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僕の背後にナリスマシ  作者: 黒井 羊
8/22

法螺吹パープル

 守山周治の配送ルートには大型ショッピングモールが含まれている。午前中はこのショッピングモールにテナントを出している飲食店に納品して終わりになる。

 納品は通常11時半までに終了になる。周治は今日も飲食広場(フードコート)豚骨(とんこつ)ラーメン屋のすぐ前の席にフリーの飲料水の グラスを置いた。この豚骨ラーメンは味も色もめちゃくちゃ濃い。麺も中太だ。周治にはちょうどいいのだが年配の人の中には苦手な人もいるようだ。味が濃い、コッテリし過ぎている、麺が太い、挙句にはマズイと言う声も聞いた事もある。さすがにこの時は年配の輩に〈自分の好みに合わないのとマズイは違うんじゃない。〉と言いたくなった。スタッフにそのような声が届くのか最近は麺の太さ・味の濃さを詳しく説明した画像付きのポップが店頭に貼ってある。

 周治はチャーシューをトッピングしたラーメンを手にするとグラスを置いていた席に戻った。


 飲食広場はBGMで地元のラジオを流しているので嫌でもラジオを聴いてしまう。最近お昼の番組を担当しているDJがやたらと飲酒運転のことを口にするようになった。周治が妙高の家で 飲んだ翌日からだ。たまたまだが二人ともその日は夜8時まで飲んだ。ただ仕事に出かけるまでの時間は結構あるので法曹上は大丈夫である。

 この日、周治は妙高の部屋で〈これから運転して帰るわ。〉と意図して冗談を言って寝た。

 周治は苦笑いした。

〈妙高の家に盗聴器があったら俺たちはの会話は筒抜けだ。こいつがそれを聞いていて、俺が今飲食広場にいることを知っていて放送しているならこいつとんでもねぇ野郎だな。大法螺吹きだ。〉


 法螺吹きパープルは相変わらず飲酒運転は危険だ、一滴でもアルコールを摂取したら運転はしてはいけない、私は絶対にやらないと選挙の演説のようにしゃべりまくっている。

〈そう言えばこいつ役者志望だったな。街の中だったらちょっとは目立ついい男かもしれない。でも映画の脇役で出てたりすると全然目立たねぇ。 酒のCMでは普通の人だった。とにかく印象に残らない。人を隠すには人の中、役者隠すには役者の中だな。〉

 そういえば妙高にその話をしたことがあったな。盗聴しているなら法螺吹パープルも俺達の事を根に持ってそうだ。

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