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ヲタ村ダンジョン  作者: KOJHIRO
EPISODE 2 After
9/24

ランボー過ぎやしませんかね

 降りると左右と前進に分岐している。前進すれば,片側に部屋があるみたいで,なにやら不隠な気配がする。そのモンスター部屋では,ホブやオークの地獄絵図さながらであった。

 矢を番えては射る豪快なナナ○さん。奇声を上げて魔砲をボンボン撃ちまくるミィさま。ドロップしたアイテムを拾い集めたり,機動力のある大型ウルフを叩くポン○。

「どうしたん?」

「ん。なんか」

 しばらくお預けをくらってたからやっと楽しまれているご様子で,おゃべりで和んでたりしたのとは別なのか。

 いや,お預けじゃないな。ムシとかは虫類の相手したくなくて,自分勝手に拒否ってただけじゃないか。

「少し残しといて」

「あかんっ」

「さよか」


 んー,おこぼれを狙うか。って,もう殲滅しちゃってるぞ。オーバーキルでしょそれ。

 偽性になってしまわれたモンスターに手を合わす。


「行くよ」

「来るよ」

「なにが?」

「部屋のボス」

「先に潰した」

「へえっ」

「あそこの幕のある壁の後ろにある穴に隠れてたっす」

「さよか」


 通路に出ると徘徊していたゴブリンのグループが光りの粒子になって消えるところだった。

 いくら格下だからって,おまいら瞬殺かよっ。


「ちゃー,拾てきてな」

「へいへい」

「返事は一回っ」

「ほーーーいっ」


 マッピングするかしないかで言えば,わしらはしない。行き当たりばったりで進んでいくと,その他大勢よりも武装度合いが上のオークが2体で部屋の中央に複合プリンタぐらいの箱を守る部屋があった。

 それにしてもレアアイテムの臭いがぷんぷんするぞ。踏み込むと感知されそうなので,通路からのチラ見だ。


「お宝の雰囲気だけど,やる?」

「遣る」

「殺る」

「犯る」

 なんか意味的にチガウのも混じってるかもしんないが,距離は別として方向は違ってないか。


 ミィとナナ○を通路に残し,わしとポン○は左右に分かれて別々の相手をする。見た目にほとんど差違はない。

 ふと四連星フォームも頭をよぎったけど後でだそうと温存した。うん,戦隊モノではたった一人の相手に多人数で闘うのがヒーローだからねっ。えっ卑怯? ヒーローの辞書に卑怯なんて言葉はない。勝てばいいんだよっ。勝てばね。

 いかにポン○でもオークとでは膂力に劣りまともにだと討ち負けるからタワーシールドを出して挑んでいるようだ。接敵する直前にナナから矢が射られたが,頭部を狙ったようだが的を外して注意を引くだけに終わった。

 「ちっ」ポン○はシールドの向こうで舌打ちする。オークは気をよくしたのか顔を歪めたが,次の矢が飛来するのに気づきポンに打ち下ろそうとしていた戦斧を顔の前に引き寄せ矢を弾く。

 「うがっ」オークが奇声を上げて戦斧を落とした。ポンの間合いでもあるのに,矢に気をとられて無防備となった手首の内側を切り裂かれたのだ。痛みと悔しさに怒りで,残った腕で戦斧を振り回し始めて手が付けられなくなった。

「「バーサクでござるな」」


 まぁガンバ。>ナナ○&ポン○


 こっちのミィさんは前の部屋で,鬱憤を晴らし終えたのか撃つのが少しめんどくさそうだ。魔力を温存してか適当に矢を射ってる。リアルならもうすぐ寝る状態だ。少しでも隙さえ見せれば,わしの寝間を占領してしまうのだからな。


 脱線はさておき,なんだっけ。


 そうだった,ポン○の相手してたオークが敵味方の区別無く襲いかかってくるので,わしの担当オークも大っきな中華包丁みたいなのを振り下ろしながらも逃げ腰なのだ。

 ガンダガーを腰に戻し,ホルスターベルトのユニット交換ギミックで,“てんこ盛り多弾ユニット”を装着して両手に構える。この状態を“蛆モード”としている。わしの手でも連続する衝撃に負けずしっかり持っていられるように,弾自体が小さいのだ。弾の大きさは米粒を数倍大きくした程度でちょうどウジ虫ぐらいの大きさ。

