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コント『告白と罪と悪質なヤツ』

作者: はむばね

昼休みの校舎裏にて。

男子A:ツッコミ、男子B:ボケ


男子A「俺さ……今日、告白しようと思ってるんだ」


男子B「そっか……ちゃんと罪を償って帰ってこいよ。塀の外で、待ってるからな」


男子A「いや、警察に罪を告白しに行くんじゃねーんだわ。俺、何の罪も犯してねぇし」


男子B「本当に? これまで生きてきて、何一つ罪を犯したことがないと胸を張って言えるのか?」


男子A「そう言われると断言はしづらいけど、少なくとも法律は犯してないから」


男子B「法さえ犯さなければ、何をしても罪にはならないと?」


男子A「てか、罪の方向で話広げるのやめてもらえる!? 本題から猛烈な速度で話が逸れてってるから!」


男子B「わかったわかった。えーと、確かお前が……子犬を助けるため道路に飛び出して事故ったのに、助けた子犬におしっこ引っ掛けられた、って話だったよな?」


男子A「まず事故ってねぇし、状況が悲し過ぎるし、俺ここまでに子犬のコの字も口に出してないよね? そうじゃなくて、優子ちゃんに告白しようと思ってるって話!」


男子B「過去の悪事を?」


男子A「現在の愛を! なんでお前、頑なに俺を咎人にしようとすんの!? いいから、ちょっと練習に付き合ってくれよ! 今日の放課後、優子ちゃんを呼び出してんだ!」


男子B「わかった、じゃあバットとグローブ持ってくるな」


男子A「この流れで野球の練習だと思われることとかある?」


男子B「だってお前、野球部じゃん」


男子A「うん、その上での話な? 野球部とて、練習と名の付く時間は全て野球に充てないといけない的な縛りがあるわけじゃねーのよ」


男子B「いや、そうじゃなくてさ。野球部であるからには大事な場面で愛用のバットとグローブを持ってないのは不安かなって。せめてバットだけでも持ってた方が心強くない?」


男子A「むしろそれが不安要素でしかないねぇ。自分を呼び出した相手がバット持って待ち受けてたら、それはもう事件じゃん。俺、マジで罪を背負っちゃうじゃん」


男子B「じゃあグローブも持って、ユニフォームまで着てたらセーフだろ?」


男子A「確かに事件性は薄れるけどね? でもその場合、マネージャへの勧誘かな? って思われない?」


男子B「だからお前が、野球と絡めた熱い告白をすんだよ! はいどうぞ! 今すぐどうぞ!」


男子A「えっ、あっ、おぅ、えっと……き、君を甲子園に連れて行きたいです!」


男子B「ゼロ点」


男子A「無茶振りだった上に採点が辛い」


男子B「それじゃ、単に甲子園デートに誘われたと認識されるだけだろ」


男子A「たぶんそうはならねーし、仮になったとしたらかなり成功寄りだよ」


男子B「つーか、告白にユニフォームで行くのはねーわ」


男子A「お前に着せられたユニフォームなんだけどね?」


男子B「じゃあユニフォームは脱いだとして、はい改めて告白どうぞ!」


男子A「また急だな……えーと……ゆ、優子ちゃん! ずっと前から、好きでした!」


男子B「ギルティ」


男子A「俺が何の罪を犯したと」


男子B「パンイチでの告白は、たぶん何かしらの刑法に触れると思う」


男子A「ユニフォームを脱いで、そのまま行ったらね!? でも俺にも常識というものが備わってるんで、脱いだら別の服を着るって判断が当然挟まるんですよねぇ!」


男子B「さて、これで練習は万全だと思うが」


男子A「もしかして俺とお前、実はお互い別の言語で喋ってたりする?」


男子B「でもさー。お前が優子に告白って、無理だと思うよ?」


男子A「は? どうせフラれるだろうってか? そんなの、やってみないとわかんねぇだろ!」


男子B「いや、だってさ……お前……」


男子A「な、何だよ……そんな言いづらそうに……」


男子B「お前、もう……死んでんじゃん」


男子A「……えっ?」


男子B「………………」


男子A「えっ……えっ?」


男子B「………………」


男子A「まさか……まさか、今の俺って……幽れ……」


男子B「いーや、ボケたんだからツッコまんかーい! ははっ!」


男子A「怖かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 自分が死んでることにまだ気付いてない幽霊の未練に付き合う親友の構図、かと思うじゃん! さっきの事故のくだりって、まさか……!? って思うじゃん!」


男子B「まぁ、冗談はさておき」


男子A「お前、マジ悪質な冗談やめろよ……!」


男子B「優子、万引きの常習犯だったらしくってさ。さっき警察の人に連れて行かれたから、今日告白するのは無理だと思う」


男子A「んんっ……! 悪質な女性だったかぁ……! ちゃんと罪を償って帰ってきてくれるといいですねぇ……!」

最後まで読んでいただきまして、誠にありがとうございます。

「面白かった」「他のコントも読みたい」と思っていただけましたら、少し下のポイント欄「☆☆☆☆☆」の「★」を増やして評価いただけますと作者のモチベーションが更に向上致します。


普段は長編ラブコメを書いているのですが、それらも大体こんなノリです。

本作気に入っていただけましたら、他の作品も読んでいただけますと嬉しいです。


異世界からJK転生した元妹が、超グイグイくる。

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世話好きで可愛いJK3姉妹だったら、おうちで甘えてもいいですか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] はむばね先生のコントって作品の中でもありますし、昔のブログでも見かけましたが今回は全くのオリジナルで、すごく新鮮でした。生きのいい高校生が元気に掛け合いをやっている姿が目に浮かぶようでした…
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