4話:エマのメンタル。
今回すこし短めです。
イビスとエマ、ほんとに血がつながった兄弟?
今まで何度も他人から浴びせられる質問だ。
確かに毎日鏡に映る自分の顔を見ながらエマ自身も思う。
他の兄弟もイビスのような飛びぬけた美貌ではなく、凡庸だ。皆エマ似(いやエマは末娘なので年上の兄姉に似ている)で、イビスが異質なのかもしれないが。
最近知ったことだが、あまりに似ていない為に過去に母が親戚筋から浮気を疑われてDNA鑑定まで行ったらしい。
結果的に血のつながりは間違いなくある。
実際、イビス兄は父方の祖母の面差しがあるし、エマも父を女性にしてずーーっと若くしたらこんな感じ?という雰囲気だ。
よく見るとエマの顔立ち自体も前世の基準からいえばとてもかわいらしい。日本にいたら美少女基準で間違いない。
きれいな二重にすっきりとした鼻筋。瞳は薄い青。長いまつげはビューラーいらず。
髪は生まれつきの明るい茶色で、ストパー必須だった前世がうそのようなまっすぐストレート。死ぬほどあこがれてたさらさらロングヘアが何の苦労もなく手に入るなんて嬉しくて悶える。
170センチの身長は女性にしては背が高い方だけど、ここデイアラではびっくりするほどでもない。胸もそこそこ。スタイルも悪くない。
のっぺりした凹凸の少ない顔に親譲りの一重を毎朝苦労してアイプチで二重にし、「整形メイク」を施していた前世の自分からしたら、夢のような仕上がりだ。
これだけでも上出来!十分! だけども……
この世界では十人並み
なのである。
5年前のあの騒動以来、両親や兄弟から溺愛され「かわいい、かわいい」と誉め続けられて勘違いしていたエマは、11歳になりグレンロセス王立学園に入学し現実を知った。
気づいてしまったのだ。
(前世の日本だと)千年に1人の美少女・美少年だらけじゃあああ!
ということに。
イビス兄は別格だ。別格なのは知っていた。
けれどもそれ以外の男女も美形だらけだ。美人がデフォルトなのかよ!と何百回突っ込んだことか。
十人並みってのはもう仕方ない。父似だし。うん。まぁでも希少価値でなんとかならんかなぁ。ニッチな需要はあると思うんだ!前世のことわざでもタデクウムシモ?なんとかっていうのがあるしね!
アラサー女子(中身)はへこたれない。異性の趣味はいろいろ! 10代とはメンタルが違うのだよ!