 転がったりして攻撃を避けながら両手に持つ“蛆”を撃つ。

 左手はスライム系のモンスターから抽出した腐食性の強い強酸を仕込んだ弾を連射する。凹む弾痕とはならずに,べちゃっとつぶれてくっつく感じで,最初の数発では変化は見られなかったが,何十発と当たればその衝撃にも削られ武器も防具も形を変形させていく。

 右手は麻痺性の毒を仕込んでいて,防具で隠れていない肌を狙うが,鱗を纏うリザードマン程でないにしても堅い。しばらく張り付いていたが,足下にばらばらと落ちていった。


 包丁の原型はグリップ以外とどめていない,歪な形状になったが振り回しながらわしに迫ってくるので,ミリヲタの1人が作った対戦車砲を向けて撃った。

 はい,バズーカ見たく風穴は開かなかったけどそこそこめり込み肉片が飛び散って一丁終わり。ただ耳がキーンってしてる。


 狂乱中だった一体も音でやっと解けたようで,状況がつかめずキョドった隙を見てポン○のランスが急所を貫いた。


 中央の箱に一番近いわしが開けると,中には『ハズレ おつかれさまでした(笑) DM』とインクジェットで打ち出された紙切れが出てきた。下に小さく『5枚で粗品進呈』とあり,ミカンの撥ねた汁で一部が滲んでいる。他の3人に見せながら『おのれダンションマスターめっ。ぜってぇー泣かす』と目標を掲げるのであった。


 4枚目連続でハズレだった。


 突然,ミィが笑い出した。


 ケタケタケタと高笑いしながら,ガンクロスボウから止めどなく放たれる弾は色んな属性の魔力でコーティーングされて壁を崩していく。すでに連射に向かないガンユニットを連射にしてインベントリーバッグから弾のベルトを吸い上げ,撃ち終わった側のベルトは同じバッグに吸い込まれていく。普通はダンジョンの壁つて破壊不能なはずなんだけどな。


 もうこうなると誰も手が付けられないミィさま。┐(´Д`)┌ ヤレヤレだぜ。


 早く決着を付けるべく,ポン○の頭にトサカモヒカンのかぶり物と上半身裸に幅広のクロスベルト,両肩にロケットランチャーを装備して気分も高揚に世紀末なヒャッハー姿で,ガンガン撃ちまくってもらったんだ。

 ちなみにこれ着弾すると散弾して連鎖爆発する『参式ロケット丸』だ。

 そしてこの7層目の殆どの壁を撃ち壊し(撃って壊すから『打ち壊し』を弄った造語)て,巻き込まれなかったモンスターはわしとナナで討伐していった。

 全ての内側な壁は崩れて,四角いフロアだったことが見て取れる。構造的に中央の柱がなくなって上が崩壊してこないかなと思うが,なぜか外周の壁と天井はキズ一つ無い。


「あーあ,マッピングの必要なくなつたね」

「これで宝箱の取りこぼす恐れが無くなったでごんす」

「……ごんす?」

「カ・イッ・カ・ンッ・!」


 希望としてはミィじゃなくナナさんにセーラー服で言って欲しかった。どっちのを見たんだろうか,まあいいけど。

 結果,レアアイテムは一つもなく『ハズレ』券を10枚手に入れただけだった。

 壁が無くなったので,担当する部屋を越えてくるかもと心配したが,律儀に狭いエリアで留まるモンスターは簡単だった。部屋にさえ入らなければ動き出さず,一方的だったのだ。

 ただ瓦礫に埋もれたのか,下への階段が見つけにくくなっていた。


「階段をみつけたでござるぅ」

 ナナ○の声がフロアに響いた。


 ここまでお読みいただき,ありがとうございます。


 作中,『クロスボウ』を『ボウガン』として記述があったりしますが,和製英語と指摘があり大人の事情で現在見つけ次第前者へ修正中です。耳慣れていたし,語呂がいいので好きなんですがねぇ。


 えーと“蛆シリーズ”は,致死性とか破壊力でなく,状態異常などの属性攻撃を取りそろえてイマす。“蛆”の綴りは“UZI”です?かね。

 “ロケット丸シリーズ”は,いろんなものにロケット推進を加えてみようという発想から生まれましたが,試作実験の結果,使い物になんないと判断されたモノは銘に恥じる進化を遂げましたとさ。


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