31話:告白?? 確信!
言わないと伝わらない。
前世での後悔は繰りかえさないと決めたのだ。優奈が唯一心に引っかかったままの恋の反省。
気持ちを伝えないまま恋を終わらせない、と。
間違いなくテオは私を想ってくれてる。
それに自分を裏切ることはないだろう。恐れなくてもいいとは分かっていた。あとは自分の覚悟だけだ。
エマは目線を落とし、自分の掌を見つめた。
だんだん緊張してくる。腹のあたりがキリキリしてきて落ち着かない。
「テオ。私…」
何とか声を出した。震えているのが分かる。
「なに?」
テオフィルスと目があった。テオフィルスはかすかに嬉しそうな、何かを期待している表情をしている。
あれ? テオ、何でその顔???
聡いテオフィルスのことだ。すでにこれからエマが言うであろう事を感づいているのだろうか。
「……もしかして言いたいことわかってる?」
「まぁなんとなく?」
テオフィルスは手を伸ばし、エマの唇をなぞる。
「でもエマの口から聞きたい」
いつも俺ばっかり言ってるしね? と顔を寄せ頬にキスをした。そのまま背中に手を回し抱きしめる。
「うう……ちょぉテオ??」
絶対おもしろがってない?? 何でこんなに余裕あるのよ??
「からかってるでしょ???」
力をこめテオフィルスの腕を解いた。
そのタイミングでドアが開いた。
カレンが若干の怒りをこめた様子で部屋に入ってくる。
「おまたせ! もうキースが待ち合わせ場所にいなくて時間おしちゃうっていう……ん?」
不自然にソファに並んで座る二人を見て、きれいに整えられた濃茶の眉が上がった。
「……もしかしてソーン先輩、私の家で私の大事な親友に不埒なこととかなさってませんよね?」
エマが顔を伏せ耳まで赤くしてるのを見て何があったのか察したようだ。
「うわあわああ」
エマは声にならない声を上げた。
カレンの顔が見れない……。
親友といえどこれは恥ずかしい。できれば知られたくなかった。エマはさらに赤くなり両手で顔を隠した。
テオフィルスは立ち上がり、何事も無かったかのように優雅に一礼をする。
「ヴァーノンさん、その辺は心得ていますよ?」
「それなら結構ですわ」
カレンの後ろに控えていたキースが笑いをこらえながら、
「こんにちは、エマちゃん。んでもって、テオフィルス」
つかつかと歩み寄りテオフィルスの肩を組んだ。
「エマちゃんがかわいいのはよく分かるけど……ちょっとは我慢するのも大事だと思うけどな? 人として」
「キース、お前がそれ言う? 今日の件でも俺に何をさせ……」
キースはテオフィルスに何か耳打ちし黙らせると、「ほら行くよ。俺達も着替えよう」と無理やり気味に部屋から連れ出た。
ヴァーノン家専属のエステティシャンの腕もすごかったが、プロ美容師も同じくらい一流であった。
プロの技ってすごい!
テレビでしか見たことのない多くの種類の化粧道具を使い、エマの顔をあっという間に別人に変えていく。
いつもはリップとたまにマスカラをつける程度のエマである。フルメイク(しかもプロの手で)は生まれて初めての体験だ。
カレンも隣で侍女にヘアセットを施されながら、満足そうに見守っていた。
「あのイビス・アイビンと兄妹だけあるよね。エマ、やっぱり似てるよ?」
「は?? イビス兄さまと?? 初めて言われた!」
「いつもはそうでもないんだけどね。メイクするとイビスさんの面影でてくる」
「なにそれw」
あの“遺伝子の奇跡”との血の繋がり。いつもは意識することはないのだが、エマにも恩恵があるということか。
最後にチークの調整をし、メイクは完了したようだ。
「アイビン様、髪を整えますね」
メイクが終わると美容師はエマの髪に取り掛かった。
時おりなぜかエマではなくカレンに確認をとりながら、迷いの無い手つきで髪をセットしていく。
見事な手つきでサイドに大きめの編み込みをいれ低い位置でシニヨンを作ると、青花とサッシュベルトと共布のリボンを根元に飾った。
ドレスに着替え、ヘアメイクの微調整が終わると、カレンと美容師はお互いにうなずきあった。
「アイビン様、とてもお美しいです。完璧です」
「わぁエマいいわよ。これで勝てるわ」
ん??? 何に誰に勝つというんだろう??
エマは疑問をもちつつもカレンの勢いに圧倒され同意する。
「お嬢様。そろそろ時間でございます」侍女が時計を見ながら、カレンに目配せをする。カレンは振り返った。
「さぁいこ、エマ。戦場へ」
ちょっと一話が長くなりすぎたのできりました。
今回は少し短めです;w;
甘いシーンは何処までOK、なんて考えてたらぜんぜん筆が進まず!
ああ、でも際どい所まで書きたい気もしますw
読んでいただきありがとうございます!
PVたくさんきていただいて、震えています。
ブックマークもほんとうに感謝です!
次回明日更新できたらなぁとおもってます!
ぜひまたいらしてくださいね。




