表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/21

ドラゴンの巣

地下2階に降りると、そこは灼熱の風景が広がっていた。


「マグマだなんて聞いてないわよ。」

「言ってしまうと呪いのルール違反でもっと酷いことになりますから・・・」

イルが申し訳なさそうに愛想笑いをした。


「さてさて、2階に到着お疲れ様です。ここはドラゴンの巣という名前が適切かと思います。遭遇するモンスターは炎龍に氷龍、その他闇龍に光龍とドラゴン系のオンパレードです。」


「この熱い環境で氷龍がいるのですか?」

「はい、ドラゴンとはその強大な存在故に長く場に留まると周囲の環境さえ変化を与えます。つまりマグマが見えるということは炎帝龍ヴルカノやイフリートドラゴンとの遭遇が考えられます。ここを離れるとまた環境が変わって別の属性龍と遭遇することでしょう。」


「ラスボス前となると中ボスクラスでもとんでもない奴が出てくるんだな。」


「いえ、雑魚敵並みにわらわら沸いてくるので基本的に複数同時に遭遇すると思ってください。」


一同は軽くフリーズする。


「とりあえず、今は皆さんに炎耐性エンチャントをかけておきます。」

そう言ってナナは女神が彫刻された杖をかざして詠唱にはいる。


「この後も環境が変わるタイミングでエンチャントはかけ直すことを忘れないでください。高レベルドラゴンのブレスをまともに受けると消し飛びますよ。」


 ドラゴンと言えば、地上では一度出現すれば必ずと言ってよいほどの甚大な被害をもたらし、討伐隊が組まれ、懸賞金が山ほどかけられ、地方によっては崇拝の対象となる神災のような存在だ。そんな奴らばかりがこのフロアに集っていると聞いては、常人であれば頭の整理が追いつかない。


ふと、どこからかこの世の者とも思えぬ雄叫びが聞こえる。


「もう見つかってしまいましたね。」


 デルミーは周囲に浮遊する氷塊を呼び起こした。後ろに隠れば少しばかりはブレスの威力を低減できるだろう。アルテとハオは武器に氷属性のオーラを纏わせている。龍属と言えども真反対の属性攻撃は有効である。


 アルテ達はイルの見立てではごく一般の勇者パーティである。しかし、特筆すべきはメンバー各自が目を見張る高レベル者達であるということ。


 過去には希なスキル持ちで構成された勇者パーティもあり善戦はしたものの、儚く散って行った。慢心による気の緩みか、破壊的な魔物との連戦による磨耗か。戦闘経験はこのダンジョンにおいて重要な攻略要素でもある。ごく一般的なスキルを限界まで鍛えあげたアルテ達は、国が討伐に乗り出すほどのドラゴンを正攻法で倒せる自信があった。


 炎帝が姿を現したのはしばらく進んだ先であった。よりいっそう放熱量が増加し、ナナのエンチャントがなければ肌は焼けただれているであろう。軽装のイルでも汗一つかいていない。


 炎帝が炎帝龍たる所以は、火を統べ炎を従え灼を使役するその規格外攻撃力にある。龍体からは常に火が吹き出してはまた取り込まれ、口からはマグマが絶えず滴っている。翼は現在地下であるため空を飛ぶことは出来ないが、ひと度飛来したあとの森は大火災に見舞われ焼失した。翼が仰いだ風は直接受ければ燃えるより先に熔解が始まるという。


炎帝龍ヴルカノの咆哮が轟き灼熱の戦闘が開始された。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