わったのか小さく息を吐いて、期待を抑えきれないといった様子で尋ねてくる。


「陽一、昨日の夜中に幽霊を見たと言ったね?あれは本当かい?」

「い、いや、あれは夢だったわ、うん」

「陽一」

「……多分マジ」


昨晩は眠気と混乱で頭がうまく回らなかった陽一だが、今になって思うとあれは現実だと断言出来るほどのリアリティを持っていた。

陽華の表情が一段と明るくなる。


「じゃあ手を出してみてくれないかな」


「手……?こうか?」


陽一が手を出すや否や、陽華は躊躇いもせずその手を握る。

数秒して何かを確信したような表情を見せたあと、俯いて壊れたように笑いだした。


「は、ははは……はははは……」


陽華の反応が少し怖くなった陽一は手を離そうと動かすが、陽華の力は普通では考えられないほど強く、そこには絶対に逃さないという意志が垣間見える。


「よ、陽華……?」


陽華がゆっくりと顔を上げる。


「…………見つけた」


そう呟く陽華の瞳の奥ではドロドロとした何かが蠢いていて、そこはかとない狂気を孕んでいるようにも思えた。







えー……ここまで読んでくださった皆様……。

作者から大切なお知らせがあります。

この作品ですが今日をもちまして、

投稿頻度が下がってしまいます(泣)。

すみません、リアルの方がちょこっと忙しくなってきちゃって……。

具体的に言うと月水金の投稿となります。

これからもまったり更新していくのでたまに読んで感想書いてくださると嬉しいです。

2話投稿とかもするかもです。

ちなみに次の話はside一式陽華です。

この娘が何を考えているのかが全部分かります。

それにしても小説を書くってかなり大変だったんですね……。

100話以上連載されてる作者さん達は全員メンタル鋼です。

自分はあと半年くらいですかね……長い……。

次話は6/18(金)に投稿予定です。

……遠いなぁ(泣)。

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― 新着の感想 ―
[一言] 気づいたらファンタジーじてみて来たぜ! 体調を壊さないように気を付けて下さい!!!
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