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16話:甘すぎ。

サブタイトルの話数が間違っていたので訂正しました。

誤)19話→ 正)16話

 「エマ、ほら食べよう」


 テオフィルスがトレイをエマの前に置いた。

 トレイの上にはオレンジジュースとサンドイッチが乗っている。前世でも大好きだったスモークサーモンとアボガドサンドだ。

 おなかがなった。胃袋が求めている!

 エマは伏せていた顔を上げて嬉しそうに声を上げる。


 「ありがとう、テオ」


 「どういたしまして」


 いつものちょっと困ったような笑顔でテオフィルスは応じた。


 うん、この笑顔がテオだよね。取り繕った顔よりもずっといい。


 エマはサンドイッチをかじった。美味しい。ソースはマヨネーズに似ているが前世のものよりコクが深い。隠し味程度の唐辛子チリもいい感じだ。


 「テオ、なんであんなことしたの? めっちゃ恥ずかしかったんだけど。なんか今朝からおかしいし……説明して??」


 「……そうしたかったからしただけだよ。俺ね、エマに対して遠慮するのやめたんだ」


 テオフィルスはサンドイッチを先に食べるか、コーヒーを飲むか、少し悩みコーヒーを取った。


 「あぁここで言うのもなぁ……」


 テオフィルスは周りを眺めながらぼやいた。

カフェテリアは今が一番混みあう時間帯である。生徒たちの話し声がカフェテリアの天井まで響き渡り、かなりの騒音だ。静かに話せる雰囲気ではなかった。

 しばらくして仕方ないとテオフィルスは観念した顔をするとエマに顔を寄せた。そしてエマだけに聞こえる声で言う。


 「エマを誰にも渡したくないんだ」


 「ちょおっ???」


 エマは思わずサンドイッチを手からはなした。皿の上にパンとアボガトがばらばらになって落ちる。


 エマ前世ゆうなも経験値低いけども。いやこれはわかる。これ告られてるんじゃないのっ!


 「うーん。とりあえずね、文化祭終わるまではできるだけ俺のそばにいてくれる? 授業中は無理だけど、昼休みとか放課後とか」


 テオフィルスは自身の発言に動揺したそぶりも無く、口調は軽い。まるで今日の寮の晩御飯のメインは何だろう?魚かな?肉かな?位に。


 あれ?テオ、冷静?あれれ?


 舞い上がってるのは自分だけなのか。エマは急に恥ずかしくなり、心のうちを見透かされないように下を向いてジュースを一気に飲んだ。

 小さく深呼吸をして前を向く。


 「わかった。ね、カレンとも離れなきゃダメ?」


 「ヴァーノンさんはいいよ。俺かヴァーノンさん、どちらかと必ず一緒にいて」


 「けどなんで?」


 「なんでって、ただ一緒にいたいだけだけど? エマを1人にしておきたくないんだ。心配で。ヴァーノンさんは信用できるしエマを任せられる」


 「うっ……」


 さらっとこういうことを言う。てかテオってこういう風に照れずにいえる子でしたっけ……。


 きっと本心は別にあり何か隠しているんだろうけど、この調子だと言う気もないんだろう。追求しても話さないなら聞かないほうがいい。


 「あのね、テオ。私からもお願いなんだけどね。腰に手を回すの?あれちょっと色々きつい……やめてもらってもいい?」


 「ん、分かった」


 でもどうしてもって時だけはするよ? と、テオフィルスは不思議なくらい穏雅な笑みを浮かべた。そしてもう一度エマに顔を寄せ、ちらりと肩越しに何かを確認すると、薄い茶色の前髪をそっとよけて額に口付けた。


 「ちょ、テテテオ??」


 エマは額を押さえる。


 今!!! テオ、キスしたよね!!!! さらっとしたよね???!!


 こんなに優しく触れられたことなんて、前世ゆうなでは経験したことは無い。


 「あぁ、ごめん。かわいくて、つい?」


 テオフィルスはいつものように穏やかに言うと、何事も無かったかのように自分のサンドイッチを手にし口に運んだ。


 ほんとマジで誰なの?? なんでテオがイビス兄さまみたいなこと言ってんの……思考がついていかないよ。どうしたの、テオ。もうつらい……。


 テオフィルスのその姿に戸惑いのあまり泣きだしそうになった。

 幼馴染のテオフィルス。理知的で限りなく優しかった。

 でもこんなに“異性”を意識させられることはなかった。何かに憑依されたとしか説明のしようがない豹変振りにエマは気持ちが乱れ惑う。

 でも物凄く大事にされていることは直感で分かった。自分に対しての気持ちはきっと本当だ。……本当であって欲しい。


甘すぎテオフィルスにエマ何とかがんばってます。

ちょっと時と……とか思ったり思わなかったり。


ブックマーク&読んでいただきありがとうございます!

明日もこの時間に更新予定です。

お時間ありましたら、またいらっしゃってくださいませ。

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