第3.5話 授業は真面目に受けることを推奨していた(後編)
「赤坂君。どう言うことか説明してもらえるかしら?」
教室に入るなり青筋を浮かべた桜花に捕まり問い詰められた。
いきなりの桜花の剣幕にも驚いたが、ショックだったのが愛称が名字になっていた事だった。
お怒りモード(不機嫌モード)だからか相性が55まで下がったからか分からないが不味い事には違いなかった。
突然ウインドウが開き、いくつかの選択肢が現れた。どうやらその中から選べと言うことらしい。
①体調不良で保健室に行ってたと言う。
②昼寝してたら寝過ごしたと言う。
③お腹を壊してトイレに籠ってたと言う。
④正直に屋上でサボってたと言う。
⑤とりあえず逃げる。
「五択かよ」
「普通に考えて⑤は無いな。④も何となく不味い気がする。②も④と言い方が違うだけで内容はほとんど一緒。①と③は上手く行けば誤魔化せそうな気もするが…」
①か③か…
いや待てよ、間違った選択をすると取り返しのつかない状態になりそうなので慎重に考えて答えた。
龍生:「②!」
桜花:「? 赤坂君、②って何よ?」
おおう、選択肢なのに番号で答えたら意味が通じなかった!
「マジかー」
何だかジレンマを感じながら普通に答えてみた。
「昼御飯を食べて屋上で昼寝してたらいつの間にか寝入ってたんだ。ゴメン。」
さすがに土下座は無いだろうから普通に頭を下げて謝った。
「そうなんだ。屋上で寝てたから見つからなかったのか…」
桜花がボソッと呟いた後、驚愕の言葉を伝えてきた。
「時間になっても姿が見えないからいろいろ探してみたの」
「保健室やトイレ、体育館や特別教室まで行ってみたんだけど見つからなくて…」
「今日は来週のクラスマッチのメンバー決めだったから欠席裁判は良くないと思って探してたの」
それを聞いた瞬間どっと汗が吹き出した。
①と③はトラップかよ…
『一部のパラメータがアップしました』
ヒロイン相性度:60『5UP↑』
「おっ?パラメータが上がった。と言うことはこれが正解だったのかな?」
物凄く怪しいけど何とかなったようでほっとした。
「それと、来週のクラスマッチは100m走とリレーのアンカーね」
「龍ちゃん足速いもんね。居なかったから私が推薦しといたから」
「本番はサボったらただじゃ済まないからね!」
なんかいろいろ言われたけれど呼び方も戻ったし最悪の状況は回避出来たようだ。
その時、リアル時間を表示した時計から22時の時を告げるアラームが鳴った。
「おっともうこんな時間か、ヤバイヤバイまだ宿題が全部終わって無かったっけ」
「今日はここまでにしてまた明日にするか」
「ところでこのゲームどうやってセーブするんだろうか?」
ふと思って電子マニュアルを検索してみた。
「なるほど、オートセーブになるのか」
「いちいち部屋に帰るとか無いのは楽かも知れないな」
そう言いながらも一応帰宅して自分の部屋でログアウトした。